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【ESCOリポート】ROCKET AFサブ解析  ファクターⅩa阻害剤・リバロキサバン 一次予防、二次予防によらず一貫した有効性・安全性示す

公開日時 2011/05/27 06:30

Werner Hacke氏ファクターⅩa阻害剤のリバロキサバンが、脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)を合併した心房細動患者における再発(二次)予防であっても、一次予防と同様に、一貫した有効性・安全性を示すことが分かった。同剤の臨床第3相試験(P3)「ROCKET AF(Rivaroxaban Once-daily oral direct factor Xa inhibition Compared with vitamin K antagonism for prevention of stroke and Embolism Trial in Atrial Fibrillation)」のサブ解析の結果で示された。二次予防では、出血リスクが高まることが懸念されていた。5月24~27日の日程で、独・ハンブルグで開かれている第20回欧州脳卒中学会議(ESCO:European Stroke Conference)で、25日に開かれたセッション「Large clinical trials(RCTs)」で、ROCKET AF Executive Steering Committee and InvestigatorsのWerner Hacke氏が報告した。
(5月25日 独・ハンブルグ発 望月英梨)


ROCKET AFは、塞栓症のリスクが中等度~重度で、抗凝固療法が推奨される非弁膜性心房細動患者(脳卒中またはTIA、全身性塞栓症の既往、心原性脳塞栓症の既往がある患者、もしくは▽心不全▽高血圧▽高齢(75歳以上)▽糖尿病の合併――の危険因子のうち少なくとも2つ以上)を対象に実施された。①リバロキサバン20mg1日1回投与群(クレアチニンクリアランス(CCr)30~49mL/min/1.73m2の患者では1日15mg)7131例②ワルファリン1日1回投与群(INR値2.5を目標に調節、[2.0~3.0])7133例――の2群に分け、治療効果を比較した。主要評価項目は、脳卒中+非中枢性(CNS)塞栓症の発生率。


すでに報告された本解析では、有効性・安全性両面でのリバロキサバンのワルファリンへの非劣性が証明された。有効性をめぐっては、患者が薬剤を服用していれば(On Treatment)ワルファリンへの優越性も示した一方で、ITT解析(Intention-To-Treat)では、優越性を示すには至らなかった。そのほか、ワルファリン投与で懸念されてきた頭蓋内出血の頻度が、有意に少ないことも示されている。


◎脳卒中・TIAの既往無群でCHADS2スコア高く


今回の解析は、脳卒中やTIAの既往がある患者の二次予防における、リバロキサバンの有効性と安全性をワルファリンと比較する目的で実施された。


脳卒中やTIAの既往により、2つのコホート集団(既往有コホート、既往無コホート)に分け、解析した。なお、脳卒中やTIA、全身性塞栓症の既往がある患者は全体の約55%。既往有コホートは、リバロキサバン群3754例、ワルファリン群3714例、既往無コホートでは、リバロキサバン群3377例、ワルファリン群3419例。


患者背景は、既往有コホートではCHADS2スコアが高く(既往有コホート:リバロキサバン群3.93±0.91、ワルファリン群3.93±0.93、既往無コホート:リバロキサバン群2.97±0.66、ワルファリン群2.96±0.67)、既往無コホートでは、高齢、高血圧や心不全、糖尿病の合併率が高かった。


◎Hacke氏「一次予防、二次予防で、リバロキサバンがワルファリンの代替薬となりうる」


主要評価項目(脳卒中+非中枢性塞栓症)の発生率は、既往有コホートではリバロキサバン群の2.26イベント/100人・年に対し、ワルファリン群では2.60イベント/100人・年で、有意差はないもののリバロキサバン群で低い結果となった。


一方、既往無コホートでは、リバロキサバン群の1.09イベント/100人・年に対し、ワルファリン群では1.69イベント/100人・年で、いずれもリバロキサバン群で低い傾向が示された。ただし、既往の有無による大きな差はみられなかった(P値=0.15)。


一方、安全性の主要評価項目である大出血+臨床的に重要な出血の頻度は、既往有コホートではリバロキサバン群で13.31イベント/100人・年、ワルファリン群で13.87イベント/100人・年で、リバロキサバン群で少ない結果となった。


一方で、既往無コホートでは、逆にリバロキサバン群16.69イベント/100人・年に対し、ワルファリン群15.19イベント/100人・年で、リバロキサバン群の方が多い結果となり、既往有コホートで、リバロキサバン群で出血頻度が少ない傾向が示された(P値=0.0800)。


そのほか、重大な内臓出血、頭蓋内出血、致死性出血の発現頻度は、いずれも既往が有る患者に比べ、既往が無い患者で低く、リバロキサバン群で発現頻度が低い結果となったが、有意差は示せなかった。


Hacke氏は、脳卒中やTIAの既往がある患者を対象にしても、「主要評価項目の有効性、安全性は、(ROCKET AF)試験全体の患者集団と同じ傾向を示した」とした。その上で、「これらの結果は、心房細動患者の脳卒中予防における一次予防、二次予防のいずれにおいても、リバロキサバンがワルファリンの代替薬となることを支持している」と結論付けた。
 

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