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新薬22製品が承認 初のIFNフリーC型肝炎治療薬登場 5成分目のSGLT2阻害薬も

公開日時 2014/07/07 03:52

厚生労働省は7月4日、新薬22製品32品目を承認した。インターフェロン(IFN)を要さず経口薬の併用で高率にウイルスを除去できるC型肝炎治療薬(ブリストル・マイヤーズ)や、5成分目となる経口血糖降下薬SGLT2阻害薬カナグル錠(田辺三菱製薬)が登場した。また、悪性黒色腫の治療薬として小野薬品の抗PD-1抗体オプジーボも承認された。今回承認された製品は、通常なら8~9月には薬価収載され、発売となる。

 

承認された医薬品は次のとおり(カッコ内は成分名と申請企業名)

 

▽ダクルインザ錠60mg(ダクラタスビル塩酸塩、ブリストル・マイヤーズ):「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるインターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者またはインターフェロンを含む治療法で無効となった患者のウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。ウイルス増殖に必要な蛋白質HCV NS5A複製複合体を阻害する新規機序の薬剤。1日1回24週間経口投与する。

 

▽スンベプラカプセル100mg(アスナプレビル、ブリストル・マイヤーズ):「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるインターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者またはインターフェロンを含む治療法で無効となった患者のウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。ウイルス増殖に必要な蛋白質HCV NS3/4Aセリンプロテアーゼを阻害。1日2回24週間経口投与する。

 

ダクルインザ錠とスンベプラカプセルは併用して用いる。いずれも世界初承認。国内でのC型肝炎治療において、IFNの併用を要さない初めての治療法となる。推定患者数は潜在患者も含め推定150~200万人で、約7割がジェノタイプ1型に該当するとされる。

 

▽カナグル錠100mg(カナグリフロジン水和物、田辺三菱製薬):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。腎臓の近位尿細管で糖を再吸収するナトリウムグルコース共輸送担体2(SGLT2)を選択的に阻害し、過剰な血糖を体外に排出する。1日1回100mgを朝食前または朝食後に経口投与する。田辺三菱製薬と第一三共が共同販売する。

 

▽オプジーボ点滴静注20mg、同100mg(ニボルマブ遺伝子組換え、小野薬品):「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。世界初承認。T細胞などの表面に発現し、免疫反応を負に制御する受容体PD-1の働きを阻害する抗PD-1抗体。がん細胞を排除する免疫反応を活性化する新規作用の抗がん剤。

 

▽ザイティガ錠250mg(アビラテロン酢酸エステル、ヤンセンファーマ):「去勢抵抗性前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。男性ホルモンであるアンドロゲンの合成酵素の1つCYP17を阻害する。アンドロゲン合成を阻害し、アンドロゲン受容体の活性化を抑制することで、腫瘍の増殖を抑える。プレドニゾロンとの併用で1日1回1000mgを空腹時に経口投与する。

 

▽ジェブタナ点滴静注60mg(カバジタキセル アセトン付加物、サノフィ):「前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。細胞内の微小管に作用して細胞増殖を阻害する。同様の適応を有するタキサン系抗がん剤にドセタキセルがある。

 

▽アノーロエリプタ7吸入用、同エリプタ30吸入用(ウメクリジニウム臭化物 / ビランテロールトリフェニル酢酸塩、グラクソ・スミスクライン):「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤および長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤。LAMA/LABA配合剤では2剤目。定量式吸入用散剤で、1日1回吸入投与する。

 

▽クレナフィン爪外用液10%(エフィナコナゾール、科研製薬):「皮膚糸状菌(トリコフィトン属)による爪白癬」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。真菌の発育に必要なエルゴステロールの生合成を阻害する。爪真菌症での外用薬は初となる。

 

▽イーケプラ点滴静注500mg(レベチラセタム、ユーシービージャパン):「一時的に経口投与ができない患者における、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法に対するレベチラセタム経口製剤の代替療法」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。消化管の手術時など一時的に経口剤の投与ができない場合に使用する。

 

▽デルティバ錠50mg(デラマニド、大塚製薬):「本剤に感性の結核菌による多剤耐性肺結核」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。既存治療への耐性を有する多剤耐性結核菌に使用する初の薬剤で、結核菌特有な細胞壁成分のミコール酸の生成を阻害する。推定患者数は年間110~120人。

 

