薬食審医薬品第二部会は10月31日、新薬など３剤を審議し、承認することを了承した。その中で、非小細胞肺がん治療薬イレッサ（成分名：ゲフィチニブ、会社名：アストラゼネカ）の適応を「EGFR遺伝子変異陽性」に見直すことも認められた。同剤は、EGFR遺伝子変異陽性患者で効きやすいことが臨床試験で分かっている。日本肺癌学会の「肺癌診療ガイドライン」では、EGFR遺伝子変異陽性患者に対する投与は推奨されており、今回の了承は、それら医療の動向を追認した形。

部会で了承されたのは次のとおり。
【審議品目】
 ▽ロタテック内用液（５価経口弱毒生ロタウイルスワクチン、MSD）：「ロタウイルスによる胃腸炎の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。海外102カ国で承認。
ロタウイルス胃腸炎予防ワクチンは、７月に承認されたグラクソ・スミスクラインのロタリックスに続くもの。

▽イレッサ250（ゲフィチニブ、アストラゼネカ）：「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」に効能・効果を変更する新効能医薬品。再審査期間なし。海外79の地域・国で承認。

▽サムチレール内用懸濁液15％（アトバコン、グラクソ・スミスクライン）：適応菌種＝ニューモシスチス・イロベチー。適応症＝ニューモシスチス肺炎、同肺炎の発症抑制。新有効成分含有医薬品。再審査期間８年。海外21カ国で承認。HIV感染患者への投与を念頭に置いた薬剤。

【報告品目】

▽エルプラット注射用50mg、同100mg、点滴静注液50mg、同100mg（オキサリプラチン、ヤクルト本社）：「結腸がんにおける術後補助化学療法の効能・効果について、用法・用量を変更する」新用量医薬品。再審査期間は残余期間（平成25年３月17日まで）。海外でこの用法・用量が承認されているのはオーストラリア。

▽ハーセプチン注射用60、同150（トラスツズマブ遺伝子組換え、中外製薬）：「HER2過剰発現が確認された乳がん」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。

▽サンドスタチンLAR筋注用10mg、同20mg、同30mg（オクトレオチド酢酸塩、ノバルティスファーマ）：「消化管神経内分泌腫瘍」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。

▽パラプラチン注射液50mg、同150mg、同450mg（カルポプラチン、ブリストル・マイヤーズ）：「乳がん」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。

▽ジフルカン静注液50mg、同100mg、同200mg、ジフルカンカプセル50mg、同100mg（フルコナゾール、ファイザー）：「小児の用法・用量及び造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。

上記、ハーセプチン、サンドスタチン、パラプラチン、ジフルカンについては省内検討会議で、学会から求められた適応が医療上の必要性が高いと判断され、同省がメーカーに開発要請し、公知申請されていたもの。特例により今回追加された適応は既に保険適用されている。

３成分の未承認適応の公知申請を了承　保険適用に

10月31日の部会では、３成分の未承認適応症の公知申請が了承された。同省の特例措置により、これら適応症は半年程度かかる正式承認を待たずして、公的健康保険を適用された。了承されたのは次のとおり。
 
▽注射用イホマイド（一般名：イホスファミド、塩野義製薬）：追加適応「悪性リンパ腫」

▽タキソール注射液（パクリタキセル、ブリストル・マイヤーズ）：「血管肉腫」「再発又は遠隔転移を有する食道がん」「再発又は遠隔転移を有する頭頸部がん」「進行又は再発の子宮頸がん」「卵巣がんの週１回投与法」

▽ビクシリン注射用（アンピシリンナトリウム、MeijiSeikaファルマ）：「小児適応」

訂正（２日午後６時）

タキソールの会社名は正しくは「ブリストル・マイヤーズ」です。訂正いたしました。