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厚労省 医薬品GDPガイドライン導入 出荷後から納品まで流通一貫管理 温度管理、偽造品防止を徹底

公開日時 2019/01/11 03:52

厚生労働省医薬・生活衛生局は、医薬品の市場出荷後から医療機関・薬局への納品までの流通を一貫して管理するため、厚労行政推進調査事業(GDP研究班)がまとめた「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」を、対象となる製薬企業、医薬品卸などに周知するよう都道府県へ事務連絡した。これまで医薬品の保管、輸送条件を一括して管理する基準はなく、今回GDPガイドライン(GL)を導入し、あらゆる種類の医薬品が出荷後も品質を保持した形で届けられるようにする手法を定めた。GL遵守のための社内体制の整備のほか、保管・輸送時の温度管理、偽造医薬品の流入防止対策の徹底を求めた。

国際基準であるPIC/S・GDPに準拠したもの。GLであるため拘束性はないが、業界の流通関係者は将来的に省令化がありうると見ており、各関係企業は対応を本格化させることになる。GLの適用範囲は「医薬品の市場出荷後、薬局、医薬品販売業者、医療機関に渡るまでの医薬品の仕入、保管、供給業務」で、生産時の品質を保持したまま流通するための管理、偽造品流入防止に必要な手法を定めた。物流受託企業(3PL)も対応を迫られる。

内容は▽GLの要求に適合した仕入、保管、供給を保証する「品質システム」▽担当者の教育訓練などを定めた「職員」▽施設や温度管理を定めた「施設及び機器」▽「文書化」▽「業務の実施」▽「苦情、返品、偽造の疑いのある医薬品及び回収」▽「外部委託業務」▽「自己点検」▽「輸送」――の9章からなる。

物流センターでの保管管理、ハード・ソフト両面から

この中で業界関係者が、比較的優先度が高いと見ているのが、物流センター等での保管とトラック輸送時の温度管理と偽造医薬品対策。物流センターなど保管施設の温度管理については、「施設は清潔で乾燥し、許容可能な温度範囲に維持する」と、各製品で定められている貯法に基づくことを定め、トラックへの積み下ろしがある場所では「気象条件の影響から医薬品を保護できること」とし、外気温の影響を低減するドックシェルターなどのハード面と、その作業時間などのソフト面の対応を求めた。また、施設内の温度の上昇や下降などの環境リスク評価を実施することとした。

 
輸送時の管理責任明確化

トラック等による輸送では、保管時以上にセキュリティを含めリスクが高いことから「医薬品を破損、品質劣化及び盗難から保護し、輸送中の温度条件を許容可能な範囲に維持することは卸売販売業者等(卸売販売業者、製造販売業者を指す)の責任である」と明記。定められた保管条件が輸送中も維持されていることを求め、用いる車両や機器について「製品の品質及び包装の品質等に影響を及ぼさないよう適切に装備されていること」と定め、それを保証する手順書の作成、モニタリングを求めた。

輸送中も地域や季節、手段などにより温度変化がトラック内部で起こり、製品品質に影響を与えるおそれがあるため「輸送ルートのリスクアセスメント」が必要だとした。もし輸送中の温度逸脱や製品損傷などが起きた場合は「手順に従って卸売販売業者等にその旨を報告すること」とし、自ら判断するのではなく製薬企業や医薬品卸に指示を仰ぐ必要性を示した。
 
偽造品対策、製薬企業側の率先対応求める

偽造医薬品の流入対策は1項目を割いた。まず「偽造の疑いのある医薬品の販売及び輸送は直ちに中断する」と定め、偽造品を発生した場合は「直ちに製造販売業者に通知し、検体を確保・送付すること」とし、その後は製薬企業側に率先した対応を求めた。

具体的には▽製造販売業者は保存品と目視等による真贋判定を行う▽偽造の可能性の高い場合は、その当該ロットを隔離する▽速やかに所轄当局に通知し、以後の対応策を協議する▽関係者は所轄当局及び製造販売業者により決定された指示(回収を含む)通りに行動する必要がある――と定めた。

仕入、保管、輸送等の日常業務においては「卸売販売業者等は、可能な限りあらゆる手法を講じ、偽造医薬品が正規流通経路に混入する危険性を排除すること」を原則に据えた。仕入時には、業許可などを持つ適切な仕入先が供給を受け、そのための仕入先の適格性評価をリスクに応じて定期的に行うこととした。また、販売先についても「薬局開設者、医薬品の製造販売業者もしくは販売業者又は病院、診療所もしくは飼育動物診療施設の開設者その他厚生労働省令で定める者であることを確認する」とし、許可証の写しなどの証拠の提示等を受けて適格性を確認するとした。

さらに「医薬品の横流し又は不適正使用の可能性があると思われる異常な販売パターンが見られる場合は調査し、必要な場合は所轄当局に報告すること」も定めた。

偽造品対策を含め、適正な流通を検証できるよう手順書、指図書、契約書、記録、データなどを文書化すること定め、その手法を詳細に明記した。

GDPについては、医薬品産業強化戦略やC型肝炎薬の偽造品流通を受け対策を検討した検討会で、国際基準であるPIC/S・GDPに準拠した国内GLの策定を求めていた。GLはGDP研究班(分担研究者:木村和子・金沢大学教授)がまとめ、2018年12月28日付で、厚労省医薬・生活衛生局の総務課と監視指導・麻薬対策課が事務連絡として発出した。
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