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国がん すい臓がんの3年生存率15.1%と公表 施設別の5年生存率も明らかに

公開日時 2018/09/12 03:52

国立がん研究センターは9月12日、がんの診断から3年が経過した患者の生存率を初めて公表し、部位別ではすい臓がんが15.1%で最も低くなったことがわかった。最も高くなったのは前立腺がんで99%だった。がん対策情報センターの若尾文彦センター長は公表の理由について、「より早い速報値としてがん治療の様相を確認するため」と説明した。国がんの「がん情報サービス がん登録・統計」統計ページで公開されている。

文末の「関連ファイル」に、がん3年生存率に関する資料を掲載しました(9月12日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。

3年生存率は、2011年にがんと診断された例を対象に、全国のがん診療連携拠点病院等268施設から集計した院内情報約30万件を分析した結果。胃、大腸、乳房、肝臓、肺の主要5部位に、食道、すい臓、前立腺、子宮頚部、子宮体部、膀胱の6部位を加えた11部位について、部位や病期別に集計した。その結果、ほかの病気等による死の影響を取り除いた相対生存率は71.3%だった。死因に関係なく、全ての死を計算に含めた実測生存率は66.3%だった。

部位別の相対生存率では、すい臓がんが最も低くなった。報告書には、「実測生存率と相対生存率の差が他の部位と比較して小さく、予後があまり良くないがんと考えられる」と記載した。このほかの部位別の相対生存率は以下のとおり。▽胃74.3%、▽大腸78.1%、▽女性乳房95.2%、▽肝臓53.6%、▽肺49.4%、▽食道52.0%、▽子宮頚部78.8%、▽子宮体部85.5%、▽膀胱73.5%—。

◎施設別の5年生存率も初公表 国がん「受診の際の参考に」

同日には、医療機関別の主要5部位の病期別の5年生存率も初めて公表した。対象は08年と09年にがんと診断された例。全国のがん診療連携拠点病院等251施設から集計した院内がん登録約50万件を分析した。東尚弘がん登録センター長は、「国民が病院の特徴を知り、受診の際の参考にすることができる」と述べた。ただし、都道府県や施設の特性によって患者構成に差があるため、各施設の生存率が治療成績に直結するわけではなく、施設間の比較には適さないという。院内がん登録分析室の奥山絢子研究員は、「調査で出た数値に、自施設の情報を加味して、提供した医療の振り返りを行うことが重要だ。各施設の医療の質を見直すきっかけにしてほしい」と強調した。調査結果からは、70歳、80歳以上では実測生存率と相対生存率の乖離が大きくなっていることがわかった。例えば前立腺がんでは、70歳の実測生存率が82.6%だったのに対し、相対生存率は99.9%だった。奥山研究員は、「高齢者ではがん以外による要因も影響が大きいと考えられる」と説明した。

◎都道府県や施設別の院内がん情報検索システムも公開


また、院内がん登録の集計結果から都道府県や施設別の結果を検索できるシステムも同日公表した。検索できるのは、16年にがんと診断された約96万件(778施設)のデータ。施設や都道府県別に部位や病期別、年齢階級別、性別ごとの登録数の検索が可能だ。国がんでは、「例えば自宅近くの病院を探す1つの手掛かりに活用されることを期待している」と説明している。検索システムの公開も、国がんの「がん情報サービス がん登録・統計」統計ページで行われている。
 

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