<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<rss version="2.0">
    <channel>
        <title>欧米メガファーマの動向と経営戦略</title>
        <link>https://www.mixonline.jp</link>
        <description>ミクスOnlineは、ヘルス・サイエンスの発展に欠かせない要素である医薬品業界の市場情報やヘルス・サイエンスに関わる人々の知識向上につながる情報・サービスを提供する医薬情報サイトです。</description>
        <language>ja-JP</language>
        <copyright>Copyright © 2009-26 株式会社ミクス</copyright>
        <image>
            <url>https://www.mixonline.jp/Portals/0/logo.gif</url>
            <link>https://www.mixonline.jp</link>
            <title>ミクスOnline</title>
        </image>
        <item>
            <title><![CDATA[メガファーマの取るべき経営戦略]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=37958</link>
            <description><![CDATA[　今号は最終回として、多様化・複雑化していく世界の医薬品市場の中でメガファーマの取っている各経営戦略についてふれ、それらを評価するとともに、今後起こりうる合併など予測する。あわせて日本医薬品産業へのインパクトなどについて述べる。複雑・多様なこれからの事業機会　過去の生活習慣病を中心とした低分子大型品市場では、すでに治療満足度も高く、供給過剰、特許切れ、ジェネリックの浸透、ＯＴＣ化が進んで行き、もはや新たな事業機会はなくなっている。これに対して、これから大きく成長していく分野は診断薬と結合していく個別化医療、抗体やワクチンなどバイオ医薬、分子標的抗がん剤、バイオシミラー、ジェネリック、新興国市場などである。成長分野に対して持てる経営資源が無限であれは、すべての成長分野に参入をしてシェア１位を取りたいところである。しかし、限られた経営資源の中では、自ずから「選択と集中」の戦略を取らざるを得ない。メガファーマの成長に向けた経営戦略　しかし、まだメガファーマの中には今までの低分子大型品の改良品でしばらく医薬事業をつなごうという企業もみられるが、業界の流れとしては以下のような成長のための経営戦略がとられている。①診断薬事業を強化して個別化医療へ　ロシュ、アボット、ジェンザイム②抗体とワクチンなどバイオ医薬強化　抗体とワクチンではファイザーのワイスの買収、抗体ではロシュのジェネンテックの完全子会社化、抗体ではイーライリリーのイムクローンの買収、抗体とワクチンではアストラゼネカのメドイミューンの買収、ワクチンではＧＳＫのＩＤバイオメディカルの買収とノバルティスのカイロンの買収、サノフィパスツールによるメリュー・アライアンスを通じてのシャンタ・バイオテクニクスの経営権の取得③抗がん剤のパイプライン強化　サノフィ・アベンティスによるバイパーの買収／エクセリクシスとの提携、Ｊ＆Ｊのクーガーの買収④自己防衛的買収　メルクによるシェリング・プラウの買収⑤バイオシミラーの強化または参入　サンドによる初参入、テバによるロンザと合弁会社の設立、メルクによるインスメドの買収、マイランのバイオコンとの提携⑥ジェネリック事業への参入または強化　サノフィ・アベンティスによるゼンチバ、ケンドリック、メドレーの買収、ファイザーによるオーロビンドとクラリスとの提携、サンドによるエべウェの買収（注射抗がん剤取得）⑦新興国へのさらなる浸透　第一三共によるランバクシーの買収、ＧＳＫによるＵＣＢの非主要新興国事業の買収やアスペンやドクターレディーズとの提携、ＢＭＳのジェネリック事業の買収、サノフィ・アベンティスによるケンドリック、メドレーの買収成長のための経営戦略の評価　もしあなたがあるメガファーマの経営者であれば、成長のためにどのような経営戦略を優先して追求されるだろうか。　私であれば、これから先進国市場で成長を最もドライブする個別化医療を目指すことを最優先とする。もちろん診断薬事業の取得が必要であるが、自社のパイプラインに抗体医薬や分子標的抗がん剤を豊富に持っていることが前提である。そして抗体医薬や分子標的抗がん剤をより獲得するために積極的にベンチャーのＭ＆Ａを行うこともよい選択肢だと思う。ワクチン事業への参入のためのＭ＆Ａや提携もよいと思う。　バイオシミラーに関してはどうか。すでに事業に参入しているサンドやテバは別として、メルクなどメガファーマが参入することはよいことなのだろうか。もちろんバイオシミラーは今後の成長分野である。しかし私はメルクの経営陣の優先順序が間違っているのではないかと思っている。メルクは抗体などバイオ医薬に遅れ、買収相手のシェリング・プラウがもつレミケードとシムポニーはＪ＆Ｊより返却が求められている。抗がん剤でもまだほとんどがフェーズ１の段階にある。そして、いまだに４つの高脂血症薬を開発している。ワクチン事業に関しても、サノフィ・アベンティスやＧＳＫに比べてパイプライン数が少ないのが気になるところである。バイオシミラーに関してはサンドやテバ以外にもインド・オリジンのバイオコンやエムキュアなどがすでに参入しており、かなり集中して取り組まないと競争に負ける可能性がある。　次にジェネリック事業への参入であるが、サンドが注射抗がん剤のジェネリック企業を買収するのは製品ラインアップの点で意味がある。抗体医薬と抗がん剤でロシュに次ぐ２大企業に変身しているファイザーが先進国や新興国でジェネリックに参入するのは補完的ビジネスとしていいと思う。つまり余裕でやるのである。すでに優先してやるべきことをやっているからである。　問題なのはサノフィ・アベンティスである。同社はワクチンを除いて抗体医薬４品目、抗がん剤10品目と大幅に遅れを取っている。ロシュは抗体医薬24品目、抗がん剤30品目であり、ファイザーは抗体医薬23品目、抗がん剤27品目である。