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退職はスムーズに

公開日時 2010/12/01 04:00

会社から慰留を受けたMさんは、退職交渉に時間が掛かっていることを、自分のアピールに使えると思ったのだが…。

 

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「とにかく辞めないでくれって、すごい剣幕なんですよ」
経理マネージャー職のMさん(39歳)は、困っているかのような台詞のなかに、自慢げなトーンを隠せずにいた。前職の不動産グループ会社は大がかりな人員削減をすすめており、Mさんはそうした環境で引き留めを受けたことを、ひけらかしたい思いがあったようだ。

 

Mさんの転職は簡単ではなかった。実務経験・管理経験の長さは十分だったのだが、新しい会計基準に関する知識が不足しており、ときに「若くして昇進してますが、彼は現職企業のなかでだけ通用する処世術で昇進したんでしょう」などと厳しい評価を受けることがあった。
その指摘には、正しい部分も多かったようだ。Mさんの転職の理由は、「社内の派閥抗争を知らない人に説明するのは難しいのですが、今の会社ではこれ以上どんなに頑張っても、上に行ける可能性がないんです」というものであった。

 

Mさんは思うように選考に残れず、多くの面で妥協を余儀なくされたが、面接のコツをつかんだのか、徐々に最終面接に残る回数が増え、3ヶ月をかけて人材ビジネスA社への入社を決めたのだった。
ただ、当初希望していた年収に達していなかったため、内定を受託したあとも、Mさんはしばしば
「今からでも、(年収アップ)なんとかならないでしょうか?」
と、訴えていた。

 

そうした経緯から、ひょっとするとMさんには、「強い引き留めがある」という話をすれば、A社が給与提示額をアップしてくるという考えがあったのかもしれない。
彼は「引き留めの説得のせいで拘束されて、クイックレスポンスが出来ない」「用意すべき書類の提出が遅れてしまうかもしれない」などと、自分でA社にメールを入れていた。

 

必要とされている人間であることは、誇らしいことに違いない。だが、Mさんはいくつかの企業で最終選考に残り、内定をもらい、慰留を受け、高揚した気分のなかで状況を見誤っていた。

 

慰留の話を繰り返し聞かされたA社は、明らかに苛立ちをみせていた。
「マネージャーなのに、自分のことすらマネージメントできてない」
入社する前に、転職先の企業に悪印象を与えることをのぞむ人はいないだろう。
「彼に、すぐに部下をもたせるのは無理かも知れない。もうひとり、別の人を採用すべきだろうか…」
彼らは、自分たちの内定という判断を疑い始めてすらいたのだ。

 

「強い慰留をうけて、身動きがとれない」というのは、一見、自分の価値を示しているようで、実際にはそうでないことが多い。
我々の経験から言っても、仕事のデキる人ほど退職交渉はスムーズだ。
「こんなコアメンバーが辞めたら、会社にとっては大ダメージだろう」
「これほどの人材、上長が絶対に手放したくないはずだ」
と思うようなビジネスパーソンが、いとも簡単に会社を辞めてしまう。こちらが心配になって「慰留の方は、大丈夫ですか?」と聞くと、「必要な準備はしていましたから」とサラリと言うのである。

 

入社して数年の若手なら、慰留にアタフタする姿も可愛げがあるが、マネージメントに携わるようなベテランが
「退職交渉にこんなに時間がかかっています」
と、吹聴してまわるのは、賢いやり方とは言えない。

 

そう、これは交渉事なのだ。うまくやれた方がスマートに違いないのである。

 


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