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非心原性脳梗塞患者の再発予測に活用を

公開日時 2011/03/09 04:00

九州医療センター臨床研究センター長 岡田靖氏に聞く

 岡田氏

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の解析結果は、「Essen Stroke Risk Score(ESRS)」を初めて日本人の患者さんに当てはめ、検証したということに意義があります。
 

日本では、まだ脳梗塞患者が急性期に入院した際の再発予防に向けた患者教育が十分に浸透しているとは言い難いのが現状です。その理由の1つに、ESRSのようなリスクスコアの概念が急性期治療に携わるドクターやスタッフに十分普及していないことが挙げられます。米国のように学会や病院評価で取り組んでいる患者指導が今後日本でも進むことに期待しています。
 

脳卒中のリスクスコアとしては、一過性脳虚血発作(TIA)の脳卒中発症リスクを評価する“ABCD2スコア”や、心房細動患者の心原性脳塞栓症発症リスクを測る“CHADS2スコア”、2010年欧州心臓病学会で策定されたより詳細なスコアである“CHA2DS2-VAScスコア”などがあります。
 

ESRSは、抗血小板療法を行っている非心原性脳梗塞患者さんの再発予測に用いるスコアです。日本人でも有用な再発予測スコアであることが検証されましたから、是非積極的に活用して欲しいですね。

 

 

 

 

 

主治医自身の治療方針確認や患者の個別指導に活用を

 

 

図ただ、スコアを付ける前に、患者さんの合併疾患、既往歴をチェックすることが重要です。具体的には、糖尿病、脂質異常症、喫煙、TIA/脳梗塞の既往歴、ATIS(エイティス/AtheroThrombosIS:脳や心臓、末梢動脈に血栓が詰まる症状の総称)の概念に当たる血管合併疾患などです。患者さんの臨床上の一番の問題を理解した上で、治療方針を決めることが必要です。この時点で1度ESRSなどのリスクスコアを見て欲しいですね。これにより、自身の定めた治療を確認することができます。
 

また、リスクスコアは患者さんの個別指導にも活用して欲しいですね。脳梗塞発症後に、危険因子が発見され、投与される薬剤が増えていってしまう患者さんも少なくありません。経過が順調な場合には、薬剤が増えることに疑問を示す患者さんもいます。このような患者さんに対し、リスクスコアを噛み砕いて説明することで、複数の服薬継続を促すことも可能になるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

small-vessel diseaseでも危険因子重積でハイリスクに

 

 

これまで再発リスクが比較的低いとされてきたsmall-vessel disease(小梗塞、ラクナ梗塞)でも危険因子が重積すれば、脳卒中再発や心血管イベントが増える傾向があるというのも、今回の解析で分かった新たな注目点です。これまでは、アテローム血栓性脳梗塞であれば糖尿病、ラクナ梗塞であれば高血圧…など、サブタイプにより、特定の危険因子に着目してきましたが、今後は非心原性脳梗塞ではサブタイプを問わず、より包括的な全身管理が重要になると思います。
 

抗血小板療法も全身の危険因子に着目して選択することが必要です。ATISの概念に当てはまる全身の血管合併に対しては、small-vessel diseaseでも、ハイリスクですから、抗血小板作用のしっかりした薬剤を選択すべきではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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