従って、同社が抗がん剤を求めてバイパーの買収やエクセリクシスとの提携をするのは極めて正しい。しかし、この程度の買収や提携では到底キャッチ・アップはできない。同社によるゼンチバ、ケンドリック、メドレーなどの買収は優先順位が間違っている。低分子薬でのジェネリック事業への参入はすでにタイミングが遅いし、また私は15年から17年頃にはほとんどの大型低分子薬が特許切れを終えており、それ以降はジェネリック事業は極めて低価格の局方品の提供のようになり、ビジネス上のうまみのない事業になっていると思う。これはメガファーマが優先してやる事業ではない。　新興国参入でＧＳＫは「20年までの世界の医薬品市場の成長の40％は新興国により生じる」として強化の方針を打ち出している。確かに同社のパイプライン数は群を抜いて多く、ファイザー単独のプロジェクト数（100）より多く、ファイザー+ワイスの合計プロジェクト数（164）に迫るプロジェクト数（134）を持っている。従って、余裕で新興国に出ていけそうだ。しかしそのパイプラインは玉石混交であり、抗体医薬が８品目、抗がん剤が17品目とロシュやファイザーと比べて見劣りがする。一方、ワクチン事業の強化は評価できるが、抗体や抗がん剤への取り組みは勢いが弱いように感じる。抗体医薬や抗がん剤の数少ないＧＳＫは、今後先進国で大きなうねりになる個別化医療の流れには、がんワクチンなどを除いて乗れない企業となるだろう。サノフィ・アベンティスもジェネリックへの参入や新興国参入の前にやるべきことがある。第一三共も同様だ。ベーリンガーは世界で16位、第一三共は世界で22位であるが、ベーリンガーは「ジェネリック企業の買収はしない。注力する市場は欧・米・日本である。新興国は市場成長率が高いが、市場規模自体が小さい」として明確な方針を出している。　第一三共はランバクシーではなく市販品や後期開発品を持つがん抗体ベンチャーを買収すべきであった。特に注意すべきことは、売るべき製品が少ないまま新興国市場に進出することである。販売が単発で終わり、ＭＲの採用・訓練や流通チャネルの構築などのインフラ投資が回収できずに終るからである。今後のＭ＆Ａの予測　以上の経営戦略の評価の中で、今後のＭ＆Ａを予測したい。①ワイス合併でロシュとともに２大バイオ企業となったファイザーは「個別化医療」に強烈に動き始めるであるだろう。次いで２～３年後には診断薬で第２位の地位にあるアボットの買収に向かうだろう。これで世界には２大「個別化医療」メーカーが誕生して、業界の主導権を握る。なお、ファイザーは再生医療でも業界をリードする可能性がある。②サノフィ・アベンティスはやがて今のまま個々に抗がん剤ベンチャーを買収したり提携したりでは時間が足りないことを痛感するだろう。メダレックスを買収して抗体17品目、抗がん剤24品目を持つようになったＢＭＳの存在が気になるところである。しかし、サノフィはＢＭＳの買収などには打って出ず、ワクチン、ジェネリック、新興国などへの事業強化を続けるだろう。③ＧＳＫはワクチン事業の強化と新興国への浸透に注力するだろうが、個別化医療のうねりには乗れないだろう。大型Ｍ＆Ａもしないだろう。④ノバルティスの問題は抗体３品目と抗がん剤19品目で、抗体医薬に弱く、抗がん剤の数でロシュやファイザーにおよばない。加えて、ワクチン事業を強化しつつ、ジェネリックでテバとトップ１、２の地位を争い、バイオシミラーで１位を確保しなくてはならない。しばらくは、ジェネリックの強化やバイオシミラーの強化に向けた投資が続くだろう。大型Ｍ＆Ａはしないだろう。⑤イーライリリーはイムクローンを買収して抗体を獲得した。アストラゼネカはメドイミューンを買収して抗体とワクチンを得ている。両社は買収成果を生かす新薬開発に注力して、大型Ｍ＆Ａはしないだろう。今後のメガファーマの間でのＭ＆Ａはないだろうが、個別化医療へ流れの中での診断薬企業の買収や提携はありうるだろう。むしろ、今後の医薬品業界の再編は診断薬事業の買収や連携で動くと確信している。求められているのは自己変革戦略　メガファーマは診断薬と結合していく個別化医療、抗体やワクチンなどバイオ医薬、分子標的抗がん剤、バイオシミラーなど新しい市場機会に直面している。ここはアンメット・メディカル・ニーズ領域であり、大きな成長機会がある。しかし、一方ではかつて低分子薬でブロックバスターを生んできた企業（ファイザー、ＧＳＫ、サノフィ・アベンティス、アストラゼネカ、Ｊ＆Ｊ、メルク、ＢＭＳ、イーライリリーなど）の大型製品が連続して特許切れを迎え、生活習慣病用薬など低分子マス市場の終焉の時代を迎えているのである。13年までに特許切れ迎える製品比率はファイザー47％、メルク42％、ＧＳＫ41％、Ｊ＆Ｊ41％、ＢＭＳ39％、イーライリリー37％、アストラゼネカ34％、サノフィ・アベンティス32％である。　この２つの事態に対応する戦略選択肢は以下のとおりである。①既存フランチャイズを守り持続するために改良品を投入する戦略（武田薬品、メルクなど）②既存フランチャイズを放棄して新しいアンメット・メディカル・ニーズ領域に参入して、自己変革する戦略（ファイザー+ワイス）③①の戦略がうまくいかないことに目覚め、部分的に新しいアンメット・メディカル・ ニーズ領域に参入する戦略（武田薬品+ミレニアム）③①の戦略がうまくいかないことに目覚め、売上減を量的にカバーしようとする戦略　　（メルク+シェリング・プラウ）④①の戦略がうまくいかないことに目覚め、ジェネリック市場や新興国市場への参入によってカバーしようとする戦略（サノフィ・アベンティス、ＧＳＫ、 第一三共） 　しかし、成功する可能性のある戦略は②のみである。ダーウィン的市場の構造変化の中で　この成長の機会と崩壊の危機を示す市場の構造変化を、私は「ダーウィン的市場の構造変化」と呼んでいるが、この構造変化に対応するのは、身を捨てる覚悟で大河を渡り、向こう岸に着き そこで新天地を開く戦略でしか生き残れない。この大川を渡ったのがファイザーである。そしてすでに川を渡っている既存メーカーとの競争に直面する。ファイザー対ロシュのバイオ戦争であり、やがて戦場は個別化医療の戦場となる。更なる再編不可避の日本医薬品産業　欧米メガファーマの3大合併や市場構造の変化の中で、日本医薬品産業は今のままの業界構造で推移できるか。抗体医薬・分子標的薬・ワクチン・個別化医療に遅れており、その再編は不可避である。＊次号からは、引き続き井上良一氏による連載「オンコロジー・マーケティングの時代」がスタートします。ファーマ・マーケティング・コンサルタント井上 良一]]></description>
