【World Topics】3Dゲームで老化した脳の機能回復
公開日時 2013/12/24 03:50
マルチタスクを要求される3Dのビデオゲームで遊ぶと(遊び方のトレーニングを受けると),高齢者の脳が若返る。UCSF(カルフォルニア大学サンフランシスコ校)の研究者等が実験によって実証し、雑誌ネイチャー(9月5日号)に発表した。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
研究に用いられたゲームはUCSFの研究者が制作したオリジナル。くねくねした山道を車を運転して進むゲームで、運転者は道中、多種多様な標識やポップアップに対応するため、またハプニングに対処するために,迅速且つ適確にハンドセットを操作するよう要求される(トレーニングされる)。その多くはマルチタスクである。
実験に参加したのは60歳から85歳までの高齢者で、1ヶ月間に合計12時間のトレーニングを受けた。トレーニング後の高齢者のスキルは、初めてこのゲームをやる20歳代の若者に遜色がなかったばかりか、実験(トレーニング)後には、作業記憶と注意力の持続力が大幅に改善された。しかも、実験後1ヶ月後および6ヶ月後のフォローアップ・テストの結果、マルチタスクでトレーニングした高齢者は、6ヶ月を経てもほとんど回復した機能を失わずに維持していることも明らかになった。
実験をリードした Dr.Adam Gazzeley(医師/脳神経学者)は「高齢者の脳には、大きな可塑性があることが実証された。老化によって失われると考えられてきた機能も、トレーニングによって回復可能」と語っている。
http://gazzaleylab.ucsf.edu/lab-director.html
ゲームに取り組む高齢者の様子、および研究者等による解説はYouTubeで観ることができる。
http://www.youtube.com/watch?v=PbsGtFgEgdk