【World TOpics】サプリメントにご用心!
公開日時 2016/05/15 03:50
アメリカ人はサプリメントが大好きだ。サプリメント専門のいわゆるビタミン・ショップはもとより、WalgreensやCVS等のドラッグストアでも、Wholefoodsのような高級スーパーでも、 TargetやWalmartのような大衆的な量販店でも、それぞれの客層に合わせた種類も価格帯もさまざまなサプリメントが大量に売られている。
だが、サプリメントの消費量が増大するにつれ、 一方でサプリメントと医薬品tとの飲み合わせ問題がじわじわと拡大し、深刻になっている。
問題は多様だ。処方薬の効果をサプリメントの成分が消してしまう場合、逆に増幅させて過剰摂取を結果する場合、さらには飲み合わせで毒性を発揮する場合もある。ウォールストリートジャーナル紙の特集(The Risks of Supplements, WSJ 03/01/2016)が以下の事例を紹介している。
免疫力を上げ風邪を予防するとして多くの人に愛用されているエキナセア(Echinacea)は、キモセラピーの効果を低下させ、 特に乳がん治療薬の薬効に影響すると考えられている。
糖尿病でインスリンをコントロールしている人はニンニクの成分を含むサプリ服用の際には注意が必要だ。また糖尿病の民間療法に用いられるアルファルファはホルモン分泌に影響し、経口避妊薬の薬効を狂わせると指摘されている。
マグネシウムを大量摂取すると抗生剤が効かなくなる場合がある。
抑うつ症状、倦怠感、睡眠時無呼吸症、慢性的な痛みの改善などに効果があるとされるセイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort)はホルモン療法薬、HIV/AIDS治療薬、免疫抑制剤などの薬効を低下させると指摘されている。
一般に不眠症の改善に用いられ 、日本では更年期のイライラ改善効果を謳われることの多いカヴァ(Kava)は乳がんの治療薬の薬効を下げる可能性があり 、米国で更年期の女性がよく摂取するアカツメクサ(Red Clover)は血液を薄くすると言われている。
最近米国では医師やクリニックを受診すると日常服用しているサプリメントについて詳しく申告するよう求められる。申告結果はこうして解析されているのかと納得させられる状況が始まった。ビッグデータの時代、医療機関や保険会社にさらにデータが蓄積すればより精緻な情報が得られるようになるだろう。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
http://www.wsj.com/articles/what-you-should-know-about-how-your-supplements-interact-with-prescription-drugs-1456777548