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14年度国内医療用薬市場 0.6%のマイナス成長 GEの急速な浸透で IMSまとめ

公開日時 2015/05/21 03:52

IMSジャパンは5月20日、日本の2014年度(14年4月~15年3月)の医療用医薬品市場が薬価ベースで9兆9586億8700万円、前年度比0.6%減だったと発表した。市場のマイナス成長は06年度(0.5%減)以来。前回薬価改定のあった12年度は0.3%増、13年度は4.8%増のプラス成長だった。14年度は、14年4月の消費税率引き上げ相当分が薬価に加わったが、消費税率引き上げに伴う3月までの駆け込み需要(=仮需)の反動や薬価改定影響のほか、ジェネリック(以下、GE)の急速な市場浸透、ARBブロプレスやディオバンといった大型品の特許切れ・GE参入があったことが、市場のマイナス成長につながったとみられる。

文末の「関連ファイル」に医薬品市場全体、上位10薬効、売上上位10製品などの資料を掲載しました(5月25日まで無料配信、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。

14年度の医療用薬市場を詳細に見ると、市場規模別では、100床以上の病院市場が3兆9461億9400万円(前年度比0.5%増)、100床未満の開業医市場が2兆1395億5700万円(4.8%減)、主に調剤薬局で構成する「薬局その他」市場(以下、薬局市場)が3兆8729億3700万円(0.8%増)――。

例年の動向と比べると、薬局市場の伸び率の鈍化が目立つ。同市場では12年度に2.2%増、13年度に7.2%増であり、14年度の1%未満の成長率は調剤薬局を対象にしたGE使用促進策による影響と分析できそうだ。

■売上1000億円以上 プラビックスとアバスチンの2製品

売上上位10製品を見てみると、売上第1位は前年度に引き続き抗血小板薬プラビックス(売上1247億7300万円、前年度比1.8%減)、第2位は前年度3位だった抗がん剤アバスチン(1043億6000万円、11.5%増)となった。売上1000億円超はこの2製品のみ。第3位はARBオルメテック(第一三共分、売上899億5100万円、2.6%減)だった。

一方、前年度に売上1000億円超で売上ランキング第2位だったブロプレスは今回9位に後退し、売上724億8400万円、前年度比29.1%減。ブロプレスは14年9月にオーソライズドジェネリック(AG)が登場、12月にGEが参入しており、2ケタ減収はこの影響とみて間違いないだろう。

14年度に初めて売上トップ10入りしたのは、第5位のPPIネキシウム(825億9500万円、31.6%増)、第7位の疼痛用薬リリカ(770億4600万円、19.3%増)、第10位のARBミカルディス(718億6300万円、0.7%減)――の3製品。これによってトップ10圏外となったのは、14年6月にAG及びGEが登場したディオバン(売上非開示、51.8%減)、認知症薬アリセプト(非開示)、抗がん剤リュープリン(非開示)となる。

■薬効内売上トップ製品 RA系作用薬、脂質調整薬、潰瘍薬、喘息薬で交代

薬効領域別に上位10薬効を見てみる。前年度と比べて上位6薬効は順位に変動はなく、眼科用薬がトップ10入りした。圏外となったのは向精神薬。また、14年度に市場が伸びたのは抗腫瘍薬、糖尿病治療薬、抗血栓症薬、免疫抑制薬、眼科用薬――の5薬効、市場縮小したのはレニン-アンジオテンシン(RA)系作用薬、脂質調整薬及び動脈硬化用薬、制酸剤・鼓腸及び潰瘍治療薬、全身性抗菌薬、喘息及びCOPD治療薬――の5薬効だった。

市場規模で第1位の抗腫瘍薬(7583億4000万円、6.0%増)では、これまでの傾向と変わらず分子標的薬が市場をけん引している。薬効内の売上トップ製品はアバスチンで、ベルケイド(武田売上分)は9.6%増、スプリセルは15.6%増だった。

第2位のRA系作用薬(5935億3400万円、8.6%減)はブロプレス、ディオバンの減収が大きく影響してマイナス成長となった。薬効内の売上トップ製品はこれまでのブロプレスからオルメテック(第一三共分)に交代した。

第3位は糖尿病治療薬(4848億1600万円、3.2%増)では、DPP-4阻害薬に市場拡大再算定が適用されたものの、同市場はプラス成長した。薬効内の売上トップ製品はジャヌビアだが7.4%の減収となる一方、売上を伸ばしたのはエクア(5.3%増)、トラゼンタ(47.6%増)、メトグルコ(14.2%増)などとなる。

第4位の抗血栓症薬(4398億2900万円、2.2%増)では、薬効内の売上トップ製品のプラビックスは減収となったが、イグザレルトが56.9%増、エリキュースが917.7%増となるなど新規の経口抗凝固薬の急成長により市場全体はプラス成長した。第5位の脂質調整薬(3959億5100万円、7.7%減)では薬効内の売上トップ製品がリピトール(25.7%減)からクレストール(塩野義分、7.0%増)に交代した。第6位の潰瘍治療薬(3907億9100万円、7.5%減)では多くの製品が大幅な減収となり、薬効内の売上トップ製品もこれまでのタケプロン(23.2%減)からネキシウムに交代した。

第7位の免疫抑制薬(3426億900万円、2.4%増)は今回ランキングをひとつ上げた。薬効内の売上トップ製品のレミケード(4.7%減)など一部の抗リウマチ薬に市場拡大再算定が適用されたが、レブラミド(18.2%増)などが成長した。第8位の全身性抗菌薬(3253億7900万円、8.0%減)は今回ランキングをひとつ下げた。薬効内の売上トップ製品のクラビット(第一三共分、13.8%減)となるなど多くの製品が減収となる中、薬効内売上2位のゾシンは9.0%増となった。第9位の喘息薬(3160億6600万円、1.8%減)は、薬効内上位10製品中4製品が2ケタの減収。また、薬効内の売上トップ製品はアドエア(10.2%減)からシングレア(0.8%増)に交代した。

第10位の眼科用薬(3052億700万円、7.7%増)は、薬効内の売上トップ製品のルセンティス(43.4%増)、2位のアイリーア(43.0%増)が同市場をけん引、いずれも加齢黄斑変性治療薬である。

■売上上位20社の総売上 前年度から2.5%減 市場全体の減少率を上回る

企業別の売上ランキングを見てみる。医薬品卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ「販売会社」ベースでは、売上上位20社の総売上は6兆5860億9100万円で前年度から約1676億円減、減少率は市場全体の0.6%減を上回る2.5%減となった。

上位20社に新たにランクインした企業はないが、順位を上げた企業は6社(内資系2社、外資系4社)、下げた企業は5社(同3社、2社)、前年度と同じ企業は9社(同5社、4社)。売上トップ3は1位が武田薬品、2位がアステラス、3位が第一三共で前年度と順位に変動はない。

販促会社が2社以上の場合、製造承認を持っているなどオリジネーターにより近い企業に売上を計上する「販促会社」ベースで企業ランキングを見てみる。トップから7位までの順位に変動はなく、1位はファイザー、2位は武田薬品、3位は第一三共――。また、8位~20位までの13社中10社で順位が変わり、新たにブリストル・マイヤーズがランクインした。20社中で売上を伸ばしたのは6社で、全て外資系だった。なお、順位を上げた企業は7社(同3社、4社)、下げた企業は3社(同2社、1社)、同じ企業は10社(同4社、6社)――だった。

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