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米BIO 薬価や費用対効果評価がベンチャーの市場参入障害に 日米貿易交渉前に政府を牽制

公開日時 2019/03/06 03:51

米バイオテクノロジーイノベーション協会(BIO)のジョセフ・ダモンド国際問題担当執行副会長は3月5日、革新的技術を有する米国のバイオベンチャーが日本市場に参入するうえで、「薬価や保険償還制度の改革の方向性が障害になる」と懸念を示した。4月にも日米貿易協定の議論に入る見通しのなかで、薬価や費用対効果評価の在り方について、日本政府を牽制した。BIOは日本政府関係者と今週中にも会談する場を持ち、こうした意向を伝える考え。BIO Asia国際会議後のプレスブリーフィングで、自身の考えを示した。米BIOはバイオベンチャーを主体に、大企業も含めた千社規模で組織している。

◎増加する日米のコラボ 承認審査加速が後押しに


米国をはじめ、革新的新薬はバイオベンチャーから創薬されるケースが多い。実際、国際的な臨床開発パイプラインの70%、希少疾病用医薬品の84%がバイオベンチャーから創出されているという。エコシステム構築の原動力となることが期待されるなかで、日本の創薬力強化のためにも、バイオベンチャーにとって魅力のある創薬環境の整備も急がれている。

ダモンド国際問題担当執行副会長は、バイオ医薬品業界では、「急速にグローバル化が進んでいる」との認識を示した。BIO Asia会議にも、日本の革新的技術に関心のある欧米企業が数多く参加していると説明。国境を越えた日米のコラボレーションも増えてきているという。

◎新薬創出等加算の企業要件 バイオベンチャーには「一つのハードル」


日本の創薬環境については、PMDA改革などを通じ、ドラッグ・ラグが解消し、「今や新規薬剤はほぼ欧米と同時承認が可能だ」と述べ、“ポジティブ”だと認めた。そのうえで、現行の薬価制度や保険償還制度の改革の方向性についての懸念を示した。

特に、2018年度薬価制度抜本改革で見直された新薬創出等加算について言及。国内試験実施数や新薬収載実績などがポイント化される企業要件について、「一つのハードルになっているし、大きな負担だ」と強調した。承認申請に際して必要なエビデンス構築が不可欠だが、「コストの捻出が難しくなることもある」と懸念を示した。さらに小規模な企業では、資金繰りが厳しくなる可能性も指摘した。

4月から導入される費用対効果評価についても、がん領域を引き合いに、「新薬をいつ導入するかということで足踏み状態になる」可能性を指摘した。米国研究製薬工業協会(PhRMA)のエイミー・ジャクソン日本代表は、財務省などが収載の可否に活用することを提案していることに触れ、「収載時期が遅れ、患者アクセスが後れてしまう」と改めて、反発した。

◎再生医療の日米コラボ 条件付き承認制度の有用性も

この日のプレスブリーフィングには、再生医療でコラボレーションする日米の経営者も出席した。

米アサシス社のギル・ヴァン・ボッケレンCEO兼会長も、日米の国境を越えたコラボが増加傾向にあるとの認識を示したうえで、「いま話し合われている政策は、これに水を差す」と牽制した。

ヘリオスの鍵本忠尚取締役兼代表執行役社長CEOは、米国での治験の経験などから、日米が連携することでのビジネス的なメリットを強調した。国内では再生医療等製品について条件付き・期限付き承認制度がいち早く導入されている。一方で、米国では、明確な有意差を示すエビデンスが揃うことが承認の必須要件。承認自体は日本より遅れる可能性があるが、自由薬価であるため、イノベーションが認められれば高薬価も期待できる。鍵本氏は、「双方の良い所だけを抜き出して、実現できるのがメリット。それ以上に大きなメリットを二国間協定では見いだせるのでは」と述べた。

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