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財務省主計局 薬価増税改定は「過剰な国民負担とならないよう市場実勢価の反映を」

公開日時 2018/10/10 03:51

財務省主計局は10月9日の財政制度等審議会財政制度分科会で、2019年10月の消費増税に伴う薬価改定について、 “過剰な国民負担”となることを避けるため、18年9月取引分の薬価調査をベースに薬価改定を実施すべきとした。加えて、こうした薬価改定による薬価のマイナスは、「予算単価の当然の時点修正であり、制度改正や予算内容の見直しによる経費の合理化・効率化とは性質が異なるもの」とも定義した。このほか、2021年度から実施する薬価の毎年改定の対象範囲について触れ、「金額ベース」でみて国民負担の軽減に十分つながるものと提示した。


2019年度予算編成に向けて財務省内での議論が始まった。次期予算編成の課題は、19年10月の消費税率引き上げ(8%→10%)への対応だ。この日の財政審に主計局は、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針2018)で、毎年薬価調査・毎年薬価改定について「2019年度、2020年度においては、全品目の薬価改定を行う」と明記したことを提示した。


財務省は、従来2年に1回だった薬価の見直しは、18年4月実施の薬価制度抜本改革において「今後、市場実勢価格をより適時反映する観点から、毎年価格を見直す」ことが政府部内でコンセンサスを得ていると主張している。消費増税に伴う薬価改定についても、“過剰な国民負担を避ける”という観点から、市場実勢価格を薬価に反映し、適時価格を引き下げることの正当性を主張したのだ。その上で主計局は、医療機関等の仕入れには消費税が課税されるため、補填を行うものと説明。「こうした薬価改定による薬価のマイナスは、予算単価の当然の時点修正であり、制度改正の内容の見直しによる経費の合理化・効率化とは、性質が異なる」との見解も示した。


◎21年度実施の毎年薬価改定の対象範囲 「金額ベース」で


一方、2021年度から実施する毎年薬価改定の対象範囲にも触れ、「金額ベースでみて国民負担の軽減に十分つながることとなるようなものとすべき」との見解を示した。骨太方針2018では、「薬価改定の対象範囲について、この間の市場実勢価格の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響等の経営への影響などを把握した上で20年度中に決定する」としていた。ただ、医療用医薬品の内訳をみると、品目数や数量ベースでは後発品が最大であるが、金額ベースでは半分程度は「後発品のない先発品」が占めるなど、数量ベースと金額ベースでは内訳が大きく異なることも指摘されている。さらに、先発品は薬価水準が高いため、薬価と市場価格の乖離率が大きくても、乖離率は相対的に小さくなることが論点にあがっている。


◎高額薬剤問題 経済性評価を踏まえ保険収載の可否判断を


このほか主計局は、抗がん剤・オプジーボを引き合いに、高額薬剤問題についても言及し、安全性・有効性に加え、費用対効果や財政影響などの経済性の面からの評価を踏まえて、保険収載の可否を含めて公的保険での対応のあり方を検討することを求めた。さらに保険収載が見送られた医薬品等については、安全性・有効性があれば、保険外併用療養により柔軟に対応するか否かの検討も行うべきと提案した。


主計局はこの問題の論点として、「そもそも年4回、薬事承認が行われたものは事実上すべて収載される仕組みとなっており、これによりどの程度財政影響が生じるかも十分に検証されていない」と指摘。「これら保険収載の影響は、医療費の高度化による増加の要因になっていると考えられ、医薬品等の価格が高額になっている状況も踏まえ、保険収載の可否も含めて公的保険のあり方を検討する必要がある」と主張している。

 

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