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製薬協・畑中新会長 高額薬剤議論で「薬価の引き下げだけでは限度」 適正使用で薬剤の価値伝える

公開日時 2016/05/27 03:52

日本製薬工業協会は5月26日、総会で任期満了に伴う改選を行い、畑中好彦氏(アステラス製薬株式会社社長)を新会長に選任した。抗がん剤・オプジーボに端を発した高額薬剤も医療保険財政との観点から議論となっているが、「革新的な医薬品はイノベーションの賜物。開発の意欲をそぐような制度であってはならない」と述べた。その上で、「薬価の引き下げだけでコントロールしようというのは限度が来ている」と指摘。「ベストな患者に対して薬剤を使っていただく適正使用の推進、バイオマーカーやコンパニオン診断薬の研究などを通じて、患者層を特定するような活動」が製薬企業の取組として必要との考えを示した。畑中会長はこうした活動を通じ、「薬剤が高額だからという議論ではなく、どのような価値をもって投与されるのかという議論ができることが必要だ」との見解を示した。


◎医薬品へのアクセスと持続可能な保険医療制度との両立を目指す 


畑中会長は、会長就任にあたり、新薬の開発を通じた社会貢献の継続と、イノベーションが適切に評価される仕組みの実現に向けた提言を行う考えを表明した。一方で、高齢化の進展に伴う医療費の伸び抑制が施策となることに理解を示した上で、官民対話などを通じた「ステークホルダーの方々との対話を重ねることで、医薬品へのアクセスと持続可能な保険医療制度との両立を目指す」考えを示した。

2016年度の事業方針としては、▽イノベーションの促進による医療の質の向上、経済発展への貢献、▽国際展開の推進とグローバルヘルスへの貢献、▽コンプライアンスのさらなる徹底と国民の信頼感の一層の醸成、▽産業理解の一層の推進――を柱にあげた。

イノベーションの促進では、日本医療研究開発機構(AMED)との密な連携による革新的新薬の創出や、2017年度税制改正に向けて経団連などと連携した研究開発税制の維持・拡充、さらには薬価制度によるイノベーションの適切な評価をあげた。薬価制度については新薬創出・適応外薬解消等促進加算の制度化・本格的実施に取り組む。また、特例拡大再算定についてはイノベーションに向けた取り組みを否定するとして「到底容認できない」との立場を改めて表明。「次期薬価制度改革時に撤廃を求める」考えも示した。


◎予見可能性高いマーケットに向けた環境整備に注力


畑中会長は、製薬企業を取り巻く環境変化について、各国で医療費の伸び抑制が政治課題となっていることに加え、開発パイプラインが変化する中で、創薬に費やす時間やコスト面の負担が大きくなっていることをあげ、「チャレンジングなところはある」との認識を示した。

その上で、高齢化に伴う需要の伸び、科学の進歩、薬価制度におけるイノベーションの評価などのプラス面もあるとの認識も示した。2016年度薬価制度改革で、先駆け審査指定制度加算が新設されたが、米国のブレイクスルーセラピー制度、EMAのPRIMEなどをあげ、「イノベーションをできるだけ早く届けようという各国の制度があるなど、追い風の面もある」との認識を示した。

畑中会長は、課題の解決に向けたステークホルダーとの対話が重要との考えを示した上で、「追い風の面を十分に理解した上で投資を続けていきたい」との考えを表明。日本は世界に数少ない新薬創出国であることから、「予見可能性の高いマーケットの環境を団体として求めていきたい」と述べ、環境整備に注力する姿勢を示した。
 

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