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薬食審・第一部会 新薬10製品を審議、承認了承 年1回投与の骨粗鬆症薬リクラストなど

公開日時 2016/09/08 03:52

厚労省の薬食審・医薬品第一部会は9月7日、新薬10製品の承認の可否について審議し、全ての承認を了承した。この中では、年1回投与のビスホスホネート系の骨粗鬆症治療薬で旭化成ファーマのリクラスト点滴静注液がある。また、これまで継続審議となっていたアストラゼネカの抗血小板薬ブリリンタ錠、日本ベーリンガーインゲルハイムの3成分配合降圧薬ミカトリオ配合錠も今回の審議で了承となった。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請社名)

リクラスト点滴静注液5mg(ゾレドロン酸水和物、旭化成ファーマ):「骨粗鬆症」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間4年。

1年に1回投与の注射剤。ゾレドロン酸として5mgを15分以上かけて点滴静脈内投与して用いる。事務局によると、部会の出席委員から「次回までの投与間隔が長いことから、患者の受診忘れにつながらないか」との主旨の指摘があり、事務局が、患者に投与記録を記載したカードを配るとの対策を講じると説明した。海外では閉経後骨粗鬆症を適応症として世界100カ国以上で承認済(14年8月現在)。

なお、同剤を含むビスホスホネート系薬には4週間に1回投与製剤がある。骨粗しょう症に用いるヒト型モノクローナル抗体のプラリアは6か月に1回投与で用いる。

カーバグル分散錠200mg(カルグルミン酸、ポーラファルマ):「N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症による高アンモニア血症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て開発要請された。遺伝子の変異で起こる疾患。国内患者数はイソ吉草酸血症が3人、メチルマロン酸血症が62人、プロピオン酸血症が30人で、N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)欠損症は報告されていない。類薬にはブフェニール錠500mg、同顆粒94%がある。海外では、NAGS欠損症による高アンモニア血症で世界41カ国で承認済(15年10月現在)、イソ吉草酸血症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症による高アンモニア血症では世界38カ国で承認済(15年10月現在)。

リアルダ錠1200mg(メサラジン、持田製薬):「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間4年。

有効成分のメサラジンは小腸で多くが吸収され、潰瘍性大腸炎の病変部位である大腸への到達量が少ないとの課題がある。同錠は徐放化された素錠を腸溶性フィルムコーティングした錠剤で、メサラジンを大腸に送達するとともに、持続的にメサラジンが放出されるように設計した製剤。海外では、重傷を除く潰瘍性大腸炎を適応に世界37カ国で承認済(15年6月現在)。

ミケルナ配合点眼液(カルテオロール塩酸塩/ラタノプロスト、大塚製薬):「緑内障、高眼圧症」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間6年。

β遮断薬のカルテオロール塩酸塩とプロスタグランジン誘導体(PG関連薬)のラタノプロストを含有する配合点眼液で、1日1滴、1日1回点眼して用いる。カルテオロールは房水産生抑制作用、ラタノプロストはぶどう膜強膜流出経路からの房水流出促進作用により眼圧を下降させると考えられている。

β遮断薬とPG関連薬の配合点眼液にはタプコム、デュオトラバ、ザラカムがあるが、いずれもβ遮断薬はチモロールマレイン酸塩を配合している。ミケルナはチモロールマレイン酸塩以外のβ遮断薬を配合しており、新たな治療選択肢となる。海外では承認されていない(15年10月現在)。

エビリファイ錠1mg、同錠3mg、同錠6mg、同OD錠12mg、同OD錠3mg、同OD錠6mg、同OD錠12mg、同散1%、同内用液0.1%(アリピプラゾール、大塚製薬):「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」の効能・効果を追加する新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間4年。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て開発要請された。

普通錠1mgは新たな規格で、再審査期間はうつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)は残余期間(2017年6月13日まで)、今回の新効能が4年となる。

日本の自閉スペクトラム症患者数は約45万人で、易刺激性に対する薬物療法の対象患者数は約4万5000人とされる。類薬にはリスパダールやオーラップがあり、エビリファイは新たな治療選択肢のひとつとなる。海外では、自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に関連した効能・効果で10の国・地域で承認済(16年6月現在)。

ウプトラビ錠0.2mg、同0.4mg(セレキシパグ、日本新薬):「肺動脈性高血圧症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

プロスタグランジンI2(PGI2)受容体作動薬で、既存のPGI2製剤と同様に血管拡張作用と抗血小板凝集作用を示すことで肺動脈性肺高血圧症(PAH)の病態を改善する。PAH治療の第一選択薬のひとつとしての単剤療法、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)やホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害薬との併用療法で使用する。類薬にはフローランなどがある。海外では6の国・地域で承認済。

