厚労省医薬・生活衛生局は10月18日、新たな重大な副作用などが判明した医療用医薬品の添付文書を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知で指示した。この中で血栓塞栓症に用いるワルファリンと抗真菌薬ミコナゾール(ゲル剤・注射剤)の併用により直近3年で31例の出血症例(因果関係が否定できないもの)が報告されているとして両剤の添付文書で「併用禁忌」と明記することにした。
両剤の併用については、ミコナゾールの添付文書で「慎重投与」「重要な基本的注意」「併用注意」で注意喚起していたが、重篤な出血症例が多数報告され、同省としては「抗凝固作用モニタリング等をさらに強化することによるリスク回避は困難」と判断、「禁忌」扱いとした。この措置により、他のアゾール系抗真菌薬が使用される機会が増えると予想されることから、ワルファリンとの併用について「慎重投与」「重要な基本的注意」に追記し、注意喚起することにした。
改訂指示のあった薬剤と指示内容は以下のとおり(カッコ内は成分名、会社名)。
▽ワーファリン錠、同顆粒(ワルファリンカリウム、エーザイ)他
▽フロリードゲル経口用、同F注(ミコナゾール、持田製薬)
指示概要:両剤それぞれに相手薬剤を「禁忌」「併用禁忌」欄に追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):併用による出血関連症例31例(うち死亡なし)
薬効分類:
333 血液凝固阻止剤(ワルファリン)
629 その他の化学療法剤(ミコナゾール)
▽イトリゾールカプセル、同内用液、同注(イトラコナゾール、ヤンセンファーマ)他
▽ジフルカンカプセル、同ドライシロップ、同静注液(フルコナゾール、ファイザー)他
▽プロジフ静注液(ホスフルコナゾール、ファイザー)
▽ブイフェンド錠、同錠、同ドライシロップ、同静注用(ボリコナゾール、ファイザー)他
指示概要:
「慎重投与」に「ワルファリンカリウムを投与中の患者」追記
「重要な基本的注意」にワルファリンカリウムとの併用に関する注意喚起を追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):併用による出血関連症例はフルコナゾールとボリコナゾールで各1例(うち死亡なし)
薬効分類:
617 主としてカビに作用するもの
629 その他の化学療法剤
▽ローコール錠(フルバスタチンナトリウム、ノバルティスファーマ)他
▽メバロチン錠、同細粒(プラバスタチンナトリウム、第一三共)他
▽リポバス錠(シンバスタチン、MSD)他
▽リピトール錠(アトルバスタチンカルシウム水和物、アステラス製薬)他
▽リバロ錠、同OD錠(ピタバスタチンカルシウム水和物、興和)他
▽クレストール錠、同OD錠(ロスバスタチンカルシウム、アストラゼネカ)
▽カデュエット配合錠(アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチン
カルシウム水和物、ファイザー)他
指示概要:
「重要な基本的注意」に免疫性壊死性ミオパチーに関する注意喚起を追記。
「重大な副作用」に「免疫性壊死性ミオパチー」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):アトルバスタチンとロスバスタチンで各1例(うち死亡なし)
薬効分類:
219その他の循環器官用薬(アムロジピンとアトルバスタチンの配合剤)
218 高脂血症用剤(上記以外)
▽ステラーラ皮下注(ウステキヌマブ遺伝子組換え、ヤンセンファーマ)
指示概要:「重大な副作用」に「間質性肺炎」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):6例(うち死亡なし)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品
▽オプジーボ点滴静注(ニボルマブ遺伝子組換え、小野薬品)
指示概要:
「重要な基本的注意」の「過度の免疫反応」に関する記載に「投与 終了後の副作用」に関する注意喚起を追記
「重大な副作用」に「免疫性血小板減少性紫斑病」「心筋炎」「横紋筋融解症」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):
投与終了後の副作用14例(うち死亡なし)
免疫性血小板減少性紫斑病3例(うち死亡なし)
心筋炎3例(うち死亡1例)
横紋筋融解症4例(うち死亡なし)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬
▽キュビシン静注用(ダプトマイシン、MSD)
指示概要:「重大な副作用」に「急性汎発性発疹性膿疱症」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):1例(うち死亡なし)
薬効分類:611 主としてグラム陽性菌に作用するもの
▽ラピアクタ点滴静注液バッグ、同点滴静注液バイアル(ペラミビル水和物、塩野義製薬)
指示概要:「重大な副作用」の項に「急性腎不全」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):2例(うち死亡なし)
薬効分類:625 抗ウイルス剤