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欧州医薬品業界 最近注目のトピック

公開日時 2013/07/12 05:00

EUでは、アストラゼネカ(AZ)がケンブリッジに新本社を設置、EUと米国との間で世界最大となる自由貿易協定(FTA)の協議を開始、米ファイザーの勃起不全治療薬バイアグラの特許切れで同ジェネリック医薬品が参入、アイルランドで後発品代替調剤制度の導入など話題に事欠かないが、それらがEUの医薬品産業にどう影響するか注目されている。


AZは、6月18日に、英国の学術研究・臨床研究の拠点であるCambridge Biomedical Campus(CBC)の拡張地域に移転することを発表した。


実際、AZは、多数のバイオテクブレークスルーの源であり、かつ、CBCに位置するMedical Research CouncilのLaboratory of Molecular Biology(LMC)やNHS(英国民保健サービス)最大の教育病院であるAddenbrooke’s Hospitalと提携する計画だ。また、その場所には、Cancer Research UKのCambridge InstituteやUniversity of Cambridgeの臨床医学部がある。さらに、1918年創立の結核医療に伝統のあったPapworth Hospitalが移転してくる。同病院は現在、心肺医療の筆頭である。


LMCは、Celltech(現UCBグループ)、Biogen(現Biogen Idec)およびRibo Targetsの創設に役立ってきたため、AZが、すでに主流を外れた物質の再評価についてMRCと共同研究を始めていることも不思議ではない。Addenbrooke’s Hospitalも医薬品開発に怠けてはいない。また、英国の最新のバイオテクのXO1 Ltdは、6月16日にCambridge UniversityおよびバイオベンチャーのIndex Venturesとの共同研究を発表している。以上のように、CBCをめぐる動きは活発である。


3億3000万ポンド(5億1000万ドル)を投資する新規のAZの新本社は、2016年に完成予定、2000人のスタッフを擁し、メリーランド州Gaithersburgおよびスウェーデンを含めた3つのR&Dセンターのひとつともなる。アダリーパーク、ロンドン、およびMedimmune社のGranta Parkの施設、さらにCambridgeの施設から従業員が異動する。これは、今年3月にPascal Soriot新社長が発表したR&D組織再編の一環で、R&D人員は全体で1600名削減される予定になっている。


EFPIA(欧州製薬団体連合会)は、6月24日から開催された総会で、ノベール賞受賞者であるPrinceton Universityの経済学者Paul Krugman氏の講演を催した。同氏は、欧州が緊縮財政を乗り越えることを促した。しかし、欧州の新規の研究計画Horizon2020への投資は疑わしい状況で、医薬品業界が成長するためにはEUは頼りにならないかもしれない。


そのような環境下で、米国との「大西洋横断貿易・投資パートナーシップ」(Transatlantic Trade and Investment partnership)が実現すると、貿易への刺激がひとつの解決策になるかも知れない。EUは6月14日に米国との交渉の準備ができたと発表、規制問題など非関税障壁撤廃の交渉に入る予定だ。医薬品が交渉の重要な項目になるかどうかを言うには時期尚早だが、規制に大きく縛られている医薬品業界にとっては、関心の強いところである。EUは日本とFTAの交渉を行っており、カナダとはもうすぐ3年間に及んだ交渉が終了する。


EFPIAは国際的協力を推進しているが、そのひとつは、規制調和などについて中国医薬品産業協会(China Pharmaceutical Industry Association)との協力協定を5月29日に締結したことだ。中国側としては、同国の医薬品産業の近代化に役立てたい考えだ。


米ファイザーの勃起不全治療薬Viagra(シルデナフィル)の英国特許が6月21日で切れた。欧州各国でも近々切れる予定だ。英国ではすでに約30社が同剤の後発品承認を取得、英国後発医薬品協会(British Generic Manufacturers Association)は、同後発品が発売されると、英国でのVaigraの薬価は、数か月で約9割のレベルになるとみている。米国でのViagraの特許は、2020年まで有効。


アイルランドが、5月末に参照価格と後発品代替調剤を組み入れた新規の後発品薬価制度を導入した。欧州では、この種の制度を導入する最後の国といえる。アイルランド医薬品委員会(Irish Medicines Board)は、後発品に代替可能な製品リストを策定中である。具体的には、ブランド品が処方されたら、それが入手できるか、リストに収載されていれば、薬剤師は安価な後発品に代替調剤できる。


同委員会は、同制度で、アトルバスタチンから作業を始めている。一方、価格決定を担当するHealth Service Executiveは、代替可能な製品の各グループの価格を設定中だ。アイルランドや他国などの状況を考慮すると、いまや英国は、欧州では新製品が発売時に自由価格である少ない国のひとつである。


The Pink Sheet 6月24日号
 






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