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PREVAIL 化学療法未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者へのエンザルタミド投与で有効性示す

公開日時 2014/02/13 00:00

化学療法未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に経口アンドロゲン受容体阻害剤・エンザルタミドを投与することで、プラセボに比べ、全死亡リスク が29%、画像診断による増悪または死亡リスクが81%いずれも有意に低下することが分かった。国際共同臨床第3相試験として、無作為化二重盲検プラセボ 対照で実施された「PREVAIL」で示された。米国サンフランシスコで1月28日~2月1日まで開催されたASCO 2014 Genitourinary Cancers SymposiumのWelcome and General Session 1 およびGeneral Poster Session AでOregon Health and Science UniversityのTomasz.M.Beer氏が発表した。

 

エンザルタミドは、前立腺がんの発症や進行にかかわるアンドロゲン受容体シグナル伝達を複数の作用で阻害する1日1回投与の薬剤。米国では2012 年8月、欧州では13年4月に化学療法施行歴を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんの適応で承認されている。日本では、前立腺がん治療薬として13年5月 24日に承認申請している。

試験は、化学療法未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がんで症状のないまたは少ない患者を対象に、エンザルタミドの有効性を検証することが目的。米国、カナ ダ、欧州、オーストラリア、ロシア、イスラエル、日本を含むアジア諸国など22か国207施設で実施された。主要評価項目は、全生存期間(OS)と画像診 断による無増悪生存期間(rPFS)。

患者登録は2012年5月に終了。規定の死亡イベント数発現後に中間解析を実施し、エンザルタミド群で主要評価項目(OS、rPFS)が有意に改善された ことから、独立データモニタリング委員会が試験の早期終了とプラセボ群に割り付けられた患者にエンザルタミドによる治療の提案を勧告していた。今回はじめ て安全性データを含む詳細な結果が報告された。

対象は、化学療法未治療の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者1717例で、エンザルタミド160mg/日群(872例)、プラセボ群(845例)の2群に無作為に割付けられた。

解析は540例死亡時点で行われ、OSの追跡期間(中央値)はエンザルタミド群22.2か月、プラセボ群22.4か月。

OS(中央値)はエンザルタミド群32.4か月(95%CI:30.1, 未達)、プラセボ群30.2か月(95%CI:28.0, 未達)で、死亡リスクが29%(ハザード比(HR):0.706、95%CI: 0.60-0.84, p<0.0001)有意に低下した。画像診断による無増悪生存期間(中央値)はエンザルタミド群未達(95%CI:13.8か月, 未達)、プラセボ群で3.9か月(95%CI:3.7, 5.4)で、増悪または死亡リスクは81%有意に低下した(HR:0.186, 95%CI: 0.15-0.23, p<0.0001)。これらのベネフィットは、ECOG PS(0または1)や年齢(75歳未満、以上)、患者登録地域、内臓疾患の有無などのサブグループにかかわらず一貫して認められた。

測定可能な軟部組織疾患を有していたエンザルタミド群396例、プラセボ群381例における奏効率は58.8%(CR:19.7%、PR;39.1%)、 4.9%(CR1.0%、PR3.9%)で、エンザルタミド群で有意に良好だった(p<0.0001)。化学療法開始までの期間(中央値)はエンザ ルタミド群28.0か月、プラセボ群10.8か月で、エンザルタミド群で有意に長かった(HR:0.35、95%CI: 0.30-0.40、p<0.0001)。

治療期間(中央値)はエンザルタミド群16.6か月、プラセボ群4.6か月、12か月以上治療を継続できた患者は67.8%、18.0%、データカットオフの時点で治療を継続していた患者は42.1%、7.2%だった。

有害事象(AE)の発生率は、エンザルタミド群96.9%、プラセボ群93.2%、重大なAE(SAE)は32.0%、26.8%、グレード3以上の有害事象は42.9%、37.1%だった。

またグレード3のAE発生までの期間(中央値)はエンザルタミド群22.3か月、プラセボ群13.3か月、有害事象による試験中止は5.6%、6.0%、有害事象による死亡は4.2%、3.8%だった。

エンザルタミド群で多く認められたAEは疲労、背部痛、便秘、関節痛で、多くはグレード1/2だった。グレード3以上の心毒性はエンザルタミド群 2.8%、プラセボ群2.1%、高血圧は6.8%、2.3%、ALT上昇は0.2%、0.1%。痙攣発作が各群1例に発現したが、Beer氏は「登録時点 では明からではなかったが、2例とも痙攣発作の既往を有していた」と説明した。

Beer氏は、「エンザルタミドは転移性去勢抵抗性前立腺がんで症状がないまたは少ない患者に、意義ある臨床ベネフィットをもたらす新たな治療選択肢だ」 と強調。「適応が認められれば、化学療法施行前の標準療法となるだろう」との見解を示した。 (取材 医学ライター/リポーター 中西美荷)

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