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薬食審・再生医療等製品部会 初の脊髄損傷治療用幹細胞の承認了承

公開日時 2018/11/22 03:50
厚労省の薬食審の再生医療等製品・生物由来技術部会は11月21日、ニプロが承認申請した脊髄損傷治療に用いる幹細胞「ステミラック注」について再生医療等製品として承認することを了承した。早ければ年内にも同省は承認する。脊髄を損傷してから31日以内を目安に患者の骨髄液から採取した間葉系幹細胞を培養、体内に静注するもので、脊髄損傷に対する初の細胞治療製品となる。治験では13例を評価し、脊髄損傷に伴う神経症候や機能障害の改善効果が9割超の12例にみられたが、部会は、安全性は確認できたが、評価症例数が少なく有効性については推定にとどまると判断して「条件及び期限付き承認」扱いとし、7年かけ対照群を設けて比較評価を行うことにした。
 
21日の部会は、2つの再生医療等製品の承認の可否を審議し、いずれも承認を了承した。了承された製品は以下のとおり。
【審議品目】(カッコ内は一般的名称、申請企業)
ステミラック注(ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞、ニプロ):「脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善」を効能・効果とする。ただし、外傷性脊髄損傷で、ASIA機能障害尺度がA、B、Cの患者に限る。尺度Aは完全麻痺状態。
 
これはニプロが札幌医科大学と共同開発したもの。用いる間葉系幹細胞は、神経や血管に分化する能力を持つ。患者の骨髄液から採取した間葉幹細胞を培養、体内に静注により戻すことで神経が再生し、脊髄損傷に伴う神経症候や機能障害の改善が期待される。ニプロが6月に承認申請した。先駆け審査指定制度の対象で、同制度対象の再生医療等製品としては第1号の承認となる見通しとなった。
 
使い方としては、骨髄液の採取を「脊髄損傷受傷後31日以内を目安に実施する」とし、「製品が製造され次第、可能な限り速やかに投与する」と定めた。国内治験では損傷から1~2か月内に投与し、220日後の効果を評価したところ、13例中12例がASIA機能障害尺度で1段階以上改善。改善割合は尺度B(2例)とC(5例)の患者は100%、Aの患者は6例中5例が改善し83.3%。しかし、治験症例が少ないことから、条件・期限付き承認となった。
 
具体的には、全例調査方式により、製品投与群と、全身状態が良くないなど同製品を投与できなかったリハビリ治療のみの患者群(対照群)を比較する調査を行う。尺度A患者では製品投与群27例、対照群54例、尺度B~C患者では製品投与群63例、対照群125例を比較評価する。
 
同剤が承認されれば、5つ目の再生医療等製品となる。
 
ジェイス(ヒト(自己)表皮由来細胞シート、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング):「栄養障害型表皮水疱症及び接合部型表皮水疱症」を効能・効果に追加する。希少疾病用再生医療等製品。再審査期間10年。
 
追加する疾患は、先天的に、日常生活のちょっとした刺激や摩擦で全身の皮膚や粘膜に水ぶくれやただれを繰り返し、潰瘍が発生する皮膚疾患で、指定難病。遺伝子の変異で発症する。患者本人の皮膚組織を培養した製品で、再発性や難治性のびらんや潰瘍となった部分に移植し、症状を改善する。皮膚を十分につなぎとめるタンパク質の欠損で起こる遺伝性の皮膚疾患で、国内の推定患者数は500人以上、うち重症者は320人程度という。
 
条件・期限付き承認のハートシート 承認期限を3年延長
 
同日の部会では、2015年9月に条件・期限付承認されたテルモの心不全用治療用の再生医療等製品ハートシートについて、承認期限の延長の可否を審議し、3年延長することを了承した。
 
厚労省によると、承認から5年後に、60症例で評価をすることになっていたが、医療機関との調査契約に時間を要したことなどで収集は10数例にとどまっている。観察期間も考慮すると5年後に評価に足る症例数が収集できていないとして、テルモが薬機法に基づいて承認期限の延長を申し出ていた。延長は3年が上限と定められている。 
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