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【ATS特別版】2011年改訂版GOLDレポート COPDの個別化アプローチ導入 増悪と併存疾患に関する記述も追加

公開日時 2012/05/29 06:55

米国胸部学会(ATS)年次学会(米国カリフォルニア州サンフランシスコで5月18~23日開催)では、GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)が発行するレポート「Global Strategy for Diagnosis, Management, and Prevention of COPD」の2011年改訂版のポイントについて説明するセッションが開催された。2006年版からの大幅な修正となる2011年版では、COPD分類により個別化したアプローチを導入するとともに、増悪と併存疾患について新たなチャプターが設けられた。GOLD科学委員会の委員長であるJørgen Vestbo氏が21日、報告した。


COPDの分類はスパイロメトリーによる呼吸機能検査(スパイロ検査)で測定した気流閉塞の度合いが基準であり、「軽度」から「極めて重度」までの4段階がある。スパイロメトリーはCOPDの診断の要であるが、各患者における疾患の影響を把握するためには、スパイロ検査だけでは完全ではない。そのため改訂版では、スパイロ検査による分類とともに、症状の重症度と増悪リスクの3つの要素を組み合わせてCOPDを評価し、この新しい評価方法に基づき、患者をAからDまでの4つのグループに分類するよう推奨している。またそれぞれの患者グループに対し、非薬物的管理方法と薬物的管理方法の2つの治療アプローチを提言している。


症状の重症度は、修正MRC息切れスケール(mMRC)またはCOPDアセスメントテスト(CAT)で評価することとし、増悪リスクは過去1年間の増悪回数とFEV1予測値により、低リスクと高リスクに二分することとした。まず、症状の重症度を二つに分割(mMRC 0-1またはCAT<10か、mMRC ≥ 2またはCAT ≥ 10か)したあと、増悪リスクを2つに分類(年間増悪回数0-1でFEV1予測値≥50%を低リスク、年間増悪回数≥2でFEV1予測値<50%を高リスク)し、これによりA(軽症で低増悪リスク)とB(重症で低増悪リスク)、C(軽症で高増悪リスク)、D(重症で高増悪リスク)の4つに分類する。


各グループに対する非薬物的管理法は、Aグループで禁煙(薬物療法含む)を必須とし、B~Dグループでは禁煙と肺リハビリテーションを必須とした。また全グループに対して運動を推奨し、インフルエンザと肺炎球菌の予防接種は地域のガイドラインに従うオプションとした。


薬物アプローチでは、Aグループの第一選択として、短時間作用型β2作動薬(SABA)または短時間作用型ムスカリン拮抗薬(SAMA)、第二選択としてSABAとSAMA併用、長時間作用型β2作動薬(LABA)または長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)とし、Bグループの第一選択はLABAまたはLAMA、第二選択はLABAとLAMA併用、Cグループでは第一選択がICS+LABAまたはLAMA、第二選択はLABAとLAMA併用が推奨された。Dグループの第一選択はCグループと同じであるが、第二選択ではICS+LABAとLAMA併用、ICS+LABAとPDE4阻害薬併用、LAMAとPDE4阻害薬併用、ICSとLAMA併用、LABAとLAMA併用となっている。


また改訂版では、併存疾患についての詳しい記述が追加された。心血管疾患が高頻度で最も一般的な併存疾患であると確認した上で、同様に主要な併存疾患である骨粗しょう症とうつ病は、しばしば過少診断されており、健康状態と予後の悪化に関連していると指摘した。また肺がんも頻繁に併発し、軽症COPDにおける最も多い死因であると述べ、これらの併存疾患の治療は重要であり、COPDを患わない患者と同様に、治療を行うべきであると強調された。

 


 

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