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FDAオピオイド開発ガイダンス 先発企業はラベリングでの差別化を歓迎

公開日時 2013/02/15 04:00

米FDA(食品医薬品局)はこのほど、製薬業界向けのオピオイド乱用防止の特徴を持った(措置を講じた)薬剤開発についての「乱用防止オピオイド-評価とラベリング」(Abuse-Deterrent Opioids-Evaluation and Labeling)と題するガイダンス案を公表した。


同ガイダンス案は、今後開発される新規オピオイド製剤の前臨床・臨床試験において乱用防止の製剤特徴を示すことが出来るような試験方法、またFDAによるその試験についての評価法やラベリングでの表示法などを包含している。


同ガイダンス案では、乱用防止製剤の特徴を評価するために、前臨床から市販後調査に至るまでのプロセスを4段階に分け、具体的な実施方法などについての指針を示している。


① 実験室での操作および抽出試験
試験管内の試験では、薬剤を破壊、すりつぶす、溶解するなどの操作ができる単純あるいは巧妙な物理的および化学的方法で評価しなければならない。試験は、操作が物理的に容易な対照薬と比較しなければならない。抽出度・溶解度試験は如何なる製剤でも異なって溶解し、抽出するかどうかを見極めなければならない。
② 薬物動態試験
製薬企業は、ヒトの手の触れていない製剤およびヒトの手によって操作された製剤と対照薬のヒトの手の触れていない製剤および操作された製剤との薬物動態プロファイルを比較しなければならない。また、これには1つ以上の投与経路での比較が必要である。
③ 臨床的乱用の可能性についての試験
好ましい試験デザインは、無作為化二重盲検試験で、クロスオーバー比較試験である。これら試験は、一般的に薬物乱用の経験者を対象に実施される。
④ 市販後試験
この試験の目的は、乱用防止薬剤の販売が、もし乱用防止措置を講じていなかった薬剤が販売された場合の想定と比較して、集団や使用状況をベースとして有意に減少したかを見極める。


Endo Health Solutions社の広報は、同ガイダンス案を前向きに受け止め、現在、評価中だと話し、「(乱用防止製剤であるという)ラベリングでの表示における差別化を支持していることは、建設的な歩みだ」と評価している。
Endo社やPurdue Pharmaなどが使用している乱用防止技術を提供しているGrunenthal Group社のHarald Stock CEOは、同社は市販前のデータは豊富に持っており、「我々はこれら試験を実施でき、乱用防止の効果を謳える表示に必要な効果を示すことが出来ることには自信を持っている」とガイダンスへの対応には万全との考えを示した。


オピオイドを生産している先発品製薬企業は、同ガイダンス案では、ジェネリック医薬品については、同ガイダンスの対象とするかまだ明らかになっていないが、ガイダンス案そのものには概ね歓迎の意向を示している。同ガイダンスが発行される前日、FDAのMargaret Hamburg長官は、連邦議会で、「新規の乱用防止製剤が有意に乱用を抑止することになれば、ジェネリックもそうせざるをえない」と発言、先発品の状況次第でジェネリックにも同ガイダンスを適用する考えを示した。


複数の連邦議会議員が昨年12月に保健福祉省(HHS)のKathleen Seberius長官にオピオイド徐放性製剤の「改変防止措置」を講じていないジェネリックの発売が差し迫っていることに懸念を示す文書を送ったが、Hamburg長官は、正しい術語の使い方として、「改変防止措置」は化粧品やOTC製品に使用、「乱用防止」は医療用オピオイドに対して使用するほうが良いと指摘した。


FDA医薬品評価研究センター(CDER)のDouglas Throckmorton規制プログラム次長は、記者会見で、乱用防止策を持たないジェネリックが市場参入した際に、乱用防止製剤を生産する先発企業へのインセンティブは何かを度々尋ねられたが、同次長は、ラベルでの表示がインセンティブになると応じた。


同次長は、「FDAは成功した乱用防止製剤に報いるためにラベリングを最初のツールとして選んだ」と話し、製品を市場でより魅力的にするラベリングはその薬剤を選択する支払者・処方者を動かすと指摘した。現在、乱用防止をラベルで謳うオピオイド製品はない。


ガイダンス案では、乱用防止製剤として訴求するラべリングの表示のあり方について、以下の4つを例示した。
① 乱用防止のための生理化学的バリアで製剤化されていること。②当該製品が操作されると、オピオイドの効果が減弱あるいは阻害されることが期待される。③乱用が有意に減少することが期待される。④ある集団における乱用が減少されたことが示された。


前臨床試験におけるオピオイド乱用防止技術を持っているAtlantic Pharmaceuticals社のAnthony Soscia社長は、同ガイダンス案は、FDAが従前から考えていたことに一致すると同ガイダンス案のラベリング表示案に賛同している。同社長は、Purdue社のOxyContinは同社の乱用防止製剤によって乱用防止の減少を示す疫学調査を実施したので、上記例示のほとんどに合致するのでないかと考えている。FDAは、Purdue社に対して承認条件として同剤の市販後調査の実施を求めていた。同社は、昨年8月に疼痛に関する国際学会で、いくつかの研究結果を発表した。


Soscia社長は、このような状況になると、乱用防止技術なしには、ジェネリック企業は、承認取得が困難な時期を迎えるだろうと見ている。


GrunenthalのINTACと呼ばれる乱用防止技術は、米国の70億ドルから80億ドル相当のオピオイド市場の45%程度に使用されている。同技術は、錠剤を非常に堅固にし、潰しにくくしている。同社のStock CEOは、同社の錠剤をコーヒーミルでひくと錠剤はそのままで、ミルの刃が欠けると説明する。また、同錠剤は注射にために溶解しようとするとジェルとなり、そのジェルは注射器には入れられない状態となるなど「操作」に対して万全を図っている。


一方、ジェネリック医薬品業界も対策を講ずる意向だ。米ジェネリック医薬品協会(GPhA )は、同ガイダンス案を精査し、オピオイド乱用を防止する方法についてFDAと検討することを明らかにしている。


The Pink Sheet  1月14日号

 



 

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