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シロスタゾール 男性、高齢者、高血圧、ラクナ梗塞患者で特に効果示す  (1/2)

公開日時 2011/03/09 04:00
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CSPS2とCASISPの併合解析結果

 

 

 

 

シロスタゾールは、男性、高齢者、高血圧合併者、ラクナ梗塞患者で、アスピリンに比べ、有意に脳卒中の再発、頭蓋内出血の発症を抑制する一方で、女性や60歳未満の患者では両群間に差はみられないか、あるいはアスピリンが勝ることが分かった。シロスタゾールとアスピリンを直接比較した「CSPS2」と「CASISP」の併合解析の結果から、国家公務員共済組合連合会立川病院院長の篠原幸人氏らが2月10日、ポスターセッションの中から選択され、口頭で報告した。

 

 

 

 

 

 

 

 

併合解析は、脳卒中の再発予防をめぐりシロスタゾールとアスピリンの有効性を直接比較した日本人対象の“CSPS2”と中国人対象の“CASISP”の2試験を対象に行われた。
 

2試験は、ともに非心原性脳梗塞患者を対象に、①アスピリン81mg/日投与群②シロスタゾール200mg/日投与群――の2群に分け、治療効果を比較しているが、対象患者と追跡期間には違いがみられる。
 

CSPS2では、発症から26週間以内の患者2757例を対象に、29±16カ月(中央値)追跡した。これに対し、CASISPでは、発症から1~6か月以内の患者720例が対象で、追跡期間は、平均治療期間740人/年(約12カ月)だった。患者背景をみると、CSPS2で、高齢者、喫煙者、飲酒習慣がある、糖尿病や脂質異常症、高血圧の合併があるなどハイリスクの患者が有意に多く含まれていた。
 

しかし、主要評価項目の脳卒中再発率は、CSPS2では、シロスタゾール群で有意に良好な結果だったのに対し、CASISPではシロスタゾール群が勝るものの、両群間に有意差はみられていない。

 

 

 

 

 

脳梗塞の再発などでは有意差みられず

 

 

両試験の対象者を①シロスタゾール投与群1697例(CSPS2:1337例、CASISP:360例)②アスピリン投与群1694例(CSPS2:1335例、CASISP:359例)――の2群に分け、解析した。主要評価項目は、脳卒中(脳梗塞+脳出血+クモ膜下出血)の発症率。
 

その結果、主要評価項目である脳卒中全体の発症率は、シロスタゾール群で2.82%/年(94例)に対し、アスピリン群で3.89%/年(139例)で、ハザード比は0.7256とシロスタゾール群で有意に良好な結果となった(95%CI:0.5612~0.9383、P値=0.0144)。特に頭蓋内出血の発症率は、アスピリン群で有意に高かった(ハザード比:0.3675、95%CI:0.2074~0.6513、P値=0.0006)。
 

一方で、脳梗塞の再発抑制効果(ハザード比:0.8616、95%CI:0.6462~1.1487、P値=0.3100)、複合エンドポイント(脳卒中+一過性脳虚血発作(TIA)+心筋梗塞+狭心症)(ハザード比:0.8175、95%CI:0.6567~1.0175、P値=0.0715)で両群間に有意差はみられなかった。
 

全体の多変量解析を行うと、脳卒中の再発率と、男性、60歳以上、血圧高値、ラクナ梗塞の既往が危険因子として浮かび上がって来た。

 

 

 

 

 

アスピリンの効果には性差が影響か?

 

 

この結果を踏まえ、篠原氏らが、アスピリン群だけを対象に、危険因子と脳卒中再発率との関連性をサブ解析でみたところ、男性(P値=0.0040)、60歳以上(P値=0.0031)、高血圧の合併(P値<0.0001)が危険因子として浮かび上がってきた。
 

さらに、これら危険因子の有無と脳卒中再発率との関連性を、シロスタゾール群、アスピリン群に分け、比較したところ、2群間に有意差がみられたのは、男性(P値=0.0032)、60歳以上(P値=0.0110)、高血圧の合併(P値=0.0147)で、シロスタゾール群に比べ、アスピリン群で有意に高い再発率となった。
 

逆に言うと、女性(P値=0.7498)、60歳未満の若年者(P値=0.5050)では2群間に差はみられず、女性では有意差はないものの、むしろシロスタゾール群で高い再発率を示した。
 

頭蓋内出血は、男性(P値<0.0001)、60歳以上(P値=0.0013)、ラクナ梗塞の既往(P値=0.0004)、高血圧の合併(P値=0.0041)で、アスピリン群で有意に高い再発率となった。
 

篠原氏らはこれらの結果から、「男性、高齢者、高血圧合併者、ラクナ梗塞患者でシロスタゾール群はアスピリン群に比べ、有意に脳卒中の再発、頭蓋内出血の発症を抑制した」とし、「高齢者のハイリスク患者におけるシロスタゾールはアスピリンよりも有効性がある」と結論付けた。
 

一方で、アスピリンについて、脳卒中の1次予防効果で性差があることが報告されていることを紹介し、「脳卒中の再発予防でも性差があり、アスピリンは女性患者には有効であることが示された」としている。

 

 

 

 

 

 

 

 

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