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外資系製薬企業で頑張っているMR、リーダーへのアドヴァイス

公開日時 2014/06/13 00:00

イーピーエス株式会社
榎戸 誠

 

【外資系企業】

日本には、多くの外資系製薬企業が存在している。外資系であろうと内資であろうと、企業で働く上で重要なことは共通しているが、グローバルな舞台で成功するためのポイントというものがあるのも確かだろう。

外資系企業で成功している人に教えを乞おうと思っても、そう簡単にはいかない。その人の経験が特殊なケースだったり、経験豊富な人であっても本音で語ってくれるとは限らないからだ。

 

【GEの仕事術】

この意味で、『GE 世界基準の仕事術』(安渕聖司著、新潮社)は、願ったり叶ったりの本と言える。著者が、リップルウッド、UBS証券、ジェネラル・エレクトリック(GE)といった外資系企業で豊富な経験を積み、現在、GE Japanの代表を務めている人物だからである。その論旨は明快で、その上、正直に語っている。

GEのポリシー、リーダーシップ、評価、人材育成、仕組み、カルチャー、危機対応などが手際よく紹介されているので、内外を問わず、企業経営者にとって、有益なテクストの一冊と言えるだろう。

 

【MR、リーダー向け】

外資系製薬企業で頑張っているMR、リーダーには、「グローバルな舞台で成功するために」という実践的な章が役に立つと思う。

著者は、「英語力よりも、何を語るかが、重要」と強調している。だからと言って、一定以上の英語力が必要なことは言うまでもない。英語を上達させるポイントは、「自分の興味のあるところから入っていくということです。自分の好きなものについて、英語ではなんと言うのか、そういうところから入っていくのが、上達には一番の近道ではないでしょうか。まったく興味のないことをずっと勉強するのは、とてもつらいものです。だから、語学だけを学ぼうとするのではなく、語学を通じて何かを知りたい、という流れが作れるといいと思います」。因みに、著者はバスケットボール、映画、ミステリ小説を通じて、英語力を磨いていったということだ。

著者は、30歳を過ぎてから留学したハーヴァード・ビジネス・スクールで、「ちゃんと自分なりに用意した意見さえあれば、ネイティブほどうまくしゃべれなくても、まったく関係がない。英語のうまい下手ではないのだ」ということに気がつく。

そして、ここの2年間で学んだことを7つ挙げている。
①世の中は決して公平にはできていない。この現実を受け容れろ。
②複数分野でのエクスパートにはなかなかなれない。自分の強み、弱みをしっかり理解しておいて、自分の得意分野を作っていけ。
③不完全な情報の中で意思決定をしなければならない。
④知識というのは、どんどん陳腐化していくものだが、問題へのアプローチや考え方の枠組みのようなものは陳腐化しない。
⑤人生において一番貴重な資源は時間である。常に、決められた時間の中で優先順位をつけよ。
⑥リスクを取らなければ、リターンはない。自らリスクを取りにいけ、自分から前に出ていって積極的に何かをやれ。
⑦アイデンティティは極めて重要だ。自分は、日本という国の歴史や生活習慣などを持っている日本人であることを堂々と披露しろ。

 

【成功のポイント】

著者は、自分の体験を踏まえて、グローバルな舞台で成功するためのポイント5つを、次のような英文で表現している。
①Who are you?(そういう発言をする君は、そもそも誰で、どういう立ち位置からその意見を言っているのか。自分の国の制度、歴史、文化などをきちんと知っているか、欧米との違いも認識しているか)
②What are you interested in?(新しいことを、新しいことだと認識できるか、新しいことを、どれだけ学べるか。ビジネス以外の芸術、歴史、科学などの教養も含め、広く学び続けられるか)
③What do you think?(自分の頭で考えて、どう思うか。自分が思ったことを、自信を持って、堂々と言えるか)
④How do you come up with ideas?(新しいアイディアをどうやって創出しているか。多様な意見がぶつかり合う場を積極的に作り出せるか)
⑤Why don’t you speak up?(なぜ、君は発言しないのか。しゃべらない人間は存在しないと認識されてしまうぞ)

 

【最強のチーム】

「ビジネスのリーダーとして成功するために何より大事なことは、やはり最強のチームを作ることができるかどうか、ということに尽きると思っています」。著者は、その最強チームを作る上で、「リーダーに問われるのは、厳しいところ(局面)で踏ん張れるかどうか」だと言っている。「人生にはいろんなサイクルがあります。どんな人でもどこかで必ず厳しさに直面しているはずです。逆にいえば、厳しい局面でこそ、人間の本当の姿が出てくる。厳しいところで、悲観的にならずに、どれくらい踏ん張れるか。本当の難局に直面したとき、人のせいにせずに、自分を追い込めるか、実力が出せるか。その局面、局面でできることをしっかりプランを出してできるか。そういうところでこそ頑張ろうと自分を奮い立たせ、自らに投資できるか」。そして、「問題が起きることはかまわない。問われるのは、それにどう向き合い、対応し、どういう方法で立ち向かうか。問題に対する解決策をしっかり築き上げることができ、それを実行する力があるか、なのです」。著者にこう言われると、俄然、勇気が湧いてくるから不思議だ。

 

【ジョハリの窓】

最後に、著者がいつも意識しているという「ジョハリの窓」を掲げておこう。「自分が知っている自分、他人が知っている自分を4つの窓=カテゴリに分類して理解することで、他人とのコミュニケーションを円滑にする、心理学でよく使われているモデルです。『自分が知っていて、他人も知っている窓』、『自分は知らず、他人が知っている窓』、『自分は知っていて、他人は知らない窓』、『自分も知らず、他人も知らない窓』の4つの窓がありますが、リーダーがやらなければいけないのは、『自分が知っていて、他人も知っている窓』をできるだけ広くすること。その意識を強く持つことです」。

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