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近畿大医学部・宗圓教授 NSAIDs一辺倒の疼痛治療を問題提起

公開日時 2013/09/26 03:51

近畿大学医学部奈良病院整形外科・リウマチ科の宗圓聡教授は9月24日、「患者実態調査から見えた患者の本音と疼痛治療の満足度向上に向けて」(主催:ヤンセンファーマ)と題する疼痛メディアセミナーで講演した。この中で、変形性膝関節症など5つの運動器疾患を有する患者の調査から、鎮痛薬を服用している患者の88.8%が非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)を使用している現状が明らかになった点をあげて「患者の多くが1年以上鎮痛薬を使用していたのにもかかわらずNSAIDsの使用が9割弱という状況は問題があるのではないか」と指摘した。そのうえで、疼痛の原因や状況に応じた薬剤選択が重要との認識を示した。

 

調査は、ヤンセンが楽天リサーチの患者パネルを使用して2012年11月27日~12月3日に行った。方法はインターネット調査。調査対象は、運動器の5大疾患の診断を受けて現在通院治療中の40歳以上の患者で有効回答数は897人。内訳は変形性膝関節症195人、骨粗鬆症186人、関節リウマチ179人、脊柱管狭窄症172人、椎間板ヘルニア165人だった。

 

疼痛のために経口鎮痛薬を服用している患者の割合は、骨粗鬆症が26.3%で3割を下回ったが、他疾患はいずれも5割超で、全体で見ても51.8%(465人)だった。次に経口鎮痛薬の内訳を見ると、NSAIDsが88.8%と圧倒的に多く、続いて神経障害性疼痛用薬プレガバリン(製品名リリカ)が14.6%、弱オピオイド系のトラマドール塩酸塩とアセトアミノフェンの配合錠(トラムセット)が7.5%、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤(ノイトロピン)が7.3%、抗うつ薬・抗てんかん薬・抗不安薬は8.0%――だった。

 

鎮痛薬服用中の患者の7割以上は1年以上服用を続けていた。一方、鎮痛薬を服用しても「あまり痛みは取れない」「全く痛みは取れない」とする患者が脊柱管狭窄症患者で半数以上、他疾患でも2~4割を占めた。

 

◎慢性期の疼痛管理はNSAIDsでは不十分 長期使用の弊害も

 

宗圓教授は講演で、痛みの種類によってアプローチが異なるとし、外的な刺激や炎症により発生する侵害受容性疼痛の急性期にはNSAIDsが有効であり、神経の損傷などで知覚異常を伴う神経障害性疼痛にはリリカなど神経疼痛緩和薬、侵害性と神経性が合わさった疼痛や慢性期には弱オピオイド系などの組み合わせが考えられるとした。調査対象の運動器疾患の場合、急性期はNSAIDsが第一選択となり得るものの、急性疼痛が遷延化してくる亜急性期や中枢神経系の機能が亢進する慢性期にはNSAIDsでの疼痛管理が困難となり、トラムセットやリリカなどでの管理が必要になってくるという。

 


宗圓教授はNSAIDsの長期服用による消化管障害や腎障害の副作用についても言及。消化管障害についてはPPIとの併用で予防できるものの、腎障害についてはいまだ有効な予防策がなく、調査で取り上げた運動疾患は高齢者が多いことからもNSAIDsの長期使用は慎重にすべきとの見解を示した。また、鎮痛薬の効果を評価し、治療を見直す時期としては、慢性疼痛の診断の定義にもある3カ月が目安になるとした。

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