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震災後のチラーヂン処方動向 処方日数減らして対応 JMIRI調査で判明

公開日時 2011/05/19 04:02

東日本大震災での工場被災により、一時供給不足が危惧された甲状腺機能低下症治療薬「チラーヂンS錠」(一般名・レボチロキシンナトリウム水和物、あすか製薬/武田薬品)について、3月の震災直後、処方せん1枚当たりの処方成分量が低下していたことがわかった。これは医療情報総合研究所(JMIRI)が提供する調剤レセプトを基にした「処方情報データベース」(年間処方せん枚数約1000万枚規模)を分析したもの。

チラーヂンS錠には代替薬がない。同剤の供給停止は推定60万人の服用患者の生命に直結する問題で、3月17日付で厚生労働省保険局医療課や日本薬剤師会が医薬品全般の長期処方自粛や分割調剤を求める事務連絡通知を出していた。今回明らかになった結果についてJMIRIでは、「医療関係者や製薬企業が高い意識で医薬品不足に協力・対応した形跡がうかがえる」としている。

同データベースによると、10年2月以降の15か月間、チラージンの処方患者は月単位で概ね7000人前後で推移している。このうち11年3月単月のチラーヂンS錠(S錠25、S錠50、S錠100)の処方回数は約8700回と、10年1月以降の15か月間で最高値を記録。その一方で、月単位の患者への処方成分総量は11年3月に2700万μg弱となり、この数字は前月比及び前年同月比で減少、同じく過去15か月間でも最低値だった。このことから処方箋1枚あたりの処方成分量が減少していたことになる。

処方箋1枚当たりの平均処方日数は2月が51.3日、3月震災前(1~11日)が53.9日、震災直後(14~16日)44.7日、厚生労働省事務連絡後(17~31日)31.8日と低下傾向が顕著だった。

JMIRIでは「チラージンの処方成分量の低下は長期処方自粛により、処方箋1枚当たりの処方日数低下によることは明らかで、処方日数の低下は震災直後から見られるが、3月17日付けの厚生労働省の長期処方自粛の事務連絡などが大きく影響していると考えられる」としている。

チラーヂンに関しては、製造販売元のあすか製薬いわき工場(福島県いわき市)の製造設備や立体倉庫が東日本大震災で損傷を受け、一時製造・出荷を停止。3月25日に生産を再開したが、当分の間の供給不足は避けられないとして、サンド社の協力でドイツから代替品としてレボチロキシンNa錠50μg「サンド」の緊急輸入に踏み切り、4月8日から輸入品の出荷を開始した。これに先立つ4月6日には厚生労働省保険局医療課が緊急輸入品について日本薬局方の表示がない場合であっても保険適用となることを付の事務連絡で示した。

あすか製薬では4月19日からほぼ震災前の生産体制に復旧したと発表しているが、その一方で当面の長期処方自粛要請も続けている。日本内分泌学会、日本甲状腺学会、日本内分泌外科学会、日本甲状腺外科学会、日本小児内分泌学会の関連5学会によるレボチロキシンナトリウム安定供給委員会(通称T4委員会、委員長:横谷進・国立成育医療研究センター内科系専門診療部長)によると、4月27日時点でのあすか製薬社内の「チラーヂンS」(S錠50、S錠25、散の3剤形)と「レボチロキシンNa錠50μg「サンド」(緊急輸入品)」を合わせた在庫量は、国内需要の約1.3か月分、サンド株式会社内の「レボチロキシンNa錠50μg「サンド」」(国内承認品)の国内需要の約0.15か月分となっている。

 

震災前後におけるチラーヂン錠の処方動向(日別)の図はこちら → 

 

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