13年の医薬事業売上高は約１％増の2610億円、営業利益は約９％減の461億円だった。最主力品のネスプは、12年12月に使いやすさを狙い液量を0.5ｍLに統一した製品を発売し、その時期に出荷した反動で、13年売上に影響し20億円減の560億円となった。100億円以上製品では二次性副甲状腺機能亢進症治療薬レグパラや抗アレルギー薬パタノールの伸びはあるものの、抗アレルギー薬アレロック、高血圧症治療薬コニール、G-CSF製剤グラン、抗てんかん薬デパケンが減収。

 

加えて、13年に発売した新薬▽パーキンソン病治療薬ノウリアスト（５月発売）▽２型糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬オングリザ（７月発売）▽がんによる突出痛治療薬アブストラル（12月）－－も減収した製品をカバーする段階には至っておらず、医薬事業は微増収の結果となった。

 

 

その３新薬の中で比較的市場の大きいオングリザの売上高は11億円。第４四半期は０億円で、発売した第３四半期の売上によるもの。14年計画も25億円。同社は実績、計画も「想定どおり」と説明しているが、SGLT2阻害薬の参入も考慮に入れると、今後の市場浸透には課題が大きいことをうかがわせる実績と見通しとなった。

 

14年業績予想も、全体的には同様の傾向が続くうえに薬価改定が加わり、売上高は約４％減の2500億円、営業利益は約28％減の330億円。ネスプほか100億円以上の製品が伸び悩み、新薬は領域や患者が限られるスペシャリティ製品が多く、比較的市場の大きいオングリザについては緩やかな成長を描く中では、医薬事業は大きな成長を見込みにくい事業構造になってきている。

 

その中で同日、中期経営計画の2015年時点の売上高、営業利益などの指標を引き下げたことを明らかにした。医薬事業の見通しを引き下げたことによるもので、医薬事業売上高は当初より50億円引き下げ2650億円、営業利益は70億円引き下げ450億円にした。同社は、正式なコミットメントは14年決算時に行うという。MRなど人員削減を行う計画はないとしている。

 

【連結実績（前年度比）　14年通期予想（前年度比）】

売上高　　3406億1100万円（2.2％増）　3370億円（1.1％減）

営業利益　 517億7300万円（2.1％減）　 410億円（20.8％減） 

経常利益　 495億0200万円（1.0％増）　 350億円（29.3％減）

純利益　　 300億7800万円（24.3％増）　 200億円（33.5％減）

 

【通期主要製品売上（前年同期）　14年予想、億円】

ネスプ　       560（581）541 

エスポー　      32（ 39）   25

２剤計　       592（620）567

 

アレロック　　 276（299）237

コニール　     155（171）124

レグパラ　　　 151（134）160

パタノール　   134（102）120

グラン　       　 124（135）  85

デパケン　      105（107）   98

アサコール　    54（ 41） 　 60

フェントス          53（ 46）    64

ナウゼリン        45（ 49）    44

ロカルトロール 41（ 36） 　42

コバシル　        34（ 35） 　30

５－FU              27（ 28） 　24

ロミプレート      25（ 17） 　26

オングリザ　　　11（　 -） 　25

ポテリジオ　　　11（ 11） 　20

ナベルビン　     11（ 13）     8

ノウリアスト         5（    -）   38