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厚労省 医療用薬の効能追加などで承認 キイトルーダに「尿路上皮がん」

公開日時 2017/12/26 03:52
厚労省は12月25日、医療用医薬品に新たな効能などを追加する承認をした。この中には、がん免疫療法薬で抗PD-1抗体キイトルーダ(製造販売:MSD)に対する尿路上皮がんの効能追加が含まれる。承認されたのは次のとおり(カッコ内一般名、製造販売企業)。
 
キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん」を効能・効果に追加。優先審査された。
 
がん免疫療法薬で、ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(抗PD-1抗体)。抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体で尿路上皮がんの適応取得は初めて。尿路上皮がんは、膀胱がん、腎盂がん、尿管がん、尿道がんを含むが、約9割が膀胱がん。根治切除不能な尿路上皮がんに対しては、全身化学療法が標準療法だが、既存治療後に増悪した場合の選択肢は限られ、適応追加によりキイトルーダが選択肢となる。
 
国際共同フェーズ3(「KEYNOTE-045」試験)では、プラチナ製剤併用化学療法による治療中または治療後に疾患進行した局所進行性または転移性の尿路上皮がんの患者を対象に行い、全生存期間(OS)の中央値は、化学療法群7.4か月に対し、キイトルーダ群は10.3か月。12か月時点の全生存率は、化学療法群30.7%に対し、キイトルーダ群43.9%だった。
 
キイトルーダの適応症は、▽根治切除不能な悪性黒色腫▽PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▽再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫――に続く4つめ。

タシグナカプセル50mg、同150mg、同200mg(ニロチニブ塩酸塩水和物、ノバルティスファーマ):「慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病」の効能・効果に小児用量を追加。
 
慢性骨髄性白血病(CML)の標準治療はチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治療だが、国内で承認されているTKIはいずれも小児のCMLに対する適応がなかったため、開発した。国内の18歳未満のCMLの発生頻度は年間約20人と推定されている。50mg製剤は新規格で、11月29日に薬価収載され、12月25日に発売となった。
 
ソリリスとジプレキサ 厚労省が使用にあたって注意喚起
 
ジプレキサ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg、同細粒1%、同ザイディス錠2.5mg、同ザイディス錠5mg、同ザイディス錠10mg(オランザピン、日本イーライリリー):「抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)」を効能・効果に追加。
 
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当とされ、医薬品部会で事前評価ののち公知申請されたもの。そのため追加する適応症については既に保険適用されている。なお、この日、日医工とファイザーは、同剤の後発医薬品(普通錠、OD錠、細粒)に、同適応の追加承認を取得したと発表した。第一三共エスファ、ニプロの後発医薬品(普通錠、OD錠、細粒)についても適応追加したことをPMDAの添付文書情報に掲載した。
 
厚労省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課と安全対策課は12月25日、オランザピン製剤の使用にあたっての留意事項通知を発出し、同剤の使用について「強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)の投与の場合に限り使用すること」とし、▽「原則としてコルチコステロイド、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬等と併用して使用する」▽「原則として抗悪性腫瘍剤の投与前に投与し、がん化学療法の各サイクルにおける投与期間は6日間までを目安とすること」--と、対応を求めた。また、高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡が報告されたことから、2002年4月に緊急安全性情報、添付文書の「警告」欄で注意喚起した経緯があるため、引き続き注意して使用するよう求めた。
 
ソリリス点滴静注300mg(エクリズマブ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」を効能・効果に追加。希少疾病用医薬品。
 
難治性の全身型重症筋無力症(gMG)は慢性進行性の消耗性自己免疫性神経筋疾患で、既存の治療法を行っても、歩行しづらい、話しづらい、飲みこみづらい、普通に呼吸しづらいといった症状が現れることがあり、重症化して生命を脅かすこともある。gMGの治療は第1選択が経口ステロイド、第2選択がタクロリムスやシクロスポリンのカルシニューリン阻害薬、第3選択が免疫グロブリン静注療法及び血漿交換とされているなか、ソリリスは第3選択でも治療困難な患者の治療選択肢となる。
 
厚労省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課は12月25日、同剤の使用にあたって、髄膜炎菌感染症を発症することがあり、死亡例も報告されていることから、原則としている投与前のワクチン接種について「必要に応じてワクチンの追加接種を考慮すること」とする留意事項通知を発出した。gMG患者は、投与前の治療により免疫抑制状態になっている懸念があるため。
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