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バイエル薬品・イグザレルト 市販直後調査6カ月間で脳出血など9例の死亡例報告 情報提供開始

公開日時 2012/12/21 04:02

バイエル薬品は12月20日、第Xa因子阻害薬・イグザレルト錠10mg、15mg(一般名:リバーロキサバン)の市販直後調査6カ月間の結果を受け、死亡例が脳出血など9例、重要な臓器における出血事象14例を含む、250例300件の副作用が報告されたことを明らかにした。調査期間は2012年4月18~10月17日までの6カ月間で、この間の推定投与患者数は2万人。同社は同日から、この結果を「市販直後調査 終了報告」として、MRや同社HPを通じた、情報提供を開始している。


死亡例の内訳は、脳出血4例を含む、肺胞出血、視床出血、脳幹出血、脳出血、被殻出血、突然死、呼吸停止、心筋梗塞、脳梗塞。終了報告の中では、脳出血4例のうち、「2例は担当医から高血圧の管理が不十分であったと報告を受けています」と説明し、「出血のリスクの軽減のためには血圧の管理が重要であることから、引き続きご留意いただきますようお願い致します」と血圧管理の重要性を訴えた。なお、同剤の添付文書、使用上の注意の慎重投与の項でも、「コントロールできない重症の高血圧症」は、出血リスクが高い患者として、注意喚起されている。


脳出血で死亡に至った4例は、高血圧、白衣性高血圧を合併した60代男性(脳出血で死亡、15mg、投与期間:55日間)、慢性心不全、アルツハイマー型認知症、高血圧、脳梗塞を合併した90代前半女性(被殻出血で死亡、10mg、143日間)、僧房弁閉鎖不全症を合併した70代後半男性(視床出血で死亡、15mg、投与期間は不明)、慢性閉塞性肺疾患を合併した70代後半男性(脳幹出血で死亡、15mg、不明)。


このうち、高血圧合併60歳代男性は、投与21日目に血圧が190/85mmHg程度で推移。降圧剤の追加投与を勧められたものの、患者本人の希望で追加しなかったとされている。投与55日目、搬送時の収縮期血圧は200mmHgを超えていた。併用薬は、降圧薬・オルメサルタン、カルベジロール。


90代前半女性は、投与106日目まで採血検査で著変、異常を認めず、上昇傾向がみられた血圧については、降圧薬・ペリンドプリルを併用していた。投与143日目に突然、嘔吐、意識障害を発症。翌投与中止1日目の血圧は、来院時220/142mmHg、入院時170/100mmHg。降圧薬の投与により、血圧は下がったがすでに出血していたとされている(昼の血圧:118/72mmHg)。


一方で、僧房弁閉鎖不全症合併70歳代後半男性は、投与1日目の血圧が106/60mmHg。日頃、血圧は100~140mmHg程度を推移していたものの、緊急搬送された投与41日目、搬送時の血圧は207/97mmHgだった。慢性閉塞性肺疾患合併70代後半男性は、投与1日目の外来受診時の血圧は117/76mmHgだったものの、症状が発現した投与28日目には、収縮期血圧が220mmHg台だったとされる。


同社は9月から「「イグザレルト錠」についての適正使用のお願い」として、これら脳出血を発症して死亡に至った症例についての情報提供を進めており、その後11月末時点で転帰が死亡に至った新たな脳出血症例は報告されていないとしている。


◎腎機能低下も減量せず 重篤な出血に至った症例3例を報告

そのほか、出血関連副作用は150例161件で、このうち重篤な出血は80例84件だった。出血部位の内訳は消化管が55件(うち、重篤な出血は32例)で最多だった。重篤な出血事象を発現した患者のうち、75歳以上は67%(54例)、50kg未満の低体重は18例含まれていた。高齢で低体重の人は8例(皮下出血:2例、脳出血、脳幹出血、肺胞出血、痔出血、血便排泄、貧血)だった。

また、10mgへの減量基準である、クレアチニンクリアランス(CrCl)50mL/minだったにもかかわらず、15mgが投与されていた症例も3例(胃腸出血、皮下出血、上部消化管出血)含まれていた。そのため、同社は、投与患者や投与量の選択に際し、肝機能と腎機能の評価を行うよう、改めて求めた。なお、重篤な出血事象の発現時期は約75%が投与開始後1カ月以内に発現していることも指摘し、投与開始早期のリスクも注意喚起した。


◎特定使用成績調査 CrCl未測定は2割弱 CHADS2スコア0~1が3割超


特定使用成績調査登録患者のプロフィールも、同日開かれたバイエル薬品主催のプレスセミナーで紹介された。それによると、2012年10月31日時点で登録されたのは、2156例(男性:1237例、女性:919例)。登録施設は、「19床以下」は71%(1527例)、「20~229床」が22%(477例)、「300床以上」が7%(152例)で、診療所が大半を占めた。


平均年齢は73.8歳で、70~80歳が41.1%(887例)で最も多く、80~90歳が27.9%(601例)、90歳以上が2.4%(52例)と80歳超が約3割含まれた。


平均体重は59.8kgで、50kg以下が21.0%(452例)で、不明も13.8%(298例)含まれた。
平均CrClが65.0mL/min。有効性・安全性が確立されていないことから、慎重な検討を求められた「15~<30mL/min」が2.0%(44例)、減量が求められる「30~50mL/min」が23.7%(510例)で、「未測定」も15.5%(334例)含まれた。


CHADS2スコアは「0~1」が34.1%(735例)、「2」が30.8%、「3以上」が35.1%(756例)だった。リスク因子としては、高血圧が69.8%(1504例)で最も多く、虚血性脳卒中の既往(18.8%)、出血性脳卒中の既往(2.0%)、一過性脳虚血発作の既往(6.0%)と二次予防の患者も含まれている。


なお、特定使用成績調査は、1万例を対象に、標準観察期間2年(最長5年)、出血性副作用、有効性に関する事象などについてデータを集積、解析する。症例登録期間は、2012年4月18日~15年3月までで、EDCを用いて中央登録方式を用いる。
 

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