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産業医大・田中教授 リウマチ薬オレンシア「比較的安全なバイオ製剤」 市販後中間解析受け

公開日時 2012/05/28 04:02

 

産業医科大学医学部第一内科学講座の田中良哉教授は5月25日、ブリストル・マイヤーズ主催のメディアセミナーで、関節リウマチ治療薬オレンシアの市販後全例調査の中間解析結果を報告。重篤な副作用の発現率が他の生物製剤の市販後調査結果と比べて低かったことを明らかにし、「比較的安全なバイオ製剤」と評価した。7割超が生物製剤の治療歴のあるリウマチ患者に投与されていたとして、「他の生物製剤の治療でうまくいかなかった患者に使われる傾向がある」と解説した。

 

オレンシアは10年9月に発売され、症例登録が開始された。これまでの全登録症例数は7206人。中間解析は初期に登録された10000例を対象としたもので、観察期間は24週。登録患者の年齢をみると、65歳以上が42.8%であり、「比較的長期間罹患し、状態の悪い患者に使われている傾向がある」と説明した。
24週時点で投与を継続していたのは80.7%、中止が19.3%(中止理由:うち10%が効果不十分、5%が有害事象)だった。同剤の投与患者の73.8%は生物製剤の既使用例で、26.2%が未使用例(オレンシアが最初の生物製剤)。メトトレキサート(MTX)が併用されたのは64.3%、非併用は35.7%。

 

1000例で有害事象の発現がみられたのは236例(23.6%)で、うち重篤な有害事象は33例(3.3%)。副作用が発現した患者は160例(16.0%)、重篤な副作用発現は24例(2.4%)だった。重篤な副作用のうち感染症が8例(0.8%)だった。8例のうち6人が呼吸器感染(うち4人が肺炎)と最も多く、次いで皮膚感染(1例)、消化器感染(1例)。生物製剤の投与の際に懸念される結核の発症はなかった。
田中氏によると「重篤な副作用の多くが投与して2ヶ月以内に出る傾向がある」と述べる一方、「リンパ球が減少している患者は重篤な副作用が出やすい可能性がある。それがオレンシアの特徴かもしれない」との見方を示した。

 

◎生物製剤の未使用患者で高い効果

 

一方、重篤な副作用の発現率を他の生物製剤と比較すると、レミケード6.2%、エンブレル4.6%、アクテムラ7.0%、ヒュミラ4.3%に対し、オレンシアは2.4%と最も低かった。このうち肺炎の発現率は0.5%で、発現率は他の4製剤の半分以下。これらの結果から、「他の生物製剤に比べ最も安全かもしれない」と述べるとともに、そのひとつの大きな理由として同剤が国内で5番手の生物製剤で、臨床医が生物製剤の使用経験を積み、安全性への対応に慣れてきたことなどを挙げた。

 

有効性についてはDAS28(CRP)の投与前の平均値は4.34だったが、24週時点では3.32に低下。患者の背景別にみると、生物製剤の未使用例ではDAS28(CRP)の投与前の平均値は4.26で、24週時点では2.84に低下したのに対し、既使用例では投与前の4.36から24週時点の3.48に低下した。
また、生物製剤の前治療の有無でDAS28(CRP)の経時的推移をみると、生物製剤の未使用例では35%が寛解、49%が低疾患活動性になった一方、既使用例では28%が低疾患活動性となり、「低疾患活動性では両者で倍の開きが出た。オレンシアを最初の生物製剤として使ったほうがかなり効果がよいことが示唆される。バイオナイーブへの投与は治療効果を上げるための工夫になる」と期待を示した。

 

 

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