            <category>欧米メガファーマの動向と経営戦略</category>
            <pubDate>Tue, 29 Sep 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[メガファーマ3大合併の評価（下）]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=37808</link>
            <description><![CDATA[　今号ではファイザーによるワイス買収とロシュによりジェネテック完全子会社化の分析・評価を行う。ファイザーの現状と将来展望　09年1月ファイザーによるワイスの買収が発表された。買収金額は680億ドルであり、買収は09年第３四半期の終わりか第4四半期としている。　ファイザーは08年の医療用医薬品売上441.74億ドル（前年比１％減）の世界ランキング1位の企業である。研究開発費は79.85億ドル。その主力製品は高脂血症薬リピトール124.01億ドル（２％減）、降圧剤ノルバスク22.44億ドル（25％減）、禁煙補助剤チャンティクス/チャンピックス8.45億ドル（４％減）、線維筋痛症などの適応を持つ神経障害性疼痛薬リリカ25.73億ドル（41％増）、統合失調症薬ジオドン／ゼルドックス10.07億ドル（18％増）、COX2阻害剤セレブレックス24.89億ドル（９％増）、合成抗菌剤ザイボックス11.15（18％増）、ＥＤ治療薬バイアグラ19.34億ドル（10％増）、ＯＡＢ治療薬デトロール／デトロールLA12.14億ドル（2％増）、分子標的抗がん剤スーテント8.47億ドル（46％増）、緑内障薬キサラタン／キサラコム17.45億ドル（9％増）などである。　07年に米国特許が切れたノルバスクは別として、多くの既存製品が売上を伸ばしているが、同社の成長をドライブしているのはスーテントとリリカである。問題はリピトール、バイアグラ、キサラタン、ジオドン、デトロールなどの主力製品の米国特許が11～12年に切れていくことである。これらの製品は同社の08年医療用医薬品売上の47％を占めており、売上の約半分がジェネリックの攻勢を受けるわけである。米国ではジェネリックが上市されると、30日以内に約90％がジェネリックに置き換わるとされる。なかでも売上の28％を占めるリピトールの影響は大きい。　パイプラインについては、抗体医薬（以下、抗体と省略）が13品目、抗体と低分子の抗がん剤（以下抗がん剤）が22品目ある。アルツハイマー病治療薬が６品目、関節リウマチなど炎症分野が９品目、神経障害性疼痛やＯＡ（変形性関節症）などの疼痛分野で８品目の新薬候補品を持つ。　フェーズ３にある開発品で注目すべきなのは、経口関節リウマチ薬JAK阻害剤や抗NGF抗体タネズマブだ。後者は膝のＯＡで痛みを有意に減少させたと報告されている。アルツハイマー病ではメディベイションと共同開発している経口剤のディメボンがある。これは昔ロシアで抗ヒスタミン剤として使用されていたが、その後、細胞のミトコンドリア機能を改善することが分かってきた。ハンチントン病でもフェーズ３を開始した。　さらに、オーキシィリアムと提携してキシアフレックスというコラーゲン分解酵素（注射剤）をデュピュイトラン拘縮を適応症として開発中である。なお、同剤はペイロニー病でも開発中で現在フェーズ２。ファイザーのパイプラインはこれからのアンメット・メディカル・ニーズをよく踏まえたものであると思う。ワイスの現状と将来展望　ワイスは08年の医療用医薬品の売上は190.25億ドル（前年比２％増）の世界ランキング10位の企業である。研究開発費は33.73億ドル。　主力品は抗うつ剤SNRIエフェクサー39.28億ドル（4％増）、小児用肺炎菌ワクチン・プレベナー27.16億ドル（11％増）、関節リウマチ薬エンブレル（米国、カナダ以外）25.93億ドル（27％増）、エンブレル連携収入（米国、カナダ）12.05億ドル（20％増）、栄養管理製品16.34億ドル（13％増）、抗菌剤ゾシン／タゾシン12.64億ドル（11％増）、ホルモン剤プレマリン関連製品10.70億ドル（１％増）、ＰＰＩプロトニクス関連製品8.06億ドル（58％減）などである。　プロトニクス関連製品には自社ブランド品と自社販売しているジェネリックを含む。エフェクサーはすでに08年に米特許切れとなった。エフェクサーの後続品プリスティクは08年５月から米国で発売されている。特許切れのエフェクサーとプロトニクス関連製品は、医療用医薬品売上の25％を占めるに過ぎず、エンブレルとプレベナーが同社の成長をドライブしているのが特徴だ。　パイプラインは抗体10品目、抗がん剤５品目である。驚かされるのは、アルツハイマー病治療薬が10品目も開発中であることだ。しかも、抗体３品目、ワクチン２品目、ガンマーセクレターゼ阻害剤２品目、プラズミノーゲン活性化阻害剤１品目、その他の低分子薬２品目と全方位でこの疾患に迫ろうとしている。関節リウマチなど炎症分野でも９品目、ワクチンは５品目ある。　同社のパイプラインが優れているのは、07年に世界で医薬業界の専門ニュースを発刊しているスクリプト誌から「べスト全般パイプライン」賞を受賞していることでもわかる。ファイザーによるワイス買収の評価　ファイザーとワイスの08年の医療用医薬品売上の合算は631.99億ドル（約6.3兆円）で、我が国の医薬品産業の規模6.7兆年に迫る。研究開発費は113.58億ドル（約1.1兆円）で、これも我が国の07年の医薬品産業全体の研究開発費1兆2537億円とほぼ等しい。これは凄まじいことではないだろうか。　しかし、一番大切な点はパイプラインである。抗体23品目、抗がん剤27品目、アルツハイマー病16品目、炎症分野18品目もある。これにファイザーの疼痛分野８品目が加わる。抗体、抗がん剤で同社と対抗できるのはロシュ+ジェネンテックのみである。同グループは抗体24品目、抗がん剤30品目で、他社を含めて比較すると、抗体ではロシュ+ジェネンテック（24品目）、ファイザー+ワイス（23品目）、09年７月にメダレックスを買収したＢＭＳ（17品目）、アムジェン（16品目）、イーライリリー（12品目）の順に多く、他社はひと桁台である。　抗がん剤では多い順に、ロシュ+ジェネンテック（30品目）、ファイザー+ワイス（27品目）、ＢＭＳ（24品目）、イーライリリー（20品目）、ノバルティス（19品目）と並ぶ。　