▽アレセンサカプセル20mg、同40mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。世界初承認。ALK陽性の非小細胞肺がん推定患者数は1600~3900人。アレセンサはALKを介するシグナル伝達を阻害することで腫瘍増殖を抑制する。

 

▽ジャカビ錠5mg(ルキソリチニブリン酸塩、ノバルティス ファーマ):「骨髄線維症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。造血組織である骨髄が線維化することで、正常な血液の産生が妨げられる進行性の血液がんに対し、ジャカビはJAK1やJAK2を標的として脾腫の縮小や諸症状を改善することが見込まれるチロシンキナーゼ阻害剤。推定患者数は約1500人。

 

▽アネメトロ点滴静注液500mg(メトロニダゾール、ファイザー):「各種嫌気性菌感染症、感染性腸炎、アメーバ赤痢」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。欧米を含む30カ国以上で承認済み。経口剤は塩野義製薬、膣剤は富士製薬が製造販売している。静注剤では膿胸や胆嚢炎など既存製剤にはない効能・効果も含まれる。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発が必要と判断され、開発企業の募集が行われ、ファイザーが応募したもの。

 

▽メナクトラ筋注(4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリアトキソイド結合体)、サノフィ):「髄膜炎菌(血清型A、C、Y、およびW-135)による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。感染例の発生は主に中央アフリカで、投与対象はこの地域への渡航者となる見込み。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発が必要と判断され、開発要請されていた。

 

▽バイクロット配合静注用(乾燥濃縮人血液凝固第10因子加活性化第7因子、化学及血清療法研究所):「血液凝固第8因子又は第9因子に対するインヒビターを保有する患者の出血抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品、新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。インヒビターの発現のため第8因子または第9因子の製剤を補充しても止血効果が著しく低下している際に投与する薬剤。

 

▽ラパリムス錠1mg(シロリムス、ノーベルファーマ):「リンパ脈管筋腫症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。リンパ脈管筋腫症(LAM)は、組織破壊により肺に小さな穴が複数生じることが特徴の疾患で、適応を有する治療薬はなかった。ラパリムスは、肺での平滑筋様細胞(LAM細胞)の異常増殖に関わるたんぱく質mTORの働きを阻害し、効果を発揮する。

 

▽スクエアキッズ皮下注シリンジ〔沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(ソークワクチン)混合ワクチン、北里第一三共ワクチン〕:「百日せき、ジフテリア、破傷風および急性灰白髄炎の予防」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間6年。2003年承認の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(北里第一三共ワクチン)と2012年承認の不活化ポリオワクチン(サノフィ)の原薬を用いた4種混合ワクチン。

 

▽オルプロリクス静注用250、同500、同1000、同2000、同3000(エフトレノナコグ アルファ遺伝子組換え、バイオジェン・アイデック・ジャパン):「血液凝固第9因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外では米国とカナダで承認済み。

 

▽献血グロベニン-I静注用500mg、同2500mg、同5000mg(乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、日本製薬):「スティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症(ステロイド剤の効果不十分な場合)」の効能・効果を追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。第一選択薬はステロイドの全身投与だが、効果不十分な場合として人免疫グロブリンの使用が考慮される。

 

▽ドボベット軟膏(カルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、レオ ファーマ):「尋常性乾癬」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間6年。欧米を含む97カ国で承認済み。カルシポトリオールは皮膚の再表層が厚くなる角化異常を抑制し、ベタメタゾンジプロピオン酸エステルは抗炎症作用を発揮する。単剤ではそれぞれ承認済みであるが、配合剤では初登場。尋常性乾癬の国内推定患者数は10~20万人程度。

 

▽ビプリブ点滴静注用400単位(ベラグルセラーゼ アルファ遺伝子組換え、シャイアー・ジャパン):「ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫および骨症状)の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。ゴーシェ病は、グルコセレブロシダーゼが不足または欠損する遺伝性疾患。国内推定患者数は100人未満。ビプリブは酵素蛋白質製剤で、欠損酵素の補充により症状を改善する。

 

▽ニシスタゴンカプセル50mg、同150mg(システアミン酒石酸塩、マイラン製薬):「腎性シスチン症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。ライソゾーム内のシスチンと反応することで細胞外に排出可能な状態とし、細胞内のシスチン濃度を低下させる。腎シスチン症の推定年間発症者数は5~10人。この適応を有する既存薬はなく、食事療法、腹膜透析、腎移植などが行われていた。 

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