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ファイザー デジタルや働き方改革で生産性向上 アップジョン事業部門でリモートMR活用

公開日時 2019/03/06 03:52

ファイザーの原田明久代表取締役社長は3月5日、定例記者会見に臨み、「業務効率を改善し、社員の潜在能力を最大限発揮する」と述べ、デジタルの活用や働き方改革を通じ、社内の改革に取り組む姿勢を鮮明にした。一方で、人員削減については明確に否定。「人を減らせば効率が上がるがものではない。時間が短くてもインパクトのある仕事ができると思っている」と述べ、デジタルなどを活用した働き方改革の重要性を強調した。特にノルバスク、リピトール、リリカなど、非感染性疾患(NCDs)領域を取り扱う「アップジョン事業部門」では、リモートMRの活用などを通じて、生産性向上に注力する考えだ。

「今後出てくる製品は、かつてないインパクトを与える、唯一無二の製品だ。患者さんにとってもこれまでとは違う生活を送ることに貢献することになる。ファイザー自身も変わっていかないといけない」-。原田社長は、日本法人として目指す姿についてこう語った。

◎18年度売上高は4536億円 イブランスが牽引


2018年度(2017年12月~18年11月)の日本法人の売上高は、4536億円。18年度薬価制度改定の影響を約6%受けたものの、17年12月に発売した乳がん治療薬・イブランスなどが牽引し、2.6%伸長した。19年度は、適応追加を含む3製品の承認を見込む。優先審査品目に指定された非小細胞肺がん治療薬・ビジンプロを3月に発売。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬・ビンダケルが先駆け審査制度適応追加を申請中だ。2019年1月にグローバルのCEOに就任した、アルバート・ブーラ氏が企業目的に掲げた、“患者の生活を大きく変えるブレークスルー(医薬品)を生み出す”製品の上市が続く。

◎リモートMR活用で適正使用情報の提供も

「今まで我々のやってきた仕事のやり方を大きく変えて新しいファイザーを作っていく」―。原田社長は革新的新薬の上市にあわせ、日本法人も組織体制の改革に着手した。

19年1月から、オンコロジーやワクチン、希少疾患などを取り扱う「バイオファーマシューティカルズ事業部門」と、「アップジョン事業部門」の2部門に再編した。アップジョン事業部門は、“NCDs”と呼ばれる領域を担当する。WHOはNCDsについて、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒など共通の原因があり、生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめて定義している。原田社長は、NCDsの死亡率の高さを指摘。「日本のような超高齢化社会では、健康寿命の延伸を図ることが重要課題。ファイザーを象徴する循環器や疼痛、精神領域で、高品質で信頼性の高い医薬品を通じて健康寿命の延伸に取り組むことを目指してビジネスを行う」と述べた。さらに、情報提供については、「リモートMRによる適正使用情報の提供に努めていく」考えも明らかにした。

働き方改革としては、在宅勤務制度の拡充や有給取得率の向上、ウエブを通じた自宅からの支店長・所長会議の実施などをあげた。営業部門でも昨年から働き方改革を行っているとして、「生産性の高い組織を目指していきたい」と強調した。

◎販売情報提供活動GLにあわせた組織体制に着手 MSLは「明確な線引き必要」


19年4月に施行される販売情報提供活動ガイドラインにあわせた、組織体制の構築についても言及した。原田社長は、「当然、プロモーション、ノンプロモーションを遵守し正しいプロモーションこそ患者を守るという姿勢で臨んでいきたい」と強調した。「昨年から社内でオンレベル、オフレベルをどう情報提供するか、ディスカッションをしている」ことも明かし、「業界最先端の方向性でやっている」と自信をみせた。

未承認・適応外薬の情報提供をめぐっては、メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)の在り方も議論になるところ。日本製薬工業協会(製薬協)も3月中を目途に、「メディカルアフェアーズ(MA)」とMSLの活動の基本的考え方についての議論を詰める。これについて原田社長は、「昨日は営業の帽子をかぶって、きょうはメディカルの帽子をかぶるというのではいけない」と述べ、MRとMSLで明確な線引きをすることの必要性を指摘した。具体的な方策としては、「組織がどこに所属しているか。レポートラインがどこにあるのか。メディカルとしてのトレーニングを受けて仕事をやっているかが大事だ」との見解を表明した。さらに、「これからの製品は科学的に進んだ製品が出てくるので、バックグラウンドを活かした人がメディカルの仕事をしていくことが大事だ」とも述べた。

◎治験参加の同意取得を電子化 治験薬の患者への直送も検討

このほか、同社は治験にデジタルを取り入れ、“患者中心の医薬品開発”に取り組んでいることも紹介された。治験参加時の患者の同意取得はこれまで紙ベースで行われていたが、これを電子化する(eConsent)。動画などを交えることで、患者の理解が深まることも期待できるという。グローバルで取り組みが進められており、国内でもすでに2種類の抗がん剤で実施中。今後、拡大を目指す。

さらに、日本独自の取り組みとして、患者に治験薬を直送、検体を直接集荷することも検討を進める。現在はプロトコルで定められたとき以外も、投薬などで来院する必要がある。取り組みを通じて通院回数を減らし、患者負担を軽減したい考えだ。 

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