つまり、抗体、抗がん剤などの分野ではロシュとファイザーが２大メーカーして業界の主導権を取り、フォロワーとして、残りのメーカーが存続に努力することになるであろう。アルツハイマー病で16品目、炎症分野18品目、疼痛分野８品目のファイザーに世界で対抗できる企業はなく、これらの分野で世界最強になる可能性をもつ。さらにワイスの買収によりワクチン事業への参入を果たす。つまり合併後のファイザーの長期成長性は確信できるのである。　それでは、13年頃までの状況を予測してみよう。ファイザーは既存品の売上合計の47％にあたる208億ドルをジェネリックの浸食で失う可能性がある。ワイスも同じく25％にあたる48億ドルを失う可能性がある。これらをあわせると合計256億ドルになる。　これに対して、両社のフェーズ３には、スーテントとリリカの適応拡大、JAK阻害剤、タネズマブ、ディメボン、キリアフレックス、フィガツムマブ（IGF-1R抗体、非小細胞肺がん）、セリン（エンドセリンＡ拮抗剤、肺高血圧症）、エンブレルの適応拡大やプレベナーの地区拡大、13価肺炎球菌ワクチン、まだ不確定であるがパピネウズマブ（βアミロイド抗体、アルツハイマー病）と綺羅星のごとく革新的新薬が並んでいる。単純な試算をしてみても、これらの新薬と適応拡大などで13年頃までには、合計約240億ドルの売上増が見込める。　　　つまり、ファイザーでは大きな売上減少が長年続くことなないことが予測できる。　次によく聞く話であるが、年商約6.3兆円に成長したファイザーは、ますます恐竜化して、今後の環境変化に対応できないではないかという声がある。これは間違いである。　環境変化に対応できるかできないかは会社の規模では計れない。同社は疾病構造とアンメット・メディカル・ニーズへの変化に対し最も柔軟で最も素早い対応力を有していて、これが同社の最大の企業競争力である。その対応力の早さを保証しているのが同社の分権化されたビジネス・ユニット組織である。合併後に医療用医薬品事業は５つのビシネス・ユニット組織で運営される。それらは「プライマリー・ケア」「スぺシャリティおよびワクチン」「イマージング・マーケット」「オンコロジー」「エスタブリッシュト・プロダクト」である。これらの各ユニットはそれぞれ製品の初期開発から、その製品のライフサイクルを終えるまで責任を負う。ロシュによるジェネンテックの完全子会社化　ロシュは08年７月にジェネンテックに完全子会社化を提案した。そして09年３月にそれが実現した。それまでロシュはジェネンテックの株の55.7％を保有していたが、完全子会社化となった。買収額は468億ドルである。　すでにジェネンテックの売上はロシュの連結売上の中に含まれており、売上増になるわけではない。またジェネンテックのオリジンの新薬に対しても最初の選択権を持っていた。それでは、なぜ完全子会社化が必要であったのだろうか。ロシュの現状と将来展望　ロシュの決算はすべてスイス・フラン表示であるが、ここではすべて１スイス・フランを0.85ドルで換算して、ドルベースで示す。　ロシュは医療用医薬品事業と診断薬の２大事業を持っており、08年の医療用医薬品の売上は305.67億ドル（前年比5％増）で世界で６位、診断薬の売上は82.08億ドル（11％増）で世界１位で、シェア20％を持つ。ロシュはこの２大事業に集中しており、他事業には眼向きもしない。医療用医薬品ではがん関連売上が55%を占め、その成長率も15％増と高い。　主力品は非ホジキンリンパ腫薬マブセラ／リツキサン50.35億ドル（16％増）、血管新生抑制薬アバスチン44.26億ドル（37％増）、乳がん治療薬ハーセプチン43.28（12％増）、移植拒絶抑制薬セルセプト17.84億ドル（13％増）、エリスロポエチンのネオレコルモン／エポジン15.08億ドル（13％減）、B型・C型肝炎薬ペガシス13.90億ドル（６％増）、肺がん治療薬タルセバ10.33億ドル（23％増）、大腸がん／乳がん治療薬ゼローダ10.29（13％増）、骨粗しょう症薬ボンビバ／ボニバ9.42（35％増）、加齢黄斑変性症薬ルセンティス8.16億ドル（７％増）などである。　がん関連薬はすべて２桁成長である。同社の製品群の優れた点はすでにバイオシミラーの出ているエリスロポエチンと09年５月に米国特許が切れたセルセプト以外はジェネリックの脅威に直面していない点である。この２製品は同社の医療用医薬品の11％を占めるに過ぎない。　ロシュ+ジェネンテックのパイラインはすでに述べたごとく、抗体24品目、抗がん剤30品目を有し世界最強であり、申し分はない。　診断薬ではロシュが世界で20％のシェアを持ち、次いでシーメンスが12％、アボットが12%、J&amp;Jが10％、バイエルが３％のシェアと群を抜いている。ロシュは08年２月には診断薬企業ベンタナ・メディカル・システムズを買収して、事業強化している。ロシュによるジェネンテックの完全子会社化の評価　ロシュは診断薬事業と抗体や分子標的薬を中心とする医療用医薬品事業を有機的に結合した個別化医療を推進したいのである。そのために、新薬開発のはじめの標的分子の同定の時点からバイオマーカーを開発し、それを使って臨床試験をして、発売時には使用したバイオマーカーを診断薬として市販しなくてはならない。開発のはじめから診断薬の専門家と新薬の専門家がプロジェクト・チームを組む必要がある。自由自在に診断薬事業と医薬事業を結合させて動いていくスピードが求められる。　それには、ジェネンテックがロシュの完全配下でないと動かしづらい。この戦略自由度を確保するために468億ドルを支払ったのである。それともうひとつ防衛的なもので、もし残りの44.3％に対して、他のメガファーマがいく10％や20％でも食い込んでくるとロシュの戦略自由度は大きく損傷を受けるから、これらのリスクを回避しておく必要がある。ひと言でいえば、ロシュがジェネンテックを完全子会社したのは「個別化医療」の推進であり、世界をリードするためである。それにしても1000億ドル（約10兆円）近い時価総額を持っていたジェネンテックの完全子会社化のコストは尋常なものではない。ファーマ・マーケティング・コンサルタント井上 良一]]></description>
            <category>欧米メガファーマの動向と経営戦略</category>
