【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

中医協・薬価部会 長期品薬価はさらなる引き下げの方向に 医療現場に影響も

公開日時 2012/11/01 04:00

 

次回の薬価制度改革に向けた議論をしている中医協・薬価専門部会は10月31日、薬剤費抑制策やジェネリック(GE)の使用促進の観点から検討が求められている長期収載品の薬価のあり方についての議論を行い、支払側、診療側の双方で▽長期収載品には副作用など情報収集・提供などによる適正使用のためのコストも一定程度含まれ、薬価をGEと同一にするのは適切ではなく、一定の価格差はやむを得ない▽長期収載品の薬価は何らかの形でさらなる引き下げは必要--との認識で一致した。今後具体化を進めることになった。

長期品の狙い撃ちは、3兆円ともいわれる市場に手を入れるもので、支払側から見れば薬剤費抑制、診療側から見れば改定財源確保という思惑があるとみられる。実現すれば、長期品に依存した新薬メーカーの経営に影響するが、ただ、GEの普及が加速し、長期品との競争環境が整ってきている中で、長期品の薬価をさらに強制的に引き下げることはGEのさらなる普及や医療現場での選択に影響しかねないという点で課題もあるといえる。

GE数量シェア GE置き換え可能な市場を分母にすると40% 長期品と競合状態に

というのも、31日の部会ではGE使用促進策との絡みで今後の議論のベースとなるGE数量シェアについて、「欧米との比較の観点からも、後発品(GE)置き換え可能な市場における後発品の割合」を前提に議論することになり、それによるとこれまで2割強といわれていたシェアは、直近では4割超となり、長期品との価格競争が起きる状態になってきているからだ。この日、参考人の坂巻弘之氏(名城大学薬学部教授)が提出した資料(11年9月薬価調査より)では、「GE置き換え可能な市場」(GEのある先発品+GE)の数量シェアは市場全体の57.1%であり、これを分母にするとGEシェアは39.9%(GE/GEのある先発品+GE)。医療現場の実感に数値といえる。

4月以降、GE使用促進策でGEの市場浸透は加速しており、医療現場では大型長期品を含めGEとの間で激しい価格競争が起きている。その中で様々な要素から長期品またはGEが選択されている。GE数量シェア50%を上回るの先進諸国と比べれば、日本のGEの普及にはもうひと押し必要であることは確かだが、すでに競争状態ができつつある中で、長期品薬価に対するさらなる強制的な引き下げは、互いの消耗戦につながり、いずれかが撤退すればGEの普及や治療選択肢にも影響が出てくるおそれが考えられる。

31日の部会では、すでに引き下げ策についても意見が交わされ、両側委員の思惑が先行しているように見える。GE初収載時の長期品に対する特例引き下げの幅の深堀り(支払側)や特例下げに続く段階的な引き下げ(支払側、診療側)などが挙がったほか、GEに置き換えが進まない長期品を対象を絞ってはどうかとの意見もあり(診療側)、今後詰めることになる。
 
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(2)

1 2 3 4 5
悪い   良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー