日本化薬 DDS製剤NK105、膵がんで部分寛解・安全性向上も
公開日時 2006/10/02 23:00
日本癌(がん)学会学術総会では、日本化薬が開発中のDDS製剤「NK105」(高
分子ミセル化パクリタキセル)のフェーズ1の結果が明らかにされた。国立が
んセンター中央病院・第一領域外来部の濱口哲弥氏が発表した。3週間に1回
の投与で安全性が確認でき、膵がん患者1例でPR (部分寛解)を認めた。現
在フェーズ2を計画中。
NK105は日本化薬が将来の成長を牽引する新世代製品として期待する抗がん剤
で、2011年の上市を目指している。パクリタキセルは主な副作用として骨髄抑
制、末梢神経毒性、過敏反応などが問題となっており、この克服が臨床上の課
題となっている。
濱口氏によると、前臨床試験では「タキソール(一般名:パクリタキセル)に
比べ抗腫瘍効果が増強し、神経障害が軽減することが示された」という。また、
フェーズ1では19例の患者に投与。血液毒性に関しては白血球減少が16例(グ
レード1が4例、2が6例、3が6例)、好中球減少は14例(グレード1は1
例、2は2例、3は5例、4は6例)、血小板減少は7例(全てグレード1)
が確認された。
非血液毒性は全て軽微な症状のみで、神経毒性6例(グレード1)、筋肉痛7
例(グレード1、2)、関節痛8例(グレード1)、脱毛症13例(グレード1)
だった。また、PRを認めた膵がんの患者には、11ヵ月の継続治療が可能だった
という。用量制限毒性はグレード4の好中球減少で、推奨用量は150mg/m2で
あった。
同様に日本化薬が開発中の「NK012」(カンプトテシン誘導体を内包)につい
ても前臨床試験の結果が公表され、in vitro、in vivoともにカンプトに比べ
て強い抗腫瘍効果を発揮し、その結果が血管増生モデルで顕著に確認されたこ
とも報告した。血管の増生により、薬剤の分布が増強されたことも報告した。
現在、フェーズ1が進行中という。