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ロシュの安全性報告をEMAが調査 患者への影響は報告されず

公開日時 2012/06/27 04:00

 欧州医薬品庁(EMA)は6月21日、英医薬品庁(MHRA)と共に、ロシュに対して、同社が安全性報告を適切に行っていなかった問題について調査中であると発表した。


これは、5月に、MHRAからのロシュに対する安全性報告システムに対する査察後の報告で、不適切な問題が明らかになったもの。MHRAの査察時に、米国で販売された医薬品の8万件について、有害事象としてEU当局に報告すべきかどうかの評価がされていなかったことが判明した。


8万件のうち、死亡例が1万5161例あったが、疾患の進行による自然死によるものか、薬剤と因果関係があるのかは分かっていない。同査察は、EUで実施されている安全性報告システムについての定期的なもの。


8万件は、米国でロシュ子会社ジェネンテクが患者サポートプログラム(PSP)として、保険給付や償還の支援を行っていた。ロイター通信によると、適切な報告がなされなかった時期は1997年からという。


EMAは、「現段階では、患者にマイナスの影響を与えるエビデンスは何もない」と言明。「調査実施中は、患者や医療従事者はなんらの行動をとる必要はない」としている。


EMAでは、この問題が明らかになった後に、ヒト医薬品委員会(CHMP)、CHMPファーマコビジランス実務者グループ(Pharmacovigilance Working Party)、相互認証および中央集中手続き調整グループ(Mutual Recognition and Decentralised Procedures)が5月および6月に協議を開催。ロシュに対して、①関連法規制に基づき、市販後製品および臨床試験中の薬剤について知り得る全てのイベントを直ちにEU当局に知らせること②8万件の事例を含み、すべての評価および修正報告に関する、および今後、有害事象の可能性のある報告についての適切なあり方を策定すること――に関する包括的な行動計画を2012年6月27日までに提出すること-を求めた。


MHRAのKent Woods事務総長は、「ロシュに対する我々の調査では現在、患者へのリスクのエビデンスは何もないので、患者はロシュの薬剤を服用し続けてよい」としながらも、「ロシュの行動は受け入れがたい。我々の調査でロシュの報告システムが不十分なことがわかった。我々は、ロシュが優先度を持って、それを改善するように直ちに行動を起こしている」と話している。


ロシュは、6月25日現在、この問題について、公式には見解を発表していないが(ホームページ上)、ロイター通信(6月21日)に対しては、有害事象を評価していなかった症例は2013年1月までに最終評価を行う予定だと話し、「ロシュは、積極的にこの問題解決のために修正的かつ予防的行動を取っている。有害事象を見逃す可能性のある報告をしなかったことは意図的なものではない」と説明している。

 

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