            <pubDate>Mon, 31 Aug 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[メガファーマ3大合併の評価（上）]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=37675</link>
            <description><![CDATA[ファーマ・マーケティング・コンサルタント井上 良一　今号ではメルクによるシェリンング・プラウの買収の分析・評価を行う。しかし、その前に吟味しておくべき戦略がある。生活習慣病にアンメット・メディカル・ニーズはあるか　この問いに対する私の答えは、特殊な例を除いて「ノー」である。08年中に私が最も衝撃を受けたニュースであるが、08年９月30日にファイザー本社は以下の疾病領域から脱却すると言い出した。①貧血②動脈硬化症／高脂血症③骨の健康／脆弱性④消化器⑤心不全⑥肝線維症⑦筋肉⑧肥満症⑨変形性関節症（疾患修飾性抗リウマチ薬アプローチのみやめる）⑩末梢動脈性疾患。生活習慣病領域の開発から去ることを意味するが、これに高血圧症も含めるべきであろう。さらに言えば、アレルギー性鼻炎／花粉症、喘息、COPD、ＯＡＢ、更年期障害なども既存薬の治療満足度が高いと思う。ここでは、高血圧症、高脂血症、糖尿病の３大生活習慣病について触れてみる。高血圧症領域では02年９月にファイザーのインスプラ（日本販売名：セララ、一般名：エプレレノン）が米国で承認されている。本剤は世界初の選択的アルデステロンブロッカーであり、03年10月に「心筋梗塞後のうっ血性心不全」の適応も取得したユニークな薬剤である。この製品が売れているか否かだが、ファイザーの循環／代謝領域では５億ドル以上の年商の製品は売上リストに掲載されているが、インスプラはそれに載っておらず、年商は５億ドル以下と推定される。ほかにノバルティスのＡＲＢとは作用機序の異なるユニークなレニン阻害剤テクターナ／ラシレズ（アリスキレン）がある。07年３月に米国で承認を受け、同年８月にＥＵで承認を取得したが、売上（08年）はなんと1.44億ドルである。まして、仮に今後ＡＲＢが承認されたとしても、10年４月にはコザール（日本名：ニューロタン、一般名：ロサルタン）、12年９月にはディオバン（バルサルタン）の特許切れが続き、その直後からジェネリックが低薬価で出回り、新規のＡＲＢの相対的良さもジェネリックの低薬価のメリットをオフセットできず、市場で不発に終わるであろう。高脂血症領域では11年６月には売上124.01億ドル（08年）のリピトール（アトルバスタチン）の特許が切れる。数多くのジェネリックが発売されて、その影響は市販済みのクレストール（ロスバスタチン）や米国で申請中のリバロ（ピタバスチン）にも及び、高脂血症薬市場そのものが崩壊していくであろう。糖尿病領域では糖尿病の治療満足度は高く、糖尿病合併症（神経障害、網膜症、腎症）は低い。後者の新薬は必要であるが、前者ではもはや不要と考えている。05年４月にＦＤＡの承認を取得したアミリン／イーライリリーのＧＬＰ-1受容体作動薬のバイエッタ（エクセナチド）は注射剤であるとはいえ、結構売れることを予想したが、売上（08年）は7.51億ドルだった。すでに世界で両社を含め、６社で５品目が開発競争下にある。06年10月にＦＤＡが承認したメルクのDPP-4阻害剤ジャヌビア（シタグリプチン）の売上（08年）は13.97億ドルと、まずは売れている薬剤といえるだろう。次にＥＵで昨年２月に承認を取得したノバルティスのDPP-4阻害剤ガルバス（ビルダグリプチン）の売上（08年）はなんと0.43億ドルである。ほかにも、米欧で申請中の品目ではＢＭＳ／アストラゼネカのオングリザ（サクサグリプチン）があり、米国ではＦＤＡの諮問委員会で心血管系の副作用リスクに問題がないとされ、ＥＵでも肯定的見解が示されている。一方で、米国で申請中の武田薬品のSYR-322 （アログリプチン）は心血管系の副作用リスク評価に関する追加試験を求められた。そのため、ＥＵでは長期投与の追加臨床試験を開始した。ベーリンガーもファイザーも同じ機序の薬剤を開発中だ。武田以外の日本のメーカーも参入しており、国内外で12社が13品目の開発を進めている。ＦＤＡは08年12月に新規の糖尿病薬に対して、長期試験を行い、心血管系の副作用リスクを評価し、申請することを求めるガイドラインを発出した。これは米欧の大企業にとって糖尿病薬の開発のハードルを高くしているし、我が国の企業にとっても同様である。まして、研究開発費が1000億円以下の我が国の企業にとっては到底負担に耐えられない。今後の糖尿病薬の開発はハイリスク・ローリターンになるだろう。メルクの現状と将来展望　今年３月にはメルクによるシェリング・プラウの買収が発表された。買収額は411億ドルであり、買収は09年第４四半期に完了する予定だ。メルクは医療用医薬品企業としては世界で８位であり、年商（08年）が238.50億ドル（前年比１％減）である。同社の主力品は喘息薬シングレア43.37億ドル（２％増）、降圧剤コザール／ハイザール（日本名：ニューロタン／プレミネント）35.58億ドル（６％増）、骨粗しょう症薬フォサマック15.53億ドル（49％減）、子宮頚がんワクチンのガーダシル14.03億ドル（５%減）、ロタウイルスワクチンのロタテック6.65億ドル（27%増）、帯状疱疹ワクチンのゾスタバックス3.12億ドル（32％増）である。糖尿病薬DPP-4阻害剤ジャヌビアは13.97億ドル（119％増）と2倍以上の伸びを示した。なお、同剤とメトフォルミンとの合剤ジャヌメットは3.51億ドル（308％増）である。07年10月にＦＤＡが承認した抗ＨＩＶ薬で世界初のインテグラーゼ阻害剤アイセントレスは3.61億ドルである。なお、メルクは欧州でのガーダシルなどの販売は主としてサノフィ・アベンティスとの合弁会社で行っており、同剤の売上は8.65億ドル（82％増）。さらに、シェリング・プラウとは合弁会社で高脂血症薬ゼチーアと、スタチンのゾコールとの合剤バイトリンを販売している。売上はゼチーア22.01億ドル（９％減）とバイトリン23.60億ドル（15％減）である。これらの米国での今年の売上はさらに減少すると見込まれている。メルクにとって今後の成長の柱はジャヌビア／ジャヌメットである。今年の経営ガイドラインでも、これらを24億ドルから27億ドルに引き上げる計画を示した。だが、同社にとって最大の脅威は、相次ぐ製品の特許切れだ。