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英国 医師と製薬企業の関係透明化で「サンシャイン条項」施行へ 医師の薬剤使用見返り発覚受け

公開日時 2015/09/03 03:50

英保健省は2016年から、英国版”サンシャイン条項”を施行する考えだ。サンシャイン条項は、米国のヘルスケア改革法の一条項。医師と製薬企業との関係性透明化のため、金品の贈答や講演料などに特化して不正を防ぐ目的で制定された。英国では、これまで賄賂などを取り締まる法律はあったものの、こうした不正についての法律はなかった。しかし最近になって、医師によるNHS(国民保健サービス)における薬剤使用について製薬企業に見返りを要求する事件が発生するなどしたため、法律の施行の検討に至った。英一般紙「The Telegraph」8月22日付が報じた。


同紙が先月実施した覆面調査では、NHSの幹部スタッフが医薬品企業のコンサルタントとして薬剤の選択を担当、薬剤納入の便宜を図り、当該企業から金銭を支払われたことを明らかになったという。しかも、製薬企業のために「諮問委員会」を組織する目的で1万5000ポンドを要求したことも判明した。その会合は世界各地の高級ホテルで開催されたという。


政府が実施した調査では、NHSへの納入医薬品や医療機器において、病院によって同じ製品に支払った価格の差異が大きすぎることも分かった。


Jeremy Hunt保健大臣は、同紙の調査に関心を寄せ、その背景には、NHSのスタッフらに製薬企業や医療機器企業から金銭の支払いや接待が行われた憂慮すべきエビデンスがあると指摘した。そのうえで、「複数のNHSのスタッフが、NHS基金を奪い、納税者のカネを患者ケアからむしりとっている」と非難した。



しかし、同長官は、「民間企業とNHSの『分別ある協力関係』を停止したくはない」とした上で、「我々は、不正を許さない」と話した。さらに、ほんの少数のスタッフが不正行為を行い、絶対的多数はこれにあきれているとした。


Hunt大臣は、英国版サンシャイン条項は、米国で2013年に導入されたサンシャイン条項を基礎としていると説明している。保健省は、不正に関与したスタッフは、解雇を含む懲戒処分や罰金あるいは禁固刑などを科せられるとしている。英国版サンシャイン条項では、NHS所属の全病院およびGP(一般診療所)に医薬品企業からの接待や贈答の記録を保持することを求めている。



2012年の「ヒト医療規制法」(The Human Medical Regulations)では、医薬品等の購入の資格のあるものに医薬品プロモーションに絡んで金品を贈答することを禁じている。同法違反が確定すると2年の懲役刑となる可能性がある。賄賂および詐欺は、2010年賄賂法および2006年詐欺法の対象である。賄賂法で有罪が確定すると10年までの懲役刑か上限なしの罰金。今後、英国版サンシャイン条項がどのように運用され、実効性を上げるかが注目される。

 

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