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生物製剤はJ&Jの医薬品ビジネスを再起させるか? Jay Siegel氏インタビュー

公開日時 2011/08/11 04:00

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、医療機器および消費者製品事業においては問題が多いが、医療用医薬品では2015年までに11剤に上る新薬の承認申請、31以上の効能拡大が期待され、証券アナリストの評価も高い。
 今後4年でアルツハイマー病治療薬で抗体医薬のbapineuzumab、関節リウマチ治療薬sirukumab、がん治療薬siltuximab、がん疼痛治療薬fluranumabなど6剤の発売を予定している。


最近発売した自己免疫疾患治療薬Simponi(golimumab)、尋常性乾癬治療薬Stelara(ustekinumab)は2年間前に発売、順調なスタートを切った。ゴールドマン・サックスのアナリスト、Jami Rubin氏は、Stelaraは5年で20億ドルに達するのではないかと強気の見通しだ。


同氏は、最近のJ&Jの製品は、StelaraやSimponiのような生物製剤とHCV(C型肝炎ウイルス)阻害剤telaprevirや抗凝固薬Xarelto(rivaroxavan)、前立腺がん治療薬Zytiga(abiraterone)のような低分子医薬とのバランスをうまく取って売上を伸ばすことを計画していると指摘する。J&Jの生物製剤での成功は抗TNF-α阻害剤Remicade(infliximab)に象徴される。同剤は88か国で承認され、2010年の売上は46億ドル(提携先メルクの売上10億ドル含む)で、J&Jのトップ製品だ。


J&Jは、Remicadeによって、ひとつの疾患カテゴリーから効能拡大を行い、ビジネスを拡大することにより製品のライフサイクルマネジメントを行うということを学んだ。


本誌は、J&Jのチーフ・バイオテクノロジー・オフィサー兼グローバル・レギュレトリー・アフェアーズ担当部長のJay Siegel氏に同社の生物製剤R&Dプログラムおよび戦略について尋ねた。同氏は、1995年から2002年までFDAの生物製剤評価・研究センター(CDER)に勤務した。2003年セントコア(現ヤンセン・バイオテク)R&D社長としてJ&Jに入社。


The Pink Sheet(以下PS):J&Jの生物製剤についての活動は、セントコア・オーソ・バイオテクが前身のヤンセン・バイオテクノロジーで行っているようだが、免疫関連や腫瘍製品に限られているようだ。最近買収したCrucellのワクチン部門やエランとの50:50の神経科学に特化した合弁会社はどこの所属なのか?


Jay Siegel氏:
我々はJ&J内にバイオテク・センター・オブ・イクセレンス(BCE)と称するR&Dグループを2009年後半に設置、ここでR&Dを一元化している。BCEはタンパク治療・細胞治療・ペプチド治療などの開発促進、これら各領域のプラットフォーム技術の開発を担当している。BCEは、神経科学、心血管・代謝、感染症・ワクチン、免疫、腫瘍の5薬効領域で構成されている。ヤンセン・バイオテク、ヤンセン・セラピューティクス(前ティボテック)およびその他のJ&J事業会社は、これら5薬効領域の商業的アウトレットになっている。


PS: J&JのR&D計画および高分子医薬候補物質がどのようにパイプラインに配置されているのか説明してほしい。


Jay Siegel氏
: 高分子医薬の活動の大半は免疫グループが担当し、そのポートフォリオは開発ステージすべてに及ぶ。我々は、サイトカイン、リンホカインや他の標的をPI、PIIにもち、複数がPIIIに入っている。同時に、Simponi、Stelara、Remicadeの追加効能を開発中で、現在、それぞれ開発段階にある。がん領域も少ないもののポートフォリオにあり、うまくバランスが取れている。


神経科学分野の高分子はJ&Jにとっては新しい分野だ。BapineuzumabはPIIIだが、ファイザーとの提携の対象だ。慢性疼痛を適応としたFluranumab(抗神経成長因子)はアムジェンから獲得したが、近日中のFDA諮問委員会で討議される予定だ。


PS:感染症領域(ID)はどうか?ウェッブサイトでは、IDとワクチンは一緒のようだが、CrucellはID部門のもとにあるのか?


Jay Siegel氏:ワクチンはJ&Jにとっては新規の分野だ。現時点では、Crucellの科学者らとどのようにすれば双方の力をフルに発揮できるか協議している段階だ。今後どうなるか話すには時期尚早だ。Crucellは感染症グループと密接な関係を持っており、適切な方法で統合されると考える。しかし、現段階では独立している。Crucellはまたモノクローナル抗体などの分野でも活発だ。


PS: 
CNS(中枢神経)関連適応を追加させることが出来るように炎症を標的とした免疫系薬剤を再配置していると聞いたが、詳しく話して欲しい。


Jay Siegel氏
 免疫と炎症は、多くの疾患における細胞の成長、血管新生、プログラム化された細胞死と同じように実際に多数の領域にまたがる基礎的な生物学的プロセスといえる。神経免疫学を軸とした相互作用から多くを学んでいるところだ。
 
PS: 最近、ヤンセン・バイオテクががんのRON抗体でAveo Pharmaceuticalsと提携した。しかし、J&Jは、細胞治療、抗体など高分子分野では活発にみえるが、そのあたりについて話して欲しい。


Jay Siegel氏:我々はモノクローナル抗体では最先端技術を装備するように決めた。抗体プラットフォームは、半減期、安定性、親和性、免疫相互作用の活性化あるいは活性化の欠如などに関しては、未だ、多数のアプローチがある。


PS: 
J&Jは高分子デリバリーについては何を行っているか?


Jay Siegel氏: 生物製剤のデリバリーと標的については、ビジネスチャンスのある領域と考える。我々は最先端技術の注射器における皮下注射技術を持っている。我々は、皮下注射から静脈注射への変更前に高用量を投与できるように、少ない分量で高用量を皮下注射できるようする方法を考えている。より患者に優しい注射器を開発中だ。
 また、我々は脳や直接、関節にデリバリーすることを考えている。長期的には生物製剤を経口でデリバリーすることも視野に入れている。我々は、生物製剤について我々が好ましいと考える特質を持った診断薬や医療機器を作るためにグループ会社と協力するつもりだ。そのような意味では、生物製剤をデリバリーする技術を開発する能力とより良い機器を作るために生物製剤を開発する能力を適切に結合させる機会を我々が持っていることは強みと考える。


 


 

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