08年２月にはフォサマックの米国での特許切れがあり、すでに07年の売上30.49億ドルは08年には15.53億ドルと半減した。また、35.58億ドル（08年）の売上のあるコザール／ハイザールは10年４月、年商43.37億ドル（08年）の喘息薬シングレアは12年8月に米国での特許が切れる。フォサマックの売上減少も続くだろう。これら３剤と特許切れを迎えたゾコールの売上の合計（08年）は100.08 億ドルで、同社の医薬品の全売上（238.50億ドル）の約42％を占める。今後の展望だが、ジャヌビア／ジャヌメット、ワクチン、抗ＨＩＶ薬などの伸長で12年までに約100億ドルの売上増加は可能だろうか。ジャヌビアが現アクトス年商約42億ドルになるとしよう。これでも、あと56億ドル不足する。もちろん特許切れで売上が一時的に減少することがあり得る。問題は今後のメルクの開発パイプラインが中長期の成長可能性を示しているか否かである。同社のパイプラインの特徴はフェーズ２、３に動脈硬化症薬が５品目、糖尿病薬が４品目、日本たばこからの導入品「JTT-305」を含む骨粗しょう症薬が２品目と、生活習慣病改善薬が多くを占め、抗がん剤は２品目しかない。その一方で、初期フェーズ１にはがんワクチン１品目を含む抗がん剤が８品目もある。また、今年はゼチーアとリピトールの合剤を申請することを予定している。つまり、メルクは市場の成長が終わった領域のパイプラインを主体としており、新規の抗がん剤への参入に遅れをとってしまったといえる。注目すべきは、抗がん剤として市場で３番手のmTOR阻害剤を軟部組織や骨肉腫の適応取得に向けて開発している点である。だが、パイプライン全体をみると、進みゆく市場変化に対応したものではない。また、ワクチンの開発品目数に関しても、サノフィ・アベンティスやGSKに比べて少ない。シェリング・プラウの現状と将来展望　シェリング・プラウは医療用医薬品企業としては世界で14位の企業であり、年商（08年）が142.53 億ドル（前年比40％増）である。07年11月にオルガノンを買収し、売上増となっている。主力品は関節リウマチ等への抗体医薬レミケード21.18億ドル（28％増）、アレルギー性鼻炎用スプレー・ナゾネックス11.55億ドル（６％増）、脳腫瘍薬テモダール10.02億ドル（16％増）、Ｃ型肝炎薬ペグイントロン9.14億ドル（0.3％増）、抗ヒスタミン薬クラリチン7.9億ドル（１％減）、不妊薬フォリスチム5.77億ドル、避妊用リング・ヌバリング4.40億ドル、医療用抗ヒスタミン薬クラリチン4.25億ドル（９％増）などである。特徴的なのは、全売上に占めるレミケードの比重は大きいことだ。同社の優れた点は、すでに特許が切れてＯＴＣ化しているクラリチンを除けば、特許が切れてジェネリックに侵食される主力品がしばらくはなさそうなことだ。同社は「主要医療用医薬品は長期間にわたる特許権を保持しており、そのほとんどが向こう10年間は保障されている」と発表している。つまり、同社の優位な点は、売上のほとんどが保護された状態で今後も合併企業の中にしばらく残る点である。開発パイプラインをみると、最も期待できるのはＪ＆Ｊのセントコアと共同開発中のレミケードの後続品である抗体医薬シムポニ（ゴリスマブ）である。09年４月にＦＤＡから承認された。また、フェーズ２に抗IGF-1R抗体（抗がん剤）があり、ユーイング肉腫などの適応を狙っており、これも興味深い（ただし、IGF-1R抗体はメルクでも開発中）。また、フェーズ３にあるＡＣＳ（急性冠症候群）治療用経口抗トロンビン受容体拮抗薬やＣ型肝炎治療用経口ＮＳ３プロテアーゼ阻害剤ボセプレビアなども興味深い。しかし、同社ではアレルギー性鼻炎や喘息、COPDのための配合剤が３品目（フェーズ３に１品目、フェーズ２に２品目）パイプライン上にあり、この領域でのメディカル・ニーズはもはやほとんどない。フェーズ３にある避妊薬も同じ状況だ。新薬の数全体も少ないが、革新的新薬は上記の数品目である。レミケードとシムポニはＪ＆Ｊと提携しており、これが同社の企業価値を高めている。しかし、もしこの提携関係が失われるとしたら、企業価値は大幅に減少する。また、両社の合併で抗体を含む抗がん剤は18品目に増え、数では世界で５～６位となったものの、その７割強は初期フェーズのものである。メルクのシェリング・プラウ買収の評価　メルクがシェリング・プラウを買収したことについて私は良かったと評価しており、賛成である。　本Ｍ＆Ａの評価すべき点は：①合計した医療用医薬品の売上は381億ドルとなり、世界の医療用医薬品企業ランキングで旧ファイザーに次ぐ第２位に浮上する。その存在感は大きい。②メルクの３大型品の特許切れに対して、シェリング・プラウから当面ジェネリックのほとんどない売上を量的に確保できる。③抗体医薬レミケードとシムポニの共同販売権を継承できる。さらに、数品目であるが革新的新薬候補を入手できる。　また、本Ｍ＆Ａの評価できない点は：①メルクの経営戦略上の問題点はすでに市場価値を失っている生活習慣病用薬などマス市場戦略をとっており、それにかなり固守している点。メルクが主力品の特許切れに対して、その売上ロスを補うのが最重要か。伝統的強みであったワクチン事業への投資はどうするか。バイオ医薬を本気でやるか、など当社の戦略方向が見えない。②すでに述べたように、シェリング・プラウの開発品で革新的新薬の数は少なく、魅力が低い。がんやバイオ医薬を本気で開発するなら、ＢＭＳやバイオジェン・アイデックを買収すべきだったと考える。③シェリング・プラウを存続会社として、社名を「メルク」にするという「リバース・マージャー」という手法がとられているが、これはＪ＆Ｊとの提携関係を失わずに、レミケードとシムポニへの共同販売権を継承するためになされたと思うが、09年5月のニュースではＪ＆Ｊが両剤の返却を求めて仲裁を申請した。今後Ｊ＆Ｊとメルクの激しい交渉が見られるだろうし、予断をゆるさない状況だ。通常は提携関係を結ぶ際、導出の相手企業は別の企業にＭ＆Ａされ、自己コントロールを失うときは、導出元企業はその提携を解消する権利をもつように契約しているからである。]]></description>
            <category>欧米メガファーマの動向と経営戦略</category>
            <pubDate>Fri, 31 Jul 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        <item>
