武田薬品は10月31日、2013年３月期第２四半期決算（４-９月）を発表した。日本市場について、DPP-4阻害薬ネシーナは売上153億円、前年同期比100億円増だったが、通期売上計画に関しては、期初の計画から100億円の下方修正となる380億円と設定した。一方、ARBブロプレスの後継品で、５月に新発売したアジルバは売上19億円、通期売上計画は期初計画から15億円上方修正して、50億円と設定した。

岩﨑真人・医薬営業本部長は同日開いた決算会見で、ネシーナの下方修正の理由について、▽期初予想よりもGP市場での採用率の進捗が遅い▽DPP-4でトップシェアの競合品ジャヌビアが持つインスリンとの併用効能をネシーナは持っていないことが、市場でネガティブに働いている▽アジルバ上市の際にＭＲ活動がアジルバに集中し、数か月間、ネシーナの成長率が鈍化した――ことを挙げた。

ただ、岩﨑氏は、国内医療用医薬品でトップ売上の同社のブロプレスを引き合いに、「ネシーナはブロプレスと同じ立ち上げのカーブになっている」と指摘。さらに、DPP-4市場全体の成長率よりもネシーナの成長率が高いことなどから、「我々が狙っているターゲットまで行くか行かないかではなく、その時期がいつになるのかを我々は考えている」「（当初見込みより）少し進捗のスピードは遅いが、大きな問題があるとは思っていない」と強気の姿勢を見せた。

なお、日本市場の医療用医薬品売上は2963億円で、前年同期比でほぼ横ばいだった。主力品の特許切れや４月の薬価改定による減収分を、ネシーナ、抗がん剤ベクティビックス、アルツハイマー型認知症治療薬レミニールなど10年以降に発売した新薬群でカバーした。

〔連結業績（前年同期比） 通期予想（前年同期比）〕
売上高　7869億3600万円（12.0％増） １兆5500億円（2.7％増）
営業利益　1085億7600万円（48.6％減） 1600億円（39.6％減）
経常利益　1130億9900万円（46.0％減） 1500億円（44.5％減）
純利益　1197億9000万円（11.7％減） 1550億円（24.8％増）

〔国際戦略製品売上高（前期実績）通期予想（前年実績）〕
リュープロレリン 574 (609) 1135 (1207)
ランソプラゾール 559 (623) 1140 (1221)
カンデサルタン 892 （1123） 1690 (2163)
ピオグリタゾン 920（1710） 1140 (2962)

〔国内売上高（前期実績）通期予想（前年実績）、億円〕
ブロプレス 673 （709） 1350 (1427)
うち、エカード 63 (64) 130 (130)
うち、ユニシア 107 （77） 220 (177)
タケプロン 348 （376） 705 (765)
リュープリン 329 （338） 640 (678)
エンブレル 218 （208） 非開示 (414)
ネシーナ 153 （53） 380 (155)
うち、リオベル 18 (6) 30 (10)
アクトス 102 (189) 200 (318)
ベイスン 102 （136） 175 (259)
ベクティビックス 96 （81） 190 (172)
ベネット 68 （87） 150 (165)
乾燥弱毒性麻しん風しん混合ワクチン「タケダ」 44 （51） 65 (81)
レミニール 37 （9） 非開示 (27)
セルタッチ 36 （41） 85 (78)
ロゼレム 21 （9） 50 (25)
アジルバ 19 (－) 50 (-)
注）アライアンス先の開示方針により一部非開示としている。