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社保審医療保険部会 調剤医療費の伸びを問題視 C肝薬など薬剤料の伸びが影響

公開日時 2016/05/27 03:50

厚生労働省は5月26日の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)に2015年4~11月の医療費全体の動向として、調剤医療費が対前年度比8.2%の伸びを示しているとのデータを提示した。特に、2015年9月以降の伸びが大きく、11月には対前年比12.1%の伸びを示した。この要因として、1種類1日当たり薬剤料の影響が大きいことに加え、抗ウイルス剤など薬剤料の伸びが大きいことの影響が示された。抗ウイルス剤としては、高額薬剤であるC型肝炎治療薬・ソバルディ錠が5月に、ハーボニー配合錠が9月に発売されており、この影響を指摘する声があがった。特に驚異的な立ち上がりをみせたハーボニー配合錠は、発売後3か月間でブロックバスターとなったが、調剤医療費の伸びを増大し、結果として概算医療費全体を約1%押し上げたことが示唆される格好となった。



◎調剤医療費11月の伸びは対前年度比12.1%に



2015年4~11月の医療費全体の伸び率は、伸び率が3.1%で、2014~15年度の2%程度に比べ、高い伸びとなった。入院医療費の伸びは1.6%だったのに対し、入院外医療費は2.5%、調剤医療費は8.2%の伸びを示した。調剤医療費の月別の伸び率は、10月に9.7%、11月には12.1%となった。

内服薬薬剤料を分析した結果によると、2015年度は、投薬日数の影響以上に、1種類の薬剤料の影響が大きい。薬効分類別にみると、抗ウイルス剤、その他の腫瘍薬、糖尿病用剤が大きな伸びを示した。特に、抗ウイルス剤は、対前年度同期比で1305億円の伸びを示しており、内服薬全体の伸び(2859億円)の半数以上を占めた。抗ウイルス剤の伸びは特にハーボニー配合錠発売後の10月、11月に大きく、10月には291億円、11月は348億円の伸びを示している。


◎健保連・白川副会長 C肝薬影響の期間を問題視 患者数から推計求める

この日の議論は、C型肝炎治療薬・ソバルディ錠、ハーボニー配合錠の医療保険財政への影響に焦点が集まった。日本医師会の松原謙二副会長は、C型肝炎がペグインターフェロン(PEG-IFN)を柱として行われてきたことを説明し、これにかかる医療費を削減できることや、肝硬変、肝がんへの進展を抑制できることから「長期的にみれば財政的には必ずプラスになる」と強調した。

これに対し、健康保険組合連合会の白川修二副会長は、ソバルディ錠、ハーボニー配合錠について、「C型肝炎が根治する画期的な薬だ。長期的には医療費もマイナスになる」との認識を示した上で、「この影響がどれくらい続くのかが問題だ。一時的には保険財政の圧迫要因になるのは間違いない」と述べた。医療保険制度の持続可能性の観点から、厚労省側に、患者数などからC型肝炎治療薬が医療費に影響を与える期間がどの程度続くのか推計を提示することを求めた。

全国後期高齢者医療広域連合協議会会長の横尾俊彦氏(多久市長)も、「新たな治療薬で患者や家族には希望をもてるが、(各自治体の国民健康保険など)11月頃から財政的には厳しさを増している」と指摘し、薬価の引き下げなどの施策は「早く判断していただきたいというのが本音のところだ」と述べた。


そのほか、医療費適正化の必要性を指摘する声もあがった。日本労働組合総連合会の新谷信幸副事務局長は、患者負担の議論や薬価の見直しなどの議論の必要性を指摘した上で、「医療提供体制の地域差との関係での分析、多剤投与の是正、残薬の削減、後発医薬品の使用促進、生活習慣病の処方の是正など複数の観点からお願いしたい」と医療費適正化の観点からの議論を求めた。日本薬剤師会の森昌平副会長は、「薬物治療自体が高度化している」と指摘した上で、残薬対策などに対して「薬剤師の職能をいかして、医師をはじめ、多職種と連携して取り組む」必要性を強調した。
 

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