米FDA 迅速化狙い、追加資料と再試験の内容公開へ
公開日時 2009/12/15 04:00
FDAは、医薬品承認審査の結果、審査完了通知(Complete Response Letter)を発行し、製薬企業などの申請者に再試験や追加資料を求めた場合には、公開する方針であることが分かった。これにより、申請時に不備のない申請資料を作成させ、審査の迅速化と透明化を促進するのが狙い。12月3日開催されたエルゼビア主催のセミナーでFDA新薬部のJohn Jenkins部長が明らかにした。
Jenkins部長は、申請者が自社の都合を優先させ、早い承認を目的として不完全な申請を行うことを指摘。その結果として、FDA側のPDUFA(処方せん薬ユーザーフィー法)に規定されたタイムクロックに間に合わせることが困難であると説明した。Jenkins部長は、申請を3カ月遅延させても、完璧な申請資料なら審査が迅速にでき、承認が早くなるとした。
ジョンソン・エンド・ジョンソンのAndrea Masciale氏(薬事担当)は、Jenkins部長の考えに、企業秘密保護が担保されるなら賛成としながらも、公開することで、企業間で競争上の不利益が生じてはならないと釘を刺した。
一方、クリーブランド・クリニック財団のSteven Nissen会長は、公開することで、誰にでも問題点が理解できるとの考えを表明。全体の利益になるとの立場から、「審査完了通知の非公開維持をする合理的な理由はない」と公開に賛成の考えを示した。賛否両論の議論が戦わされて当然のテーマだが、今後が注目される。
(The Pink Sheet 12月7日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから