7割近くの医師がモンスターペイシェントに遭遇 医師1000人調査
公開日時 2013/02/25 04:00
7割近くの医師が、理不尽な要求などを繰り返す「モンスターペイシェント」に対応した経験を持っていることが、医療従事者向けサイトを運営するケアネットがサイト会員医師1000人を対象にした調査でわかった。月に1度以上という医師も1割強に上った。そのような患者・家族に対し、医師個人の対応としては34.4%が「以後の診察を拒否した」、22.5%は「特に対応をとったことがない」と回答した。
調査は2月12日と13日に実施した。モンスターペイシェントを「自己中心的で理不尽な要求、果ては暴言・暴力を繰り返す患者やその保護者、家族等」と定義し、経験や対応を尋ねた。
対応経験がある医師は医師が67.1%を占めた(図1)。診療所・クリニックに勤務する医師は57.4%と比較的低く、一般病院や大学病院に勤務する医師はそれより10ポイント以上高かかった。頻度は半年に1度以上は医師が全体の半数程度に上り、月に1度以上も1割以上占めていたことから、高頻度に遭遇する医師も相当数いることがうかがええた(図2)。
経験がある671人に内容を聞いたところ「スタッフの対応が気に食わない、とクレームをつける」が60.5%、そのほか自分を優先した診察の要求や待ち時間に関するクレーム、過剰投薬の要求、治療法や治療薬についての強硬な主張が続いた。
そのような患者に対し医師個人としては「以後の診察を拒否」(34%)、「転院させた」(17.6%)といった対応がみられた。一方、施設としても「対応担当者を決める」「対応マニュアルがある」がそれぞれ3割程度あった。そのほか警察OBの雇用、弁護士など法律専門家の支援を得る体制作りなどが挙がった(
図3)。
自由意見欄には「心身ともに疲れ果てて半年間うつ病で入院した」「逃げ場のない個室で診察している際に監禁された」などの深刻な訴えから「院外なら暴行罪や脅迫罪となるが病院内だと不当に軽く扱われる」といった憤りまで、診療現場でモンスターペイシェントの影響が大きいことをうかがわせるコメントが寄せられた。医師個人での対策としては、ICレコーダーの活用が挙がったが、施設単位や国レベルでの対策を求める意見が多く、実際に「医師会の顧問弁護士に相談」「院内でブラックリストを作成して問い合わせの際に活用」「接遇の院内勉強会を定期的に実施」など、施設での取り組みが強化する動きもみられた。