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厚労省医薬局 ハーボニー偽造品問題で薬局3団体会長を招集 薬局間取引GL策定へ

公開日時 2017/02/24 03:52

厚生労働省医薬・生活衛生局の武田俊彦局長は2月23日、ハーボニー配合錠の偽造品流通問題で、日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の幹部を省内に招集し、再発防止についての共通認識を要請した。これまで規定のなかった薬局間の医薬品譲渡について3団体でガイドラインを策定することも合意させた。ハーボニー配合錠の偽造品流通問題は、医薬品流通の課題をあぶり出すとともに、偽造品を患者に手渡した薬剤師の責任にまで議論が発展している。18年4月に予定する診療報酬・調剤報酬改定の争点となることも必至の情勢だ。このような社会的問題から保険薬局が危機的状況を乗り切る上で、業界が一枚岩となることは避けられないと同省は判断した。


この日午前、日本薬剤師会の山本信夫会長、日本保険薬局協会(NPhA)の中村勝会長、日本チェーンドラッグストア協会の青木桂生会長の3人は、厚労省内にある医薬局の会議室に集められた。3団体の会長が公式の場で顔を揃えるのは初めてという。厚労省側からは、武田局長のほか、森和彦大臣官房審議官(医薬担当)、辺見聡総務課長が出席した。


3団体は、地域の保険薬局を主体的な業務としながらも、経営主体や業種などで、それぞれが独自のスタンスをこれまでも打ち出しており、立場や意見の違いを鮮明にしてきた。それだけに厚労省側は、今回の事案が、偽造品を保険薬局が正規ルート以外の卸売販売業者から製品を購入していたことや、薬剤師を介して患者に偽造品が手渡されたという、保険薬局の在り方や薬剤師の職能全般に及ぶ問題として、極めて重大な問題だと受け止めている。


◎武田局長 かかりつけ薬剤師・薬局推進の中で「極めて残念な結果」



武田局長は3団体の会長を前に挨拶し、ハーボニー偽造品流通問題について「厚労省は非常に重く受け止め、偽造品流通ルートの調査、患者の健康安全確認などの緊急対応を行った」とこれまでの経過を説明した。そのうえで、「医療用医薬品の偽造品が国内に流通したこと、薬局から患者の手まで渡ったことについては医薬品の基本的な信頼を損ねる重大な議案だ」と強調。3団体の会長に対し、この認識を共有するよう要請した。


武田局長は、「特に薬局から患者まで渡ったことについては、最終的に患者が服用することはなかったものの、患者のための薬局ビジョンを踏まえ、かかりつけ薬剤師・薬局を推進する中では極めて残念な結果だ」と述べ、保険薬局全般に起こりうる問題として、当事者以外のすべての関係者に猛省を促した。


同事件は、警視庁と奈良県警が刑事事件として捜査を進めているところ。武田局長は、「品質が確保された医薬品の供給は薬剤師の基本的な使命のひとつだ」と述べた。厚労省が昨年策定した「患者のための薬局ビジョン」では“対物から対人へ”を鮮明に打ち出したが、「対人業務を評価することでお願いしているが、基本は厳格な物の管理が職能だ。それが大前提になることを改めて申し上げる」と述べた。地域から信頼されるかかりつけ薬剤師・薬局を実現するため、改めて薬剤師の基本的使命の一つとして、“物”としての医薬品管理の徹底を求めた。


具体的には、薬局経営者、管理薬剤師、薬剤師のそれぞれの職能を明確にし、共有することを指示した。薬局は、供給する医薬品の信頼に対する国民の期待を自覚し、医薬品を適切な流通経路から確認していることとした。管理薬剤師には薬局における医薬品の管理に責任を負っていることを改めて確認し、薬局開設者は管理薬剤師が責務を遂行できる環境を整える。薬剤師は、患者のために調剤する医薬品に異常がないことの確認を徹底するよう求めた。本事件で問題となった調剤チェーン・関西メディコは、医薬品の購入を本部が一括して行っており、薬剤師が関与していないことも問題視されている。


◎3会長が今回の問題を踏まえた改善策についてコメント



日薬の山本会長は、「本来、医薬品の品質や供給を守るのは、私どもの役割だ」と述べた。かかりつけ薬剤師・薬局が推進される中で事件が起きたことについて、「職能団体の長として申し訳なく思っている。二度と起こらないようにしっかりと対応していく。最大の警鐘を放っていきたい」と決意を示した。

NPhAの中村会長は、会員企業が事件を起こしたことの責任を重く受け止めているとした上で、「我々幹部と面談させていただき、事の重大性について認識した。今後も連携を取らせていただき、すべてが終わるまでの間に、関西メディコについては何らかの対応をしたい。趣旨は再発防止、現在のルールを徹底すること、何が問題かを明確にすることが先決だと考えている。その後、関西メディコについても団体としてあるべき姿を示していきたい」と述べた。

日本チェーンドラッグ協会の青木会長は、事件は通常の企業であれば倒産のリスクをはらむと指摘し、「コンプライアンスを踏まえ、医療の一員としてサービスを徹底できるような形にしていきたい」との考えを表明。「薬剤師の一員として、社会に貢献できる仕組みのために3団体が何をしないといけないのではないか。3か月に1回くらい話をしていかないといけない。医療の一員として認められたのであれば、絡めるような形を確立していきたい」と述べた。
 

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