ロシュ ギリシャの一部国立病院への薬剤供給を停止
公開日時 2011/09/28 04:00
スイスのロシュは、ギリシャの一部国立病院への抗がん剤など医薬品の供給を病院による医薬品購入費の支払い遅延を理由に停止した。同社のSeverin Schwan CEOが米紙「ウオールストリートジャーナル」(電子版、9月17日付)の取材で明らかにした。
ギリシャでは、同国の財政危機により国立病院の医薬品の支払いが滞っており、同CEOによるとこれら病院ではすでに3-4年支払いがなされていないため、「これ以上当該病院での事業が継続できない」(Schwan CEO)ための措置だという。
これら病院には医薬品は供給されないが、支払いに支障のない薬局には供給量を増やすため、患者への医薬品供給がストップするという直接的影響はないが、入院患者は処方せんを持って薬局に行き薬剤(点滴など)を取ってきて、病院に戻らなければならない不便を強いるとしている。
ギリシャ医薬品企業協会(Hellenic Association of Pharmaceutical Companies)は、同協会メンバーが支払われた医薬品購入費は、今年6月30日現在で2011年6月までの18か月間に供給された医薬品、19億ユーロ(26.2億ドル)のうち37%に過ぎないと報告している。
ギリシャでは、薬局は民営で経営状態も健全で支払も順調だという。同CEOは今後、ギリシャと同じように財政危機にあるスペインでも同様の措置の可能性があるとしている。また、ポルトガルやイタリアの国立病院でも支払いが非常に遅れているという。