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厚労省 患者からの副作用報告を本格稼働 薬剤師の職能にも言及

公開日時 2019/03/25 03:51

 厚生労働省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)は3月中にも、患者からの副作用報告制度を本格稼働する。3月22日に開かれた薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会で、同省が報告した。これまでの医療機関や製薬企業などに加え、患者・患者家族から直接情報を収集することで、早期に副作用の傾向をつかむことが期待できる。得られた情報は添付文書の改訂などの安全対策に活用される。厚労省の森和彦大臣官房審議官(医薬担当)は、「患者からの副作用報告を大事にするという意味で、節目の年だと考えている」と話した。今通通常国会に提出を見込む医薬品医療機器等法(薬機法)改正にも触れ、薬剤師の職能について言及した。このほか、この日の安全対策部会では、アレクシオンファーマの非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)について、二次性TMAの使用経験がないことなどを明記する添付文書改訂を行ったことも報告された(関連記事)。

副作用報告は、医療機関や製薬企業など製造販売業者を経由して行われている。ただ、2010年に薬害肝炎事件が検証されるなかで、患者の副作用報告制度創設の必要性が指摘され、2012年3月から試行的な運用が進められてきた。欧米ではすでに患者からの副作用報告が制度化されており、国内でも制度化の必要性を指摘する声があった。さらに、後発品の増加や一般用・要指導医薬品との相互作用なども想定されるなかで、新たな制度を構築する必要性も指摘されていた。

新たな患者副作用報告制度は、患者・患者家族はPMDAのウエブサイト、もしくは郵送を通じ、PMDAに報告。PMDAは報告された副作用情報について、個人情報などを削除したうえでデータベースに入力し、厚労省とリアルタイムで情報共有する。さらに、報告内容を確認、重篤性や添付文書の未知・既知を評価する。必要に応じて、製造販売業者や医薬関係者からの副作用報告の状況を確認する。逆に製造販売業者や医薬関係者からの副作用報告を評価する際の参考情報としても参照する。添付文書の改訂などの安全対策措置を検討する際の情報のひとつとして活用する考え。

◎文書での報告可能に かかりつけ薬剤師の職能の一つに

試行段階だった、2012年3月26日~17年度末までは、PMDAのHPを通じて受け付けた報告件数は717件。医療用医薬品を少なくとも一つ以上含む報告件数は676件、一般用・要指導医薬品を少なくとも一つ含む報告は43件だった。医療用医薬品ではワクチンや精神神経用剤、睡眠鎮痛剤、抗不安剤などが多かった。

本格導入に際して報告ツールもこれまでのウエブだけでなく、文書での報告を可能にした。薬局などを通じた配布も視野に入る。改正薬機法では、「薬剤師が調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う義務」が盛り込まれる。森審議官は、これを引き合いに、「患者副作用報告も薬剤師が報告することが大事ではなかということで薬剤師会に協力いただく。これからの日本における安全対策を患者目線で充実させるには重要だ」と強調した。乾英夫委員(日本薬剤師会副会長)は、「かかりつけ薬剤師・薬局として患者に寄り添うのは当然。有害事象などの報告についても医療用医薬品であれば医師と連携をとって対応する」と述べた。

◎エパデールの一般用医薬品移行に日医が反発「生活習慣病はスイッチ化すべきでない」


このほか、この日の安全対策部会では、生活習慣病薬として初のスイッチOTCとなった持田製薬のエパデールTについても議論となった。同剤は現在、要指導医薬品に位置付けられているが、4月 14 日の製造販売後調査終了見込みに伴い、一般用医薬品としての販売の可否について判断することとなっている。この日の部会では、城守国斗委員(日本医師会常任理事)が、同剤の承認の拒否事由に当たる可能性を示唆し、「要指導医薬品から一般用医薬品へ移行するのは断固反対だ」と述べた。部会に先立ち行われた、同部会の下部組織である安全対策調査会で結論が出ず、同部会での意見を踏まえ、最終的に判断されることになる。

同剤は、セルフチェックシートの活用により、薬剤師による服薬に適格な消費者の選定が求められている。安全性については3000例超で問題が指摘されていない。

ただ、この日の部会で城守委員は、「生活習慣病はセルフコントロールができない。安易にこれを飲んだらいいという体制は非常に好ましくない。生活習慣病薬はスイッチ化すべきではない」などと猛反発。医薬品の承認の拒否事由は医薬品の性状や品質などの不適正などだが、「医薬品は情報が詰まったものであるということを考えると不適切だという解釈ができるのではないかと思うが、いかがか」と厚労省に判断を迫った。日薬の代表である乾委員は、「販売制度のルールに基づいてきちっとやっている」としたが、「今後のOTCの担う役割を考えると、今後要指導医薬品にとどめるという検討は必要ではないか」とも述べた。なお、現行制度では要指導医薬品に留めおく制度はない。安全性など重大な問題があり、承認の拒否事由に該当したと判断され、承認取り消しとなる以外は、要指導医薬品は一定の期間を経て一般用医薬品へと移行することになっている。

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