            <title><![CDATA[多様化・複雑化していく世界の医薬品市場]]></title>
            <link>/tabid55.html?artid=12696</link>
            <description><![CDATA[ファーマ・マーケティング・コンサルタント井上 良一はじめに　世界の医薬品業界では、09年に入ってから、メルクによるシェリンング・プラウの買収、ファィザーによるワイスの買収、ロシュによるジェネンテックの完全子会社化など欧米メガファーマの動きが激しい。一体何が起きているのだろうか。何故どのような目的でそのような買収が行われるのか。市場にどんな変化が起きているのか。それらの買収はどう評価されるべきか。このような買収は今後も続くのか。我が国の医薬品企業へのインパクトは何か。　本連載では、世界の医薬品市場の現状と将来の展望について考察し、次いで先述したメガファーマによる買収の分析・評価を行う。さらに将来の市場展望の中でメガファーマの取りうる戦略とその評価をする。　本稿の目的は、日本における外資企業と内資企業の経営幹部やミドル・マネジャーの方々に、これからの医薬品企業の経営戦略について一緒に考えていただくことを目的としており、ご参考になれば幸いである。経済大不況の中で恵まれた医薬品産業　世界の医薬品産業で最大の問題は何であろうか。それは研究開発の生産性の低下であると考えている。　95年から08年までのＦＤＡによる新規成分医薬品の承認状況をみると、96年の53品目から08年には24品目に半減した。一方、この間、米国研究製薬工業協会（PhRMA）に加盟する企業の研究開発費は152億ドルから503億ドルとなり、3.3倍に増加した。つまり、研究開発の生産性が6.6分の1に低下したことになる。　また、ＩＭＳによれば、米国発の世界的経済不況のなかで、08年の米国医薬品市場の伸びは1.3％で、09年に１～２％縮小すると予測されているものの、自動車産業におけるクライスラーやＧＭのように倒産した医薬品企業は聞かない。国内大手企業をみても、11年間自社新薬を上市しなくても存続できてるし、中堅で20年間自社新薬を発売できない企業でも倒産していない。　週刊東洋経済（09年４月４日号）が業界別の苦境度を５ランクに分けて紹介しているが、自動車／テレビ／半導体／マンション／証券などは「苦境度５」だったが、製薬／ゲームソフトの２業界のみが「苦境度１」であった。医薬品業界がいかに保護され、恵まれた業界であるかは、私のように人生途中で他産業から転職したものには実によくわかる。イノベーションに理解のある米国オバマ政権　米国のオバマ政権は、今後医薬品のコスト削減を推めるだろう。ジェネリックの使用促進、バイオシミラーの導入と普及、ブランド品の値下げなどある。これらは米国に限らず世界的な流れである。さらに医薬品などの「比較有効性研究」も進展し、今までの薬剤の淘汰が行われるであろう。私が驚いたのは、オバマ大統領の就任後３日後の09年1月23日に、ＦＤＡがカリフォニア州のバイオベンチャー企業ジェロン社から申請されていたヒトＥＳ細胞による脊髄損傷患者への臨床試験を承認したことである。これにより、ブッシュ前大統領が禁止していたヒトＥＳ細胞の研究を解禁したことになる。このことを契機に、米国での再生医療の研究はさらに進むだろう。　さらに、注目すべきは、オバマ氏がイリノイ州の上院議員時代に06年、07年の2度にわたり「ゲノム・個別化医療法」を提出するなど、もともと個別化医療に熱心なことである。また、予算提案でもＮＩＨによるがん研究予算の倍増を提案している。もともと同大統領は米国医療で大きな問題となっている無保険者を減らそうとしており、有保険者の増大は薬物治療へ需要を増大させると予測されている。これらのことから、オバマ政権は再生医療や個別化医療などでのイノベーションに向けて挑戦しようという医薬品企業にとっては理解ある政権であると確信している。不均等成長を示し出した世界の医薬品市場　ＩＭＳでは09年の世界の医薬品市場は7500億ドル（75兆円）を上回るが、13年までの平均年成長率が３～６％になると予測している。国別でみると、米国の今後５年間の成長率はゼロ、日本、フランス、ドイツ、イタリア、英国、スペイン、カナダといった先進国では１～４％になるという予測だ。これらの低成長国とは対照的に、中国、ブラジル、インド、韓国、メキシコ、トルコ、ロシアの新興国では同期間で13～16％の成長が予想されるという。　しかも、不均等成長を示しているのは地域別市場のみではない。薬効別市場も不均等成長が予測されるとしている。ＩＭＳによると、09年は従来大型品の多かったプライマリーケア製品は２～３％伸長し、専門医向け製品は８～９％伸び、中でも生物学的製剤は11～12%、抗がん剤は15～16%、抗ＨＩＶ薬は13～14％伸長すると予測されている。ジェネリックの伸びは５～７%。つまり、企業がどのような薬効群を事業の主軸に置くかによって不均等成長が生じてくることになる。　なお、世界の医薬品市場は09年7500億ドルで、今後成長率３～６％、09年の8200億ドルから12年には8900億ドルとなると予想できる。相次ぐ低分子大型品の特許切れ　日本では大手４社について「2010年問題」と称されているが、欧米メガファーマでも、今後も既存大型製品が相次いで特許満了に直面していく。しかし、分析してみると、企業によってその影響はバラバラである。すでに特許切れを迎えた製品群、および12年までに特許切れする製品群の08年の医療用医薬品売上における比率をみると、ファイザー47%、メルク42％、ＧＳＫ41％、Ｊ&amp;Ｊ41%、ＢＭＳ39 %、リリー37％、アストラゼネカ34％、サノフィ・アベンティス32％である。つまり、これらの企業は売上の３割強から５割弱をジェネリックに侵食される可能性があるわけだ。影響が中程度の企業はワイス25％、ノバルティス23％、ベーリンガー20％。ほとんど影響を受けない企業は、アボット12％、バイエル11%、ロシュ11％、シェリング・プラウ３％である。これらの４社はジェネリックによる浸食を心配することなく伸びていける企業である。つまり、ジェネリックのリスクを前にしても企業は不均等成長に直面する（ちなみに、日本の大手４社は13年に向けて次々と特許切れに直面するが、同様の計算をすると、武田薬品80％、エーザイ61％、アステラス製薬33％、第一三共20％である）。　