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厚労省検討会 がんゲノム情報の二次利用 製薬企業も可能に

公開日時 2019/03/11 03:51

厚生労働省の「がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議」は3月8日、集積されたがんゲノムデータを製薬企業が二次利用できる方針を了承した。活用することで、希少がんなどに対する革新的新薬開発も視野に入る。二次利用に際しては個人情報をめぐる、さらなる法整備が必要になる。中山讓治委員(日本製薬工業協会会長)は、「ゲノム解析が進み、薬が有効性を発揮する確率を上げて薬害を減らすことができれば、社会保障費にトータルで貢献できる」と二次利用の意義を強調した。

同会議では、国立がん研究センター内に設置された「がんゲノム情報管理センター」(C-CAT)に集積されるデータの二次利用が議論の俎上にのぼった。

◎市場性調査・安全対策研究・診療標的の同定や診療手法の開発研究などへの利活用も


会議で了承された、C-CAT集積データ二次利活用ポリシー骨子は、C-CATで集約・保管された全国のゲノム医療情報の利活用に必要な事項を定めたもの。集約されたデータについては、「情報提供審査会の承認のもと、自己の裁量で第三者に開示・提供できる」とした。提供先は、「大学等の研究機関に限らず、製薬企業等の営利企業」も対象に含む。利活用の具体例には、「市場性調査、治験等臨床研究計画の作成、安全対策研究、新たな診療標的の同定や診療手法の開発研究等」をあげた。

◎医療機関へのインセンティブも課題に


二次利用への期待も高まるなかで、臨床情報を収集するにあたり、医療機関にかかる負担に関する指摘もあった。木下賢吾委員(日本バイオインフォマティクス学会理事長)は、「充実した項目であっても現場が回らないのではいけない」として、「貢献した医療機関など現場に対するインセンティブを検討すべきではないか」と提案した。

◎全国拡大見据えエキスパートパネルの標準化図る

すでに2つの遺伝子パネル検査が国内で、承認を取得。こうしたなか、現状では治療法がない患者が存在するため、疾患の専門医のほか、遺伝医学の専門医などの意見を集約し、最適な治療法を決定する必要がある。遺伝子パネルの保険収載を踏まえれば、症例数の増加も見込まれる。そのため専門家の集団を“エキスパートパネル”と位置づけ、標準化を図ることは必須と判断し、構成員の要件や検討事項、開催方法などを明確にした。

現状では、年間4000~5000症例の対応が可能だとしているが、4月以降に30か所のがんゲノム医療中核拠点病院が新設されれば、さらに件数は増える見通し。

あわせて、患者の意思決定を重視する観点から、「インフォームド・コンセント手順書」と「説明文書」のモデル文書も示した。検査を受けても治療につながらない可能性があるという留意点を盛り込んでいる。

このほか、同日の会議では、遺伝子差別やサイバーセキュリティなど幅広い問題が提起され、法整備など社会全体でがんゲノム医療推進に向けた取り組みを進める必要性が改めて指摘された。



 

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