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日米欧製薬団体 費用対効果評価で総合的評価にICER以外の要素考慮を 中医協

公開日時 2019/02/07 03:51

日米欧製薬団体は2月6日、中医協の費用対効果評価・薬価・保険医療材料専門部会で、2019年4月から本格実施される費用対効果評価の業界ヒアリングに臨み、「増分費用効果比(ICER)以外の要素を考慮した総合的評価の枠組み」の早期実現を求めた。日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長(第一三共会長)は、現在提案される総合的評価について「ICERによる評価に偏った方法で、現在の提案では不十分」として、総合的評価の継続的な検討の必要性を指摘した。米国研究製薬工業協会(PhRMA)のパトリック・ジョンソン在日執行委員会委員長は、疾患の重篤度や社会への影響などを点数化し、総合的評価に活用することを提案した。

厚労省が1月23日の中医協に提示した骨子案では、有用性加算が算定されたピーク時売上高100億円以上の新規薬価収載品などを対象に一旦保険収載したうえで、価格調整のツールとして活用することなどが提案されている。ICERに基づき、調整対象に計数をかける形で算出し、価格調整を行う。ただ、抗がん剤や、指定難病、血友病・HIV感染症治療薬、小児用法・用量を取得している品目には総合的評価で配慮することも盛り込まれている。

この日のヒアリングで製薬協の中山会長は、医薬品の価値評価を充実させることの必要性を強調。「ICER以外の配慮は難病や小児疾患、抗がん剤に適応を持つ品目に限定される。価格調整については反映されていないことから総合評価については不十分だと考える」と強調した。

一方、PhRMAは、認知症と片頭痛を例にあげ、医療費の削減や介護者の負担、労働生産性がICERには反映されていないと説明した。そのうえで、「疾患の重篤度・アンメットニーズ」、「社会的・経済的要因」、「その他(患者側の要因、倫理的要因、イノベーション)」の3項目について点数化し、ICERと組み合わせて評価することを提案した。PhRMAのジョンソン在日執行委員会委員長は、「適切な形でHTAを実施していくためには、ICER以外の要素を評価する方法に関する能力を高め、日本において色々な経験、事例を積み上げていく必要がある」と強調した。

◎価格調整の対象範囲や調整率に反発の声

価格調整の対象範囲や調整率についても、製薬業界からは反発の声があがった。厚労省の提示した骨子案では、価格調整は調整の対象範囲は有用性系加算を対象とするが、原価計算方式で算定された開示度が50%未満の品目は営業利益まで切り込む。特に、ICERが1000万円/QALY以上の場合は有用性系加算を90%引き下げることには、製薬協の中山会長が「過度な引下げだ」と述べるなど、すべての団体が反発した。

骨子案では、安定供給の観点から、最終的な薬価は「価格調整前の10%または15%を引き下げた価格」と、「ICER500万円/QALYとなる価格」のいずれかのうち、高い価格を下限とすることも提案されている。中山会長は、「下げ止めの上限は価格全体の10%とすべき」と述べた。

対象範囲についても、「原価計算方式であっても、有用性系加算が適用されたもののみを対象とすべき」とした。EFPIAのトーステン・ポール副会長は、低開示度の原価計算方式で算定された製品に輸入品が多く該当すると指摘。新薬の薬価収載時に薬価についての適切性が検討され、さらに外国平均価格調整があるため、「日本だけ突出した薬価をつけることにはならない。薬価算定時に妥当な価格設定がされており、対象は有用性加算がついた品目のみとすべき」と主張した。また、著しく単価が高い品目など、中医協で必要と判断された品目は費用対効果評価の対象とできることから、「対象品目の範囲が曖昧。あまりに多くの部分が厚労省の判断にゆだねられているのではないか」と指摘。費用対効果評価の対象品目の類似品目も対象となることから、「予見性が欠如し、制度の恣意的な運用につながるのではないかと懸念している」と述べた。

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