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東日本大震災の被災地で心血管系疾患が増加

公開日時 2011/09/16 04:00

遠藤氏心不全、呼吸器感染症の管理がカギに

 

 

 

 

 

 

 

 

東日本大震災の被災地では心不全や呼吸器感染症が増加し、心血管系疾患も全体として増加していたことが分かった。7月22日に開かれた特別企画「大災害時に循環器医が何をすべきか、何ができるか」で、岩手県立大船渡病院循環器科の遠藤浩司氏が発表した。

 

 

 

 

 

 

大船渡病院(489床)が位置する岩手県の気仙医療圏は大船渡市、陸前高田市、住田町の2市1町・人口約7万人からなり、今回の震災では2323人の死者・行方不明者(6月3日時点)が発生。大船渡市は震度6弱で、同院は目立った被害はなかったものの、市内の開業医は24軒中13軒、隣接する陸前高田市では県立病院が全壊、開業医8軒中7軒が被災した。
 

同院は地震発生9分後の15時5分にトリアージポストを設置。初日の救急患者数は100人で、うち21人をトリアージポストのレッドゾーンで対応した。21人の症状の主なものが溺水・低体温9例、外傷・骨折3例。
 

なお、当日のレッドゾーンでは氏名などが分からない詳細不明患者が7例おり、遠藤氏は「それほどまで当時の院内は混乱をきたしていた」と説明した。
 

レッドゾーン人数は12日21人、13日41人、14日46人で推移。次第に溺水・低体温・外傷など直接震災と関係のあるレッドゾーン患者は減少し、逆に心不全などの循環器系疾患、感染症、喘息発作などの内科系疾患による患者の割合が増加した。11日夜から12日朝にかけては患者の来院はほとんどなかったが、この点について遠藤氏は「停電・電話不通、市内の浸水、津波による自家用車の流出などで、連絡、受診手段などを失ったためと考えられる」と分析した。
 

また、津波による家屋の全壊・半壊などで服用薬を遺失した「請薬」患者が12日以降、大量に来院。12日314人、13日451人、14日789人、15日702人と増加し、これに対しては中央待合ホールに薬剤部が処方専用ブースを設置した。同ブースでは医薬品名が分からない患者向けとして医薬品サンプルを用意して対応した。
 

3月12日から18日までの入院患者の院外搬送数は77人。内訳は呼吸器疾患、慢性腎不全(透析患者)が各14%、溺水・低体温、脳血管・神経疾患が各12%、心血管疾患10%など。呼吸器疾患患者では停電の影響により在宅酸素療法が行えなかった患者が中心だった。これを5月10日までの搬送数169人で同内訳を見ると、呼吸器疾患28%、脳血管・神経疾患17%、心血管疾患10%、慢性腎不全(透析患者)7%、溺水・低体温5%となっていた。

 

 

 

 

 

入院患者数も前年より増加

 

 

同院循環器科での入院患者動向は、2011年3月11日~5月10日が156人で、前年のほぼ同期である2010年3月1日~4月30日の141人よりも増加傾向にあった。
 

両時期の比較で増加傾向が認められるのが心不全45人(うち31人が既往あり、前年同期29人)、大動脈疾患5人(急性大動脈解離4人、胸部大動脈瘤1人、前年同期2人)、心肺停止後蘇生6人(うち急性心筋梗塞またはタコツボ型心筋症4人、前年同期2人)、呼吸器疾患47人(肺炎27人、慢性閉塞性肺疾患19人、肺癌1名、前年同期19例)。
 

また、急性冠症候群とタコツボ型心筋症は震災直後の1週間(3月12~18日)と巨大余震があった4月8日に多かったという。
 

これらのことから遠藤氏は「大震災時は心血管イベントが発生する可能性が高く、それらを念頭に診断・診察にあたることが重要である」との見解を示した。

 

 

 

 

 

 

 

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