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Lipitorをめぐる攻防  GEに対抗するファイザーの秘策

公開日時 2012/02/23 04:00

15年間、毎年12ビリオンドル以上の売り上げをファイザーにもたらし続けた高脂血症治療薬リピトール(Lipitor)が昨年11月で特許切れとなった。結果、今年5月頃からジェネリック薬が市場に出てくることになっており、これにともなってリピトールにはかなりの値下げが行われるものと予想されている。(医療ジャーナリスト 西村由美子)


従来であれば、このような場合、ファイザーは今後登場する低価格のジェネリック薬に対抗するために、あらゆるメディアで患者向けの広告を打ち、「リピトールを使い続けましょう」と訴えるキャンペーンを展開するところであった。


しかし、 大方の予想を裏切り、今回、ファイザーは患者に直接訴求するかわりに医療保険会社と交渉し、「保険会社は(少なくとも今年中は)5月に登場するジェネリック薬を使用しない(保険でカバーしない)こととするかわりに、(年頭から)大幅なディスカウント・レートを得る」という契約を結ぶという新手のディールを行った。米国のマネージドケア型保険ならでは絶大な効果を発揮する新型のディールである。


だが、実は、このディールはメディケアの処方薬保険(パートD)でカバーされている患者には不利に働く。


というのも、年間支払い上限の決まっているメディケア・パートDではメディケアからの支払い償還額は医薬品の「定価」で計算されることになっており、また上限を超えた場合のその余の支払いは患者の自己負担となる。したがってジェネリックが発売されてリピトールが値下がりするまでは、メディケアはディスカウント・レートを享受することができず、したがって、患者も十分な恩恵を受けられない。


ファイザーの新戦略とそれによってメディケアが被る可能性のある不利益に対し、当然のことながら、米国議会はいち早く反応。上院の財務委員会(Finance Committee)および高齢化対策特別委員会(Special Committee on Aging)は、ファイザーと保険会社および中間斡旋業者に対し、関係者間のディールの詳細に関する説明を求めている。


財務委員会議長のマックス・ブルーカス(Max Brucus)は、「ファイザーが保険会社に持ちかけているディールはメディケアからは『儲ける』仕組みになっており、さらにメディケア加入者にジェネリックを使いにくくさせる可能性も高い」と批判的だ。

 

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