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【ASCO-GI】大腸がん 遺伝子発現の分子サブタイプが予後と化学療法反応性と関連

公開日時 2013/01/29 04:00

遺伝子発現パターンに基づく新たな分類システムを活用することで、大腸がんの予後と化学療法反応性を予測できる可能性が示された。分類システムと臨床成績との関連について、ステージⅡ、Ⅲの大腸がん患者から得られた腫瘍組織を用いて検討した結果から示された。今後システムが確立されることで、症例に応じた最適な治療選択が進むことが期待される。1月24~26日まで米国・サンフランシスコで開催中の2013 ASCO Gastrointestinal Cancers Syposiumに先駆けて、現地時間1月22日(EST時間)に開催されたPresscastで、Vall d’Hebron HospitalのJosep Tabernero氏が発表した。


大腸がんの治療を個別化する上で、治療効果の予測因子として確立されているのは、抗EGFR療法におけるKRAS遺伝子の状態のみにとどまっている。特にステージⅡの患者では、臨床的あるいは組織的な予後不良因子から再発リスクを予測することが難しいことが指摘されている。


最近になって、Oncotype DXやColoPrintなどの遺伝子検査により、再発リスクの高い患者を同定できるようになってきたが、術後化学療法の推奨を裏打ちする指標が十分にないのが現状だ。


分類システムは、主に上皮間葉転換(EMT)、ミスマッチ修復の欠損、細胞増殖率にかかわる遺伝子群の発現パターンにもとづくもので、3つの分子タイプ(Aタイプ35%、Bタイプ50%、Cタイプ15%)に分類した。欧州6施設で集積された、大腸がん患者188例を対象に、検討した結果から構築された。


今回の報告は、分類システムの意義、妥当性を検証したもの。ステージⅡ、Ⅲの大腸がん患者543例の遺伝子発現パターンと生物学的特徴、臨床的特徴との関連を検討した。その結果、Aタイプが21.5%、Bタイプが62%、
Cタイプが16.5%だった。


生物学的な特徴をみると、A、Bタイプは上皮組織が維持されていたのに対してCタイプは間葉性組織の特徴を有していた。EMTは、がん細胞の浸潤や転移を可能とし、がん細胞発生を促すとされており、CタイプがA、Bタイプと比較して予後不良だったという臨床的特徴と一致していた。Bタイプ(1.6%)と比べ、Aタイプ、Cタイプ(4.2%、6.2%)では、キナーゼ遺伝子の変異頻度が高かったが、これはミスマッチ修復が、キナーゼ遺伝子の変異に影響を与えることとの一致がみられた。


A、Bタイプはともに化学療法のベネフィットが認められた。Aタイプは化学療法なしでも予後良好だったのに対して、増殖能が高いBタイプでは、化学療法のベネフィットが大きかった。


◎Tabernero氏「ステージによらず最適な治療法判断可能なシステム確立を」


Tabernero氏はこれらの結果から、Aタイプは術後化学療法なしまたは5-FUを基本とする治療、Bタイプは化学療法、Cタイプは遺伝子変異にもとづく新たな標的治療が有効である可能性があるとの見解を示した。


また、「どの患者に対してより積極的な治療を行うべきかのみだけでなく、がんの進行度にかかわらず、個々の患者に対して、どの抗がん薬や標的治療薬が最も適しているのを判断する上で有用なシステムの確立を目指したい」と述べた。


なお、現在Oncotype DXやColonPrintなどの遺伝子検査を使うことのできないステージIV大腸がんについても、現在、システムの妥当性の検討が進められている。


 

 

 

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