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【ASCO特別版】WJTOG3405 EGFR変異を有する進行性/再発NSCLCへのゲフィチニブ と プラチナ製剤2剤併用 3年追跡のOSデータ公表

公開日時 2012/06/07 06:51

日本人のEGFR変異を有する進行性非小細胞肺がん(NSCLC)へのファーストラインとして、ゲフィチニブとプラチナ製剤2剤併用療法の生存期間への影響を約3年間検討したところ、2群間に有意差はみられないことが分かった。一方で、無増悪生存期間(PFS)はゲフィチニブ群で有意に延長した。「WJTOG3405」の最新データ解析から分かった。6月1~5日まで米国・シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会年次学術集会(ASCO)で5日、近畿大学医学部呼吸器外科教授の光冨徹哉氏が、臨床第3相試験WJTOG3405のアップデートされた結果を5日に開かれたポスターディスカッションセッションで報告した。


WJTOG3405は、75歳以下のEGFR遺伝子変異陽性の進行性/再発NSCLC日本人患者を対象に、ゲフィチニブとシスプラチン+ドセタキセルの治療効果を比較した多施設ランダム化オープンラベル臨床第3相試験。2009年にLancet oncology誌に報告された解析結果では、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示されている(9.2カ月vs6.3カ月、ハザード比:0.489、95%CI:0.336-0.710)。一方で、追跡期間が165日間[74-1253]と短期間であったことから、全生存期間(OS)への効果は明確になっていなかった。


今回の解析は、34カ月以上の長期フォローアップを行った患者群での生存期間の違いを再評価する目的で実施された。同時に、変異タイプや喫煙歴、プロトコール規定後の治療などの臨床病理学的な指標についても検討した。


対象は、75歳以下のEGFR遺伝子変異非小細胞肺がん患者172例で、シスプラチン+ドセタキセル群82例、ゲフィニチブ群86例の2群に割り付けた。データカットオフは、2011年7月31日。追跡期間(中央値)は、34カ月。


◎EGFR-TKI投与されなかった群でOS短く


その結果、この間に起きたイベントは82例(48%)だった。PFS(中央値)は、シスプラチン+ドセタキセル群の6.6カ月に対し、ゲフィチニブ群で9.6カ月で、前回の解析と同様にゲフィチニブ群で有意に延長した(ハザード比:0.520、95%CI:0.378-0.715、p<0.001)。イベント発生は、ゲフィチニブ群で77例、シスプラチン+ドセタキセル群で82例だった。


一方、全生存期間(OS、中央値)は、シスプラチン+ドセタキセル群で38.8カ月だったのに対し、ゲフィチニブ群では35.5カ月で、両群間に有意差はみられなかった(ハザード比:1.185[0.767-1.829]、p=0.443)。

OSに影響を与えた因子について多変量解析を行ったところ、年齢、性別、喫煙歴などいずれの項目も浮かびあがってこなかった。また。遺伝子変異のタイプも、欧米で変異の中では予後がよいと言われるX19del(50例)で35.5カ月、悪いといわれるL858R(50例)では34.8カ月と有意差はみられなかった。

プロトコール規定後の治療については、ゲフィチニブ群(86例)で、「プラチナ製剤の2剤併用」が60%(52例)、「プラチナ製剤以外の一剤の化学療法」が9%(8例)、「EGFR-TKI、もしくはなし」が30%(26例)だった。一方、シスプラチン+ドセタキセル群(86例)では、「EGFR-TKI」が91%(78例)、「プラチナ製剤の2剤併用、もしくはなし」が9%(8例)だった。


プロトコール治療とその後治療まで含んだ全期間の治療として、OS(中央値)との関連性を検討すると、EGFR-TKIとプラチナ製剤が順序にかかわらず両方投与された群(130例)では35.9カ月、EGFR—TKIのみあるいはEGFR—TKIとプラチナ以外の一剤の化学療法群(34例)では45.4カ月で、2群間に差は認められなかった(95%CI:31.2-45.7)。一方で、シスプラチン+ドセタキセル群でEGFR-TKIを投与されなかった群(8例)では13.5カ月と短い傾向が示された。


◎光冨氏「ゲフィチニブ ファーストラインして投与を」


これらの結果から、光冨氏はすでに他の試験で報告されているのと同様、同試験でも2群間にOSの差は認められなかったと指摘。PFSでの有意差がOSの有意差へと反映されない理由として、「EGFR-TKIへのクロスオーバーがある」との考えを示した。


さらに、ゲフィチニブ群では、同剤の治療後4割がプラチナ2剤を使用していなかったのも関わらずOSは差がなかった一方で、シスプラチン+ドセタキセル群で後治療としてEGFR-TKIを投与されなかった症例では、OSが短い傾向があることを指摘。「これらのことを踏まえると、OSで有意差がみられなくても、ゲフィチニブをファーストラインとして投与することを支持している」との見解を示した。なお、52%の患者が依然として生存していることから、さらなるフォローアップの必要性も示唆した。

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