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社保審・療養病床特別部会 廃止の再延長求める声あがるも唐澤保険局長「政策的な議論を」

公開日時 2016/06/02 03:50

社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会(部会長:遠藤久夫学習院大学経済学部教授)の初会合が6月1日開かれ、法改正に向けた本格的な議論がスタートした。介護療養病床と医療療養病床(25対1)が2017年度末に設置期限を迎えることから、これらの受け皿に位置付けられる新類型などについて議論される。この日は、「現行制度の再延長を第一選択肢として検討すべき」(鈴木邦彦日本医師会常任理事)など、介護療養病床の廃止の再延長を望む声が数多くあがった。これに対し、唐澤剛保険局長は、施設体系や医療保険と介護保険の不一致などにまたがることを指摘した上で、「技術的に可能かではなく、政策としてどう答えていくか」と述べ、再延長の前に政策的な議論を求めた。特別部会では、年内にも取りまとめを行い、関連部会との調整を行った上で、2017年の通常国会に関連法の改正案を提出する。


療養病床をめぐっては、療養病床の在り方等に関する検討会で昨年、新類型としての選択肢を取りまとめ、▽医療機能を内包した施設系サービス(患者の急変リスクなどで2パターンを提示)、▽医療機関の集約化などで20対1療養病床や診療所に転換し、残りを居住スペースとするなど、医療を外から提供する居住スペースと医療機関の併設—を新類型にあげた。


◎地域包括ケア推進の観点での議論求める


会議の冒頭で、三浦公嗣老健局長は、社会的入院に対応するために介護基盤の整備が進められてきた経緯などを振り返り、「充実した看取りやターミナルケアとあわせて環境整備の重要性が取りまとめられた。高齢者がそれぞれの状態に適した状態になるように、忌憚のない意見をいただきたい」と述べた。唐澤保険局長は、制度の変遷を振り返った上で課題は従前として残っていると指摘。2018年度の医療・介護の同時改定、国民健康保険の都道府県への移管などを踏まえた上で、「地域包括ケア推進の観点から具体的な制度設計に関する議論をお願いしたい」と述べた。


◎人員削減に懸念の声 診療報酬上の補填の必要性も


この日の特別部会では、現行制度の再延長を求める声が多くあがった。全国抑制廃止研究会の吉岡充理事長は、療養病床を「誰の目にも貧しかったこの国の老人病院が30年かけて進化したもの。要介護・要医療の状態にある高齢者を受け入れている」と述べた。その上で、新類型のパターンに施設が含まれていることから、人員が削減されることに対する危機感を強く示した。日本精神科病院協会の見元伊津子理事も、療養病床では重症な内科系疾患と認知症を合併する患者が入院する状況を指摘し、「人員を今以上減らすことは、ありえない。いまの配置でも転倒や誤嚥がある」と述べ、人員確保の重要性を訴えた。


一方で、新類型についての議論を集中すべきとの声もあがった。慶応義塾大学の土居丈朗経済学部教授は、「今後我が国の高齢化が進む中で療養病床の姿を変える必要があるのであれば変えられるのか。議論としては少なくともそこから始める必要がある」と述べた。その上で、「新類型をどこまでリアリティーを帯びさせられるのかが重要な問題。医療機関の経営、先行きが成り立たないのであればいくら新類型といっても立ち行かない」と述べ、施設要件だけでなく報酬体系を議論する必要性を指摘した。


そのほか、介護療養病床が全国平均の5倍である高知県の岡崎誠也高知市長は、高知県の8割以上が森林地域であることを説明。「中山間地域に住む方は病気をするとなかなか在宅で看られないのが現状」と述べ、地域的背景があると強調。退院しても受け入れ先もなく、在宅療養が受け皿となることが難しい現状があることを訴えた。
 

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