ジャクスタピッドカプセル5mg、同10mg、同20mg(ロミタピドメシル酸塩、AEGERION PHARMACEUTICALS):「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

同剤は、経口薬物治療で効果不十分な場合に追加投与する位置付け。1日1回夕食後に2時間以上あけて5mgの経口投与から開始する。忍容性に問題なく、効果不十分な場合は2週間以上の間隔をあけて10mgに増量する。さらに増量が必要な場合は、4週間以上の間隔で忍容性を確認しながら段階的に20mg、40mgに増量することできる。同剤は、脂溶性栄養素の吸収不良になることから、脂溶性ビタミン、必須脂肪酸の補充が必要とされ、「申請者はサプリメントの提供を検討している」としている。適応症の患者数は100万人に1人以上とされ、特定疾患医療受給者症の所持者は166人という。海外では、今回承認が了承された適応症で36カ国で承認済(2016年4月現在)。

プリズバインド静注液2.5g(イダルシズマブ(遺伝子組換え)、日本ベーリンガーインゲルハイム):「生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時、重大な出血が予想される緊急を要する手術又は処置の施行時におけるダビガトランの抗凝固作用の中和」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

同剤の必要性を考慮した上で、既存の対処の上乗せとして使用する位置付け。1回5g(1バイアル2.5g/50mLを2バイアル:1バイアルにつき5~10分かける)を点滴静注または急速静注する。対象患者数は推定年100人という。優先審査。海外では欧米など7の国・地域で承認済(2016年5月現在)

ブリリンタ錠60mg、同90mg(チカグレロル、アストラゼネカ):
「以下のリスク因子を1つ以上有する陳旧性心筋梗塞のうち、アテローム血栓症の発現リスクが特に高い場合
・65歳以上
・薬物療法を必要とする糖尿病
・2回以上の心筋梗塞の既往
・血管造影で確認された多枝病変を有する冠動脈疾患
・末期でない慢性腎機能障害」

「経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)(ただし、アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板薬の投与が困難な場合に限る)」

を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。
 
陳旧性心筋梗塞には1回60mgを1日2回。急性冠症候群には初回用量180mg、2回目以降の維持用量90mgを1日2回。
 
同剤は5月27日の第一部会で継続審議扱いとされた。その際、「急性冠症候群」の適応に関して、臨床試験の結果にばらつきがあり、「非劣性が認められていない結果もある」との意見が委員から出ていた。今回、プラビックスなどチエノピリジン系抗血小板薬を投与しても効果が不十分とする患者がいるとして、その際に用いる薬剤として承認する意義があるということで了承された。海外では、陳旧性心筋梗塞の適応で100を超える国・地域で、急性冠症候群の適応では米国、欧州で承認済(2016年2月現在)。

ミカトリオ配合錠(テルミサルタン/アムロジピンベシル酸塩/ヒドロクロロチアジド):「高血圧症」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間4年。

同剤はテルミサルタン80mg/アムロジピン5mg/ヒドロクロロチアジド12.5mgを配合したもので、降圧3成分の配合剤は、承認されれば日本で初めてとなる。海外での承認はない。1日1回1錠。

同剤は、3成分の配合意義について意見がまとまらず、4月20日、5月27日の第一部会で継続審議扱いとなり、今回が3回目の審議。日本循環器学会など関係学会所属の専門医などの意見から、服用剤数を減らせる意義を確認。複数の委員から、同剤は現在3剤併用し、状態が安定している患者向けという位置づけにすべきとの意見があったという。その意見に沿った使い方がなされるよう、事務局は検討することになった。

インスリン製剤のトレシーバ 用法に「必要な場合は注射時刻を変更できる」を追加

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請社名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)での承認審査の段階で承認して差し支えないとの結論が得られ、部会での審議を要しない製品。

ポリドカスクレロール1%注2mL、同3%2mL(ポリドカノール、カイゲンファーマ):「一次性下肢静脈瘤の硬化退縮」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間なし。これまで効能・効果にあった「伏在静脈瘤の本幹を除く」を削除するとともに、「フォーム硬化療法で使用する場合」など新たな用法・用量を加えることになった。

献血グロベニン-I静注用500mg、同2500mg、同5000mg(乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、日本製薬):「ギラン・バレー症候群(急性増悪期で歩行困難な重症例)」の効能・効果を追加する新効能医薬品。再審査期間なし。化血研の製品にも同適応があるが、同剤の適応追加は、ギラン・バレー症候群の治療選択肢を増やし、安定供給の確保が狙い。

トレシーバ注フレックスタッチ、同注ペンフィル(インスリン デクルデク(遺伝子組換え)、ノボノルディスクファーマ):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余(平成32年9月27日まで)。これまで注射時刻は「毎日一定」としていたが、今回「原則として毎日一定とするが、必要な場合は注射時刻を変更できる」と改めることになった。
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