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自殺リスク高い双極性障害 「躁状態」は性格の問題と誤解されやすく

公開日時 2010/09/22 04:01

自殺の背後にうつ病の存在が指摘されるが、躁状態とうつ状態を繰り返す躁うつ病も自殺を図ることが多い疾患。その躁うつ病として知られる「双極性障害」の認識度についての調査が、10代~70代の男女1270人を対象に、日本イーライリリーによって行われた。その結果、うつ病と似たイメージを持ち、「双極性障害」について聞くと「躁うつ病」とは違う病気のように認識していることも分かり、疾患の特徴が十分に知られているとは言えず、早期発見、早期治療に結びつかないおそれがあることが分かった。

この中で特に自殺との関連は、「躁うつ病」は自殺リスクは高い疾患と理解しているものの「双極性障害」については、自殺リスクは低いとの誤解がみられた。

また、うつ状態は病気と認識されやすい一方、躁状態は病気として十分に認識されていないことも分かった。躁の前に見られることがある症状の「うつ傾向」「うつ状態」に対しては治療の必要性を指摘する人がおよそ半数以上いるものの、それが「躁状態」になると4割程度と低くなる。逆にそれら症状は「健康問題ではなく性格や気分の問題」とする人は、「うつ傾向」「うつ状態」では2割弱にとどまる一方、「躁状態」ではほぼ3割に上った。そのため対処方法も、「カウンセリング」が必要とする者は5割強に上る一方、医療施設の受診が必要だとするのが3割だった。

調査では、双極性障害の定義を伝えたうえで、対処方法について改めて聞いた。すると、医療施設での受診の必要性を指摘する者が10ポイント以上増え、性格ではなく病気との認識が高まり、疾患啓発が早期発見、早期治療のカギになることが示唆された。しかし一方で、この調査の監修にあたった長崎大学の中根允文名誉教授(写真左)の分析によると、「隣に引っ越してもいい」「結婚してあなたの一員になってもいい」との回答は5割程度にとどまり、差別・偏見の土壌が十分に改善されないとの課題も示された。

適正な薬物療法には訓練が必要 長崎大の中根名誉教授

9月17日に東京都内で開かれた発表会見には患者会も出席し、「ノーチラス会」の佐藤諦吉代表(写真右)は、双極性障害は性格の問題ではなく疾患であることを強調した。7回の自殺を図った経験に触れ、躁とうつが混合した状態にあるときが危険が高く、自らもコントロールが効かないことを説明し、「(うつに入ると)躁状態の時にしでかしたことを、何万回、何億回も反すうし、自分を卑下する。しかし気持ちはイライラしている。その中で自己存在の不安が高まる」と語った。精神安定剤で抑えるという。

薬物治療の現状について、自らの経験の話と断ったうえで「精神科医でも双極性障害を診察できる人は少ない」と指摘。その理由について「(第一とされる)薬物療法も簡単そうに見えて、躁とうつの変化が激しく、処方の調整が難しい」と述べ、処方の難しさを指摘した。それに対し中根教授(写真左)は、処方には「トレーニングが必要」と話した。世界的にも双極性障害の治療薬が少ないことも理由に挙げた。

≪訂正≫
中見出しの佐藤名誉教授は中根名誉教授の誤りでした。お詫びして訂正します。
 

 


 

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