なお、世界の08年のジェネリック市場は780億ドルとされているので、５～７%拡大すると予測すると、12年には950億ドルから1020億ドルとなる。バイオシミラーに向けて動きつつある米国市場　バイオ医薬品のジェネリック、つまりバイオシミラーに関してはＥＵではすでに審査・承認のルールが整備されており、成長ホルモン、エリスロポエチン、G-CSFのバイオシミラーが市販されているが、米国では審査・承認ルールが未確立である。　09年２月にオバマ大統領は、10年度の予算提案（09年10月より施行）でバイオシミラーの推進を打ち出した。同年３月には３つのバイオシミラー法案が議会に提出されている。大きな論点は先発バイオ医薬品の独占販売期間で、従来の低分子薬と同じく５年とすべきとの意見に対してバイオ医薬品業界筋からは14年とすべきとの意見が出ている。いずれにしても、米国でバイオシミーが解禁されるのは時間の問題である。米国の15年のバイオシミラーの市場規模は49億ドルから126億ドルとの予測もあるが、対象薬はエリスロポエチン、G-CSF、インターフェロンなどで始まり、抗体医薬に移行していくだろう。バイオシミラーの開発はサンドやテバなどが取り組んでいるが、メルクも参入を予定しているとされる。２桁成長を続ける抗体医薬品　抗体医薬は２桁成長で拡大している。代表的な製品の08年の売上とその増加率を紹介すると抗体抗がん剤では、リツキサン（50.35億ドル、16％増）、アバスチン（44.26億ドル、37％増）、ハーセプチン（43.28億ドル、12%増）。抗リウマチ薬では、エンブレル（73.96億ドル、11％～25%増）、レミケード（58.66億ドル、13％～26%増）、ヒュミラ（45.21億ドル、48％増）など。これらはすべて世界の医薬品ランキングのトップ13位以内に入っている。英データモニター社によれば、07年の世界の抗体医薬の市場規模は260億ドルで、13年には490億ドルに拡大すると予測しており、年間の伸長率は11％。開発中の抗体医薬品数はロシュ+ジェネンテックで24品目、ファイザー+ワイスで23品目、アムジェンが16品目で、他社の一桁台に対して群を抜いて多い。これら３社は抗体医薬分野を最重視しているものと判断できる。最大の伸びが予想されるワクチン市場　さらに急成長が予想されているのがワクチン市場である。世界の08年の市場規模は222億ドルと推定されているが、市場調査会社RNCOSによると、12年までに年率16%で伸びると予測されている。この数値にもとづき計算すると、12年には400億ドルに拡大する。　ワクチン事業に力を入れているのはサノフィ・アベンティス、メルク、ＧＳＫで、各社は市場の２割以上のシェアを獲得している。次いでワイス、ノバルティスが参入しているほか、サノフィ・アベンティスとメルクがワクチン事業の合弁会社サノフィ・パスツール・ＭＳＤを設立している。各社の08年のワクチンの売上は、サノフィ・アベンティス36.33億ドル、メルク41.51億ドル、サノフィ・パスツール・ＭＳＤ 18.85億ドル、ＧＳＫ46.97億ドル。ワイスは27.16億ドルであり、ノバルティスは17億ドル程度と推定される。　サノフィ・アベンティスはポリオ・百日咳・Ｈｉｂ、インフルエンザ、髄膜炎・肺炎、成人用ブースタ、渡航者用などのワクチンを扱っている。メルクは子宮頚がん、ロタウイルス、帯状疱疹といったワクチン、サノフィ・パスツール・ＭＳＤの主力製品は子宮頚がんワクチンである。ＧＳＫは肝炎、小児用、インフルエンザ、プレパンデミックインフルエンザ、子宮頚がん、ロタウイルスなどのワクチンを扱っている。　開発品数をみると、サノフィ・アベンティスは22品目（がんワクチン１品目）、ＧＳＫが16品目（がんワクチン２品目）、メルク５品目（がんワクチン１品目、アルツハイマーワクチン１品目）である。ワイスは５品目あり、ノバルティスは不明である。　今後期待が高い開発品にがんワクチンがある。ＧＳＫをはじめ、ノースウエストバイオセラピューティクス、アンティジェニックス、デンドレオン、メルクセロ―ノなどが開発中であり、我が国ではエーザイ、オンコセラピー・サイエンス、イムノフロンティアなどが開発に着手している。個別化医療で最重要視される診断薬市場　今後先進国で推進されていくのが「個別化医療」であろう。患者の遺伝子タイプによって薬が効くか効かないか、副作用のリスクがあるのかなどを事前に予知して薬物治療を選択する医療である。このような治療の先駆けは、抗体抗がん剤ハーセプチンになるだろう。　最近の薬物治療は抗体医薬を含めて疾患発症で主要な役割を果たす分子を狙い、がん細胞のみに作用して、正常な細胞に作用しないよう設計された分子標的薬物治療が台頭し、大きな流れになりつつある。このような薬剤は開発の始めからバイオマーカーで患者を検査し、層別化して臨床試験を行わなくてはならない。このバイオマーカーの測定ツールは市販後には診断薬として、医療に提供されねばならない。　市場調査会社Bharat Book Bureauによれば、世界の07年の診断薬市場は380億ドル以上になっており、12年まで年平均6.72％の成長率を示すとしているが、これで計算すると12年の市場規模は530億ドルになる。08年の診断薬市場ではロシュが20％のシェアを占有し、次いでシーメンスが12％、アボットが12%、Ｊ&amp;Ｊが10％、バイエルが3％。08年のロシュの年商は82.08億ドル（前年比10％増）、アボットは35.75億ドル（13.2％増）、Ｊ＆Ｊのオルソ・クリニカル・ダイアグノスティクスは18.41億ドル（8.0％増）である。ジェンザイムも遺伝子診断薬部門を持っており、4.78億ドル（16％増）となった。診断薬事業は個別化医療の進展・普及とともにますます重要となり、診断と医薬の両方を同時に扱っていく企業が個別化医療をリードしていくものと思われる。　以上、欧米メガファーマが直面している市場と市場セグメントの現状、12年頃までの市場の展望について述べた。市場は多様化・複雑化していく、事業の機会と脅威に満ちたものとなってきた。次はメガファーマとしてどのような経営戦略を取るかである。]]></description>
            <category>欧米メガファーマの動向と経営戦略</category>
            <pubDate>Tue, 30 Jun 2009 00:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
    